聡実が、大切な子が、命に代えてでも守ってやりたいと思える子が、自分の目の前で他人にいいように弄ばれている可哀想な様を見てしっかりと反応を示す自身が憎くてしょうがない。聡実に対してこんな汚い欲望を抱いてしまうことへの背徳感で胸が苦しい。
咄嗟に目線を逸らすが、背を踏んでいる男がそれに目敏く気がつき、狂児の頭をがっしりと掴んだ。
「アンタのイロが善がってるとこちゃーんと見てやんなきゃカワイソーでしょ」
ぐい、と頭を動かされ、無理やり視界に入れられた聡実は頬を赤くして身を捩っている。視界が奪われた分敏感になっている身体は嫌でも反応してしまうようで、堪えきれずに漏れた控えめな甘い声が狂児を煽る。どろりと溢れて思考を奪っていく欲望に抗うように、ギギ、と歯が鳴るほど噛み締めた。
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