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    ⚠️燐一女体化百合⚠️
    ・🔞は無い健全話ですが、そういう会話や温泉で裸になるシーンがあります。
    ・色々と脳死で書いたものなので、考えるな感じろ。

    ノープランも悪くない【 燐一女体化百合 】「なぁ、妹ちゃんどこ行きてェ?」
     定員二人までのダークグレーの布に覆われたファブリック素材のソファーの上できちんとお行儀良く腰掛けている女の子の太腿の上に、だらしなく寝転がっている女が眠たげな目で、映画鑑賞を満喫している休日。
     映画を観ているのか観ていないのか、よく分からない一彩の眼差しは瞬きもせず一点を見つめている。恐らく視線の先はスクリーンではないのは明らかだし、退屈な上に意識が逸れちゃっているのだろう。
     抑揚の無いストーリーに妹と同様に、退屈だなと思いながら寝転がっていた女、燐音は気怠げに冒頭の質問を投げかけた。
     応答、なし。
    「おい、妹ちゃんよォ〜聞こえてまちゅかァ〜?」
     ぺち。
     頭上の大好きな顔に手を伸ばして、一つ軽く頬を叩くとハッとほぼ強制的に意識を取り戻された一彩は、数回瞬きしながら自身の太腿に寝転ぶ姉の顔に視線を移す。
    「…ウム…ごめんなさい、意識が」
    「だろうなァ、俺っちも退屈っしょ〜…」
     そう言いながら燐音の腕がのろのろとローテーブルに伸ばされ、その上に鎮座するリモコンを手にすると電源ボタンを迷いもなく押してスクリーンの画面を真っ黒にする。頭上で「あ、」と不意を突かれた声が聞こえたが、どうせ観てなかっただろと思いながら、聞き流した。
    「なァ〜〜〜!!妹ちゃん、どこか行きたいとこねェ??今なら姉ちゃんの運転付きでェす♡」
    「ただでさえ、ソファーの上では狭いのに暴れないで欲しいよ姉さん」
    「うっせ」
     年甲斐もなくじたばたと手足を暴れさせる燐音の姿に、一彩は呆れた視線を送ってきた。
     そんな目で見るなよ、姉ちゃん泣いちゃう。
     家の中でぐうたら映画観るのも悪くない。周りの目を気にせずパジャマでも下着姿でも気楽な格好で過ごすのも悪くない(一彩には「はしたないよ、姉さん」と小言を漏らされたが無視した)。燐音自身はだらしなくこのまま惰眠を貪るのも良いかと思っていたけれど、学生である一彩の生活習慣を乱す恐れがあるからと謎の意地を張っている。
     折角の休日。二人揃ったオフ日。
     家に居ればいつでも出来る映画鑑賞は、今の状況には勿体ない気がした。
     外に出掛けよう、と思い立ったが行き先が決まらないと運転する気にもならない。
    「フム、ならばES付近の洋食屋のオムライス食べに行きたいよ」
    「まァたそれェ??ほんと好きだなァ…チッチッ、今日は遠出するっしょ。洋食屋はまた今度行こうぜェ?」
    「遠出か、フム…悪くないね」
    「だろ?しかしなァ……あ、行き先決まんねぇなら、ノープランドライブデートと称して出掛けるぞ、一彩!!」
     がばり、と上半身を起こして意気込んだように告げた燐音の勢いに合わせて「ウム!!!」と満面の笑みで返事をする。
    「声デケェよ」
     
     
     
     ◾︎
     
     
     
     一彩と二人暮らしをするタイミングに合わせて、燐音もマイカーを購入した。この車さえあれば、一彩と共に出掛けるチャンスが増えたし誰にも邪魔されない車内の空間がお気に入りだった。
     一彩はアロマディフューザーなど、人工的な香りを好まないが、故郷にもあった金木犀の香りに近いカーバームは気に入っているようで、燐音の愛車はその甘い香りが充満している。燐音はその香りは故郷を彷彿させられるなと思いつつも、妹が好んでいる香りなので何だかんだ甘いのだ。
     お互い早急に着替えて、最低限のメイクをして、変装すればばっちり準備完了、二人揃って燐音の愛車に乗り込む。
    「姉さん、安全運転でよろしくお願いするよ」
    「へーへー、敏腕運転手に任せろ」
    「姉さん、敏腕運転手だったのかい」
    「お前んとこのおに〜さんよりはマシっしょ。ほら、シートベルトしたか?」
     しているよ、と妹のふわふわな髪が靡く頭を一つ頷いたのを確認して発車の準備をする。
    「確かに巽先輩の運転は刺激的だよ」
    「お前、感覚麻痺してる?あれでよく死なねェな」
    「何故か藍良とマヨイ先輩は異常に怖がるんだよ、物凄くアトラクションみたいで面白い運転だと思うよ」
    「ハイ、お前が異常でェす」
     ブォォン、とエンジンが始動する。
    「姉さん僕は異常じゃない」燐音の運転に揺られながらそう主張する言葉を生返事で聞き流す。
     行き先は不明。
     意味もなくウインカーを左右にし、ジグザグと道を横断する。見慣れた景色から徐々に馴染みのない建物が増えてくる。
    「なァ一彩」
    「何かな、姉さん」
    「スタボ。飲みたくねぇ?」
     片手でハンドルを操作しながら空いている手の方で指差した先を追いかけるように見遣る。藍良が新作が出る度に飲んでいる程、大好きだと豪語していた某チェーン店のコーヒーショップ。一彩はどんな飲み物があるか疎かったが、姉からの誘いだ。「飲んでみたい」と何も考えずに答えると燐音はひどくