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    fuukiari

    @fuukiari

    よろしくお願いします(*´▽`*)
    主に描く(描いていた)もの→ガンダムSEEDシリーズ/西川貴教さん/るろうに剣心/中川大志くん…
    たまーに、オリジナルキャラも描きます。

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    fuukiari

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    小説をアップするのは初です。
    三隻同盟・SEED第45~46話(リマスター前)の間の、双子誕生日事情話。(キラ視点)
    オーブの有力氏族誕生日事情は捏造ですが、カガリが、ユウナやトーヤくんと、こういう交流で親しくなっていたらいいな…という願望も込めて。

    #ガンダムSEED
    gundamSeed
    #キラ・ヤマト
    kiraYamato
    #カガリ・ユラ・アスハ
    cagalliYuraAsuha

    誕生日束の間の、しかしいつまで続くか分からない戦闘休止の間、キラはフリーダムの母艦・エターナルと、アークエンジェルおよびクサナギを行き来する日々を送っていた。
    キラが三隻で主に担っていたのは、MSのOSアップデート。
    クサナギのM1アストレイが宇宙戦投入されて日が浅いため、宇宙対策アップデートが急務であったのだ。

    この日のキラも、カガリに呼び出されてクサナギにいた。呼び出し場所がオーブ戦艦の格納庫内なので、キラは地球連合の軍服ではなく、モルゲンレーテのジャージに着替えていた。
    カガリよりも先に、「M1アストレイパイロット三人娘」がキラの存在に気づいたものの、クサナギに来たのが、彼女たちが思っていたのとは違う人物だったらしく、そっと顔をそむけているのを、キラは見逃さなかった。
    (アスランが来ると思ってたのか…僕はお呼びじゃなかったのかな)
    自分が「クサナギに来ることを期待されていなかった」ことを勝手に察してしまい、思わず、カガリを呼ぶキラの声が小さくなってしまう。
    「カ、カガリ…」
    「キラ!来てくれたか」
    お揃いのモルゲンレーテジャージ姿のカガリが、ようやくキラに気が付いて、MS格納庫入口で大きく手を振る。
    キラの、どこかさえない表情を、カガリは見逃さなかった。
    「どうしたキラ、元気ないぞ」
    「いや、そんなことは…ただ、僕はお呼びじゃなかったのかなって」
    曇らせ顔を吹き飛ばすように、カガリはキラの両肩を叩く。
    「そういうとこだぞ、キラの悪いところは!私が呼び出したのに「僕はお呼びじゃなかったのかな」って、そういう風に考えるなんてさ…きょうだいとして、私が悲しくなる」
    キラの曇らせ顔が移るように、カガリの眉間の表情が一気に曇る。
    キラは、カガリの(自分によく似た)曇らせ顔にようやく気づく。そして、必死に話を本題へと戻そうとする。
    「ごめんごめんっ…そうそう、頼まれた、エールストライクの戦闘データを持ってきたけれど…ランチャーやソードのデータはなくて大丈夫だった?」
    カガリがクサナギへキラを呼び出した目的は…アークエンジェルにある、エールストライクの戦闘データ記録の読み込みだった。
    「クサナギで持ってきこられた装備が、エールだけだからな…エールだけあれば十分だ」
    「装備…って、ここにM1でない新型があるの!?」
    てっきり、戦闘データはM1絡みで使うものとばかり思っていたキラは、「新型」の存在をほのめかされたことに驚く。
    驚くキラの顔を見て、カガリは慌てて自分の口を塞ぐ。
    「あ…まだ言ってはいけないことを言ってしまった」
    カガリにとって、「自分用の新型MS」はオーブ本国にいた頃からの決定事項だったので、秘密でも何でもなかったが、OSどころか、機体の組み立てもまだ途中段階のものだ、アークエンジェルおよびエターナルにとっては、オーブの「秘密」でしかない。
    こういう時だけ、やたらに察しがよいキラに悟られないよう、カガリは必死に話題をそらす。
    「とにかくだな、キラにはOSと戦闘支援のAI開発して欲しくて、それで呼び出したんだ、ほら、ほらっ」
    キラは、カガリの慌てようを見て、
    (これは触れてはいけない…)
    と察し、「新型」については追及しなかった。

