寝落ち電話しようとする🍅🌸の話慣れた手つきで布団を敷き、部屋の電気を消す。いつも寝る時間よりもまだ早い時間だが、とっくに風呂も歯磨きも済ませており、後は寝るだけの状態だ。いつもと違うのは布団の上でスマートフォン片手に梅宮の連絡を待っていること。
満月がカーテン越しに部屋の中へと薄明るい灯りを灯す中、正座をしてスマートフォンを握りしめる。しんと静まる部屋の中で聞こえるのはドクンドクンと騒がしい自分の心臓の音だけ。心臓が口から飛び出そうとはまさにこのことだ。早く連絡が来て欲しい反面、一言目に何を話すか考え終わるまで来ないで欲しいとも思う。何とも矛盾した気持ち。でも、このドキドキは嫌いじゃない。
「まだ、こねぇのかよ……」
桜が梅宮からの連絡を待っている理由。それは遡ること数時間前、梅宮に言われたある一言のせいだった。
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