強欲 序『妖刀』と呼ばれる類のものがある。
妖気を帯びた刀、血を欲する刀………
よく知られているものとしては、妖刀、村正。過去に徳川のものが村正によって命を落としたことにより禁忌の刀となった言い伝えがある。
だが、ここに。
日ノ本一の兵と名高い真田左衛門之佐信繁が使ったとされる愛槍でありながら、禁忌の槍として葬られた槍が一振りあった。
「……ほう、赤備えか」
自分がどの時代に放棄されたのかよく覚えていない。
ただ、ずっとここにいる。
少し寒いから北の方の山かもしれないし、標高が高いからなのかもしれない。
そしてここがどの時代のどこなのかもさして興味はない。
ただここで、独りで生きていた大千鳥十文字槍の前に一振りの刀剣男士が現れた。
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