おやつの時間 水心子正秀は弾むような足取りで廊下を歩き、大典太光世の部屋を訪れた。お盆に乗せている洋菓子を、最近恋仲になったばかりの相手と共に味わうのが楽しみで仕方なかったのだ。
「大典太、今日のおやつをもらってきた。一緒に食べないか?」
「……水心子。わざわざ持ってきてくれたのか。ありがとう」
部屋でくつろいでいた大典太はすぐに水心子を招き入れ、ちゃぶ台の上へとお盆を運ぶ。湯呑みに茶を入れて座ったところで、ずいと大典太の目の前に桃色で丸い形をした菓子が差し出された。
「見てくれ、これはまかろんという菓子だと聞いた。可愛らしい見た目だろう?実は先日主に同じものを一つもらって食べたのだが、とても美味しくてあなたにも食べてもらいたくて、それでっ」
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