相手の思うえっちな服を着ないと出られない秘境(リネフレ)「…」
「…」
僕とフレミネは今、とある秘境の一室に閉じ込められている。
室内は巨大なクローゼットの中のような様相で、多種多様な衣服がハンガーにかけられてずらりと並んでいる。いったい何着、何十着あるのか見当もつかないほどの衣服に囲まれた景色は、僕とリネットが舞台衣装の件でお世話になっている千織さんの店の中を彷彿とさせた。彼女の店はフォンテーヌのトレンドを抑えたワンピースやジャケットなどの街中で見慣れたものから千織ブランドの特徴でもある稲妻のものを利用した鮮やかなものもあったが…目の前にある服たちはそのどれとも違ったものであるということはパッと見ただけでもよく分かった。
なぜなら普段売られているのを見かけることなどないであろうメイド服やバニー服、果ては布面積の少ない下着のようなものまで…。いわゆるコスプレ衣装というものたちがほとんどの面積を占めていて、そして壁には「相手の思うえっちな服を着ないと出られない部屋」と大きな文字で書かれていたからだ。
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