    仲良くしゃべっているキラとカガリを見て、遠くでニヨニヨしている「アストレイ三人娘」を横目に、二人は格納庫の片隅にあるデータ処理スペースに入る。データ処理スペースにある端末は、格納庫のMS整備で使いなれたモバイル端末と違って、速度と安定性が半端ない。
    「僕はコーディネイターだし、ムウさんはナチュラルだけれど手練れのパイロットだから、ナチュラルの新人にはあまり参考にならないデータだけど…いい?」
    「頼む、今はどんな些細な戦闘データでも欲しいんだ」
    そう言うと、キラはAI開発用サーバーに接続された端末にデータディスクを差し込み、データ転送を始める。
    しばし、データスペースにディスクを読み込む機械音と、キラがキーボードを叩く音が響く。
    どちらからも言葉を切り出せない、何とも言えない沈黙が、流れてゆく。
    こういう時、何をしゃべればよいのか、全く想像がつかない時間ほど、早く流れて欲しい時間はない。
    いたたまれなくなってきたカガリは、ポケットから父の形見として渡された「双子の写真」を取り出す。赤ん坊の頃のキラとカガリは、二人が見知らぬ女性に笑顔で抱かれている。
    キラが、廃棄コロニー・メンデルから、全く同じ写真を持ってきたことに、カガリはいまだに混乱していた。
    自分にもキラにも面差しが似ているあの女性は誰なのか、そして何より、双子なのに何故自分はナチュラルでキラはコーディネイターなのか…。
    ―キラの片割れであるカガリは、メンデルでラウ・ル・クルーゼが明かしたキラの「出生の秘密」について、まだ知らされていない―
    沈黙を破ったのは、カガリだった。
    きっかけは、素朴な疑問。

