「Good Morning, Lazy Boy」👈チャットGPTがつけてくれたタイトル「……オレは……起きてる……」
寝ぼけ声でそう呟いたバヤの顔に、冷たい手のひらがぽすんと落ちた。
額に触れてきたのは、今日も整ったスーツ姿の、皇坂逢。
「それは、起きてるとは言わない。いい加減、ちゃんと起きろ」
「ん……今、まぶたが……準備中で……」
「まぶたの話はしていない」
窓のカーテンの隙間から、朝の光が差している。
時計は7:33。あいちゃんの出勤は8時。
オレのバイトは、今日のシフトが15時から。
――ということは、今はまだオレにとっては“深夜”だ。
「オレの中では……まだ3時くらいの感覚なんだけど……」
「勝手に時差を作るな」
淡々とした声。だけど、指先はやさしくオレの髪を整えてくれてる。
このギャップが、たまらなくて。
「ねえ、あいちゃん」
「何だ」
「あと10分だけ……となり、来て」
一瞬、逢の指が止まる。
でもすぐに、あきれたようにため息をつく音がした。
「……俺は出勤前だ。スーツが皺になる」
「いいじゃん、誰も気にしないって……あ、でもあいちゃんは気にするタイプか……」
「……くだらないことを言う元気はあるのか」
そんなふうに口では突き放してくるくせに、次の瞬間、逢はゆっくりとベッドに腰を下ろした。
オレのとなり。距離にして、5cm。
「……10分だけだ。眠られたら、起こす」
「へへ……やさしい」
「優しくはない。面倒をかけるな」
そう言いながらも、逢はオレの前髪を撫でるように整えてくれる。
冷たい指先が、だんだんと体温を帯びてきて。
「……オレさ」
「何だ」
「こうやって、あいちゃんの出勤前の時間、ちょっとだけ独占できるの……好き」
「……そうか」
逢はそっけなく返したけど、声が少し低くなった気がした。
たぶん照れてる。いや、絶対照れてる。
「……よし、もう時間だ」
「えっ、うそ……10分たった?」
「3分だ」
「はやっ!!!」
ベッドから立ち上がろうとする逢の袖を、オレは咄嗟に掴んだ。
「今日、帰ってくる時間……教えて」
「予定通りなら、20時。だが仕事次第だ」
「じゃあ、帰ってきたら……一緒にレコード聴こう」
「……考えておく」
それはたぶん、OKって意味。
オレがそう確信して笑うと、逢は最後に一言だけ残して部屋を出ていった。
「……さっさと寝直せ。夜に元気を残しておけ、バヤ」
「……はいはい、おやすみ〜あいちゃ〜ん……」
扉が閉まったあとも、オレはまだ、あの冷たい指のぬくもりを覚えてた。