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    バヤくん

    @413vucv

    バヤ逢小説まとめ お暇な時どうぞ

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    バヤくん

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    風邪っぴきバヤ×看病あいちゃん頭が、ぼうっとする。
    鼻も詰まってるし、喉も痛い。たぶん熱もある。けどオレは今、ソファで毛布にくるまりながら、気づけば天井を見てた。

    情けないな、って思う。

    「何をしてる」
    声がして、首だけ動かすと、キッチンの方から逢がこちらを見ていた。
    白いカップを片手に、眉間にうっすらシワを寄せてる。オレが調子悪い時にする顔だ。あいちゃん、こういうの本当に顔に出る。

    「……寝てろと言っただろう」
    「いや、ちょっと……寒くて。こっちのほうが、まだあったかいかなって……」

    ごまかしたが、逢はため息をついて、ゆっくりと歩いてきた。
    カップを小さなテーブルに置くと、代わりにオレの額へ手を当てる。

    「まだ熱い。薬は飲んだのか」
    「うん……でも、ちょっとしか下がんないみたい」

    逢は黙ったまま、氷の入った水のコップを持ってきた。
    オレが起き上がろうとすると、ぴしゃりと低い声が飛ぶ。

    「動くな。……口開けろ」

    強引だけど、優しい声だった。

    オレは言われるまま水を飲む。冷たい液体が喉を通るのが、やけに気持ちよかった。
    その間も、逢はオレの前髪を指先で払って、じっと様子を見ていた。

    「……あいちゃん」
    「何だ」
    「仕事、休んできたの?」

    逢は答えず、ちょっとだけ目をそらした。

    その反応で、オレは確信した。

    「わ、ごめんね……オレのせいで」
    「……そう思うなら、さっさと治せ」
    「うん……」

    正論なんだけど、その口調がどこか優しくて、胸があたたかくなる。

    オレが目を閉じると、逢は小さく息をついて、冷えピタを貼り直してくれた。
    ほんの一瞬、額に触れる指先が熱っぽく感じたのは、たぶん気のせいじゃない。

    「……あいちゃん、さ」
    「何だ」
    「オレが風邪ひいても、ちゃんと家にいてくれるんだなって思ってさ。ちょっと……うれしかった」

    沈黙が流れる。
    たぶん照れさせた。いつものオレなら、もう一言茶化すところだけど、今日はもう、無理はやめておく。

    少ししてから、逢がぼそっと呟いた。

    「……当たり前だろ。お前は、俺の……同居人だ」

    “それだけじゃない”って、声には出さないけど伝わってくる。
    逢の不器用な優しさが、オレの体温をじわじわ上げる。

    「なあ、あいちゃん……」
    「何だ」
    「治ったら、レコード買いに行こうな。新入荷、今週多いんだ」

    「……構わん。ただし、無理はするな。次は俺の番だ」

    「ん、わかった。じゃあ……おやすみ、あいちゃん」

    オレはそのまま目を閉じた。
    逢がそっと毛布をかけ直してくれた感触が、妙に心地よくて、夢に落ちていくみたいだった。
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