    「キラ…」
    「んー?」
    「私達が双子のきょうだいということは、誕生日が一緒だということだよな」
    「5月…18日」
    「それで思い出したんだ。オーブ本国にいた幼い頃を」
    端末に向かって、キーボードを高速で叩いていたキラは、背中越しにカガリの言葉を聞く。
    「オーブでは、有力氏族の子は、字が書ける歳になったら、歳の近い他氏族の子に、手紙と共に誕生日プレゼントを贈るならわしがあるんだ」
    「プレゼント?」
    「花束やちょっとした小物から始まって、…中には、別荘を贈る者もいたともいうな」
    オーブに来て数年と日が浅く、しかも本国の有力氏族の話など異世界の話と思っていた、庶民育ちのキラにとって、カガリの話はまさに「異世界」で、彼女が「オーブ有力氏族・アスハ氏の娘」として育てられた事実を改めて突き付けられる。
    「私は、他の氏族の子には毎年誕生日プレゼントを贈っていたのだが…お父様は、何故か私の誕生日は公表しなかった」
    カガリの言う「お父様」は、言うまでもなくオーブの前代表首長「オーブの獅子」ことウズミ・ナラ・アスハである。
    「私はプレゼントを贈ってばかりなのに、何で私にはプレゼントが来ないのか、贈られないのか、ずっと気になっていたんだ」
    カガリが、無意識にキラのジャージの裾をつかむ。それに気づいたキラはタイプする手を止め、そのタイミングでデータディスクを入れ替えると、振り返ってカガリの方を向く。
    「ウズミさんに聞いてみたことはあるの?」
    「あるさ…でも、「他氏族は他氏族、アスハはアスハだ」「カガリが成人したら公表する」とはぐらかすばかりで、私が他氏族の子からプレゼントが来ないのは変わらなくて」
    そうしているうちに、オーブは大戦に飲み込まれ、ウズミは要塞ごと自爆することを選んだため、オーブでは成人前のカガリの誕生日は、ついぞオーブ他氏族の子や国民に知らされないまま、ここまで来てしまったのだ。キラも、「自分とカガリが双子である」ことから、ようやくカガリの誕生日を知ったくらいである。
    ジャージの裾をつかむ手が、ぎゅっと握られる。
    「まさか、私がお父様との本当の子じゃなくて、それどころかプラントのメンデル生まれかもしれなくて」
    カガリの声が、涙が交じるように揺れる。
    「だから、お父様は私の誕生日を公表しなかったんだって。私が周りから望まれて生まれた命ではなかったかもしれないから、誕生日が「呪いの日」かもしれないから、祝うのにふさわしくないと思って、だから敢えて公にしなかったんだって思ったんだ」
    声だけでなく、琥珀色の瞳からも本当の涙がこぼれる。
    「カガリ…」
    「私とキラは、望まれて生まれた命じゃないのかな…」
    涙がこぼれるほどの弱気が出ているカガリは、どこにでもいそうな「心細い思いをしている女の子」だ。
    いつもは強気でさっぱりした気性の子が、自分の誕生日を公表されなかったことを気にするような繊細な部分を持ち合わせているとは、言われなければ気が付かなかった。
    「…」
    ようやく、自分が涙を流していたことに気づくカガリは、つかんでいた裾から手を離し、袖口で涙を拭く。
    「ごめんごめん、つらいのはメンデルでフラガ少佐といろいろ見てきたキラの方だよな、そうだよな」
    「つらいって、そんな…えっ…」
    キラは、自分が「つらい思いをしている」ことに、カガリの言葉で初めて気づかされる。
    宇宙に上がってここまでで、反芻するにもできないほどの出来事が重なり過ぎてすっかり感情が摩耗していたキラは、「自分がつらい思いをしている」ことを表に出すことを封じることが、これまで以上に上手くなってしまって、今の自分が悲しいのか嬉しいのか、楽しいのか辛いのか、「今の感情」が分からなくなっていたのだ。
    「大丈夫だ!氏族の子から祝われなくても、毎年誕生日にはお父様から祝ってもらえた。私は寂しくなんかなかったからな」
    目は涙目のままながらも、いつものカラッとした笑顔に戻ると、カガリはキラの肩をポンポーンッと強めに叩く。
    カガリの、変に作りこまない素朴な笑顔は、自分の摩耗した感情を少しだけ埋め戻してくれると、キラは思った。
    それは、今に始まったことではなく、砂漠のレジスタンスにいた時も、アークエンジェルと行動を共にするようになった時も…アスランと「和解」したときもそうだった。
    薄暗いデータスペースで、黄金の髪がふわりと揺れて、琥珀色の瞳がキラのことをのぞき込む。
    「私ばっかり話してしまったな…キラはどうだったんだ?ご両親から誕生日は祝ってもらえていたのか?」
    カガリの「誕生日を家族以外から祝ってもらえなかった」話で、キラもようやく「違和感」があったことに気づく。
    「そういえば、僕も父さんや母さんから誕生日は祝ってもらえていたけれど、友達に誕生日を祝ってもらったことはないな。誕生日は、人にむやみやたらに教えるものではないって、母さんから聞かされていたから…それって、普通ではなかったんだね」
    カガリの「誕生日」話で、キラもようやく自分が「普通の子」の扱いではなかったことに気づく。
    養父母である両親は、「普通の子」としてキラを育てたのだろうけれど、「誕生日」が、彼が決して祝福されて生まれた日ではないことから、誕生日を「生まれてきたことを祝う日」「産んでくれた親に感謝する日」とすることに抵抗があったのかもしれないのだ…と。
    「ならば、キラは友達の誕生日は祝っていたのか?」
    「アスランのこと?」
    いきなりアスランの名前を出されて、カガリは再び動揺した。頬が一気に紅潮する。
    「だ、誰もそんなことは」
    「そう考えると、アスランは普通に祝ってもらっていたな…10月29日生まれだから、僕より半年近く後だったけれど」
    「そっか…じゃあ、私たちはアスランよりちょっとだけお姉さん・お兄さんってことだな!」
    「だね、ほんのちょっとだけど」
    「あはは…」
    キラもカガリも、久しぶりに穏やかで温かな言葉を交わした気がした。
    アークエンジェルやクサナギが冷たい宇宙へ上がるタイミングで、「生き別れの双子である」ことが分かった二人だが、それまでの「他人」だった16年間を埋めるかのように、急速に「身内」の温かさを分かち合うこの時間が、とても尊かった。
    「アスランの誕生日は、あとふた月位後か…その時は、一緒に祝えるといいな」
    「一緒…に?」
    明日も分からぬ日々を送っているキラに、初めて「少し先の約束」が見えた瞬間だった。
    アスランの誕生日のある10月どころか、明日にも攻撃が始まって、この先まで自分が生きていることが見えない暗闇に、人を導く「篝火」のようにいてくれるカガリが、とてもいとおしかった。
    「そうだね…それまで、僕たちが生きていれば」
    「うん、出来たら、来年の5月に、私とキラの誕生日も一緒に祝いたいな、二人で」
    「…うん」
    キラは、カガリの素朴で純粋な願いに、即答することができなかった。

