天賦の才――この体は弱い。そう、思っていた。
* * *
夜狩りの指導の際、魏無羨は琴を使って攻撃をするように指示をする機会がある。
実のところ魏無羨は藍家の琴が放つ攻撃の威力というのをいまいち把握していない。琴で衝撃波を放つ時の基本を知れば子供たちに何かいい助言をしてやれるかもしれないと魏無羨は考えた。
特にやることもなかったというのが一番の理由なのだが、琴の練習に付き合わせてほしいと藍啓仁に願い出てみた。自分の考えを伝えると、思っていたよりも簡単に同行の許可を得ることができた。「遊びではないぞ」と一言忠告は受けたが、理由があるのであればむやみに藍啓仁は魏無羨を邪険にはしない。
岩の上に琴を置いてポロロンと音を鳴らしてみる。美しい音色が響き、魏先輩は琴も弾けるんですね、などと褒められた。ふふんと魏無羨は鼻を高くするものの、皆のように重力を使った攻撃波を打つことができないので少し肩を落とす。
1945