    エールストライク戦闘データの転送と調整が終わり、艦内の時間は標準時で言うところの夜更け過ぎになっていた。
    格納庫から艦間連絡シャトルへ向かう通路を、データディスクの入ったアタッシェを持ったキラと、カガリが歩いていた。
    「遅くまで居させて…ごめんな、キラ。もっと早く終わっていたら、クサナギの食堂に誘っていたところだったけど、もう遅いもんな」
    「大丈夫だよカガリ、僕が食べるのに構わなくても」
    「キラが気にしなくても、私が気になるんだ!せっかくオーブの戦艦に来たのだから、一緒にオーブの艦内食を食べたかったのに」
    「だから、僕の食べるのには構わなくていいって…」
    キラがそう言う前に、カガリは格納庫外の自動販売機へ引き返し、何かを買う。
    「ほら、キラ!」
    そう言うと、カガリは箱を2つ投げる。重力区画外なので、箱はゆらゆらーっと飛んでくる。
    黄色い箱のデザインに、キラは見覚えがあった。
    ―ヘリオポリスの工科カレッジの売店でもよく見かけた、バー形の焼き菓子栄養食。
    「これ…栄養食?」
    「そう、オーブのバランス食品だ。新製品のシトラスナッツ味を、お前とアスランにやる」
    「あ、ありがとう」
    「キラも、ちゃんと食べられる時に食べないと、あの子…ラクスが心配するぞー」
    今度は、キラの頬が一気に紅潮する。
    「ラ、ラクスとはそんなんじゃ」
    動揺するキラの顔を見たカガリは、茶目っ気たっぷりの笑みを浮かべる。
    「さっきのお返しだ!大丈夫さ、今のキラについては誰にも言わないし、言わなくても、もうみんな分かっているって」
    「え…えっ…」
    動揺が続くキラは、アタッシェをキープするのに精一杯で、栄養食の箱をつかみ損ねてしまった。
    キラがワタワタしている間に、カガリはすっとキラの横へつき、黄色い箱の栄養食をささっと回収する。
    「はい、ちゃんとエターナルへ持って行けよ」
    カガリは、回収した栄養食の黄色い箱をキラに手渡す。
    箱と一緒に触れたカガリの指は、思ったより細くてやわらかくて温かくて、勇ましい口調や行動でも「女の子」だった。
    色恋沙汰の対象としての「女の子」としては、決してキラのタイプではないのだが、色恋沙汰抜きで親愛の情を受ける「女の子」として、とてもいとおしかった。

    「じゃあ、お休みー」
    カガリは、キラがクサナギに来た時と同じように、大きく手を振って見送る。
    「お休み、カガリ」
    キラは、持たされた栄養食の箱を振って、いつものような穏やかな笑顔で応える。
    束の間の、しかしいつまで続くか分からない戦闘休止の間の冷たい宇宙の中に、「きょうだい」の温かい絡み合いが、確かにあった。
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    fuukiari

    PROGRESSイマジナリーファミリーならぬ「イマジナリーモビルスーツ」・ライジングフリーダムルージュ(種自由後、カガリの新しい専用MS)にまつわる話。先に公開した「双子編」「アスカガ編」の続きとなります。時間軸は、キラがプラントのコンパス本部に「帰る」直前。
    双子+アスランともアスカガ+キラとも取れる部分の途中を抜粋します。(これの前の段もありますが、分からなくても大丈夫です)
    ライジングフリーダムルージュ-幼馴染編-オーブ国防軍管轄建物内にあるシミュレーター室から、モルゲンレーテ社格納庫へと続く休憩室へつながる渡り廊下は、いつものように静かだ。
    「キラ、アスラン、手を…繋いでいいか?」
    二人が答えるか答えないかのうちに、カガリは、キラとアスランの間に挟まって、ニコニコと手を繋いで歩いてゆく。
    「わーい、両手に花だー」
    無邪気な笑顔で、繋いだ両手を振りながら歩くカガリに、アスランは首を傾げる。
    「花…?」
    「カガリ、それは僕がラクスとカガリと手を繋いだ時に言う言葉だよ」
    「いいんだ!私にとっては、キラもアスランも大切な、愛すべき花なんだし」
    実際、カガリにとって、キラとアスランは、凛々しくて美しい「花」のように思える存在である。
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    fuukiari

    PROGRESS年内に出す予定のコピー本の目途が立ちつつあるので、前半を公開。ハイネに声がそっくりな「タカノリ・ヴェステンフルス」が、コンパスメンバー前でライブをやったら…という、限りなく現パロに近い小説です。(キララク、アスカガ、シンルナ+アグネス的描写あり)
    タカノリ・ヴェステンフルス(前半)この日のコンパス本部は、いつになくそわそわと落ち着かない雰囲気が漂う。
    プラントの歌姫ならぬ「歌王」として君臨する、伝説的ロック歌手のタカノリ・ヴェステンフルスが、コンパス本部を訪れ、本部大ホールでスペシャルライブをやるというのだ。

    コンパス本部の大ホール入口は、気持ちいいほどに高い天井から差し込む光が開放的で、新しい時代の世界平和監視機構施設らしい明るさがある。正面ロビーには大きな羅針盤のモニュメントがあり、床にはコンパスの紋章があしらわれている。
    最初にホール入口に現れたのは、あの二人。
    「執務服以外の服でここに来るのは、何だか新鮮ですわ」
    「僕もだよ」
    ライブに先だって、コンパスメンバーに「支給」された、タカノリのライブグッズTシャツ姿のラクスが、やはりTシャツ姿のキラと共にホール入口の羅針盤前に現れる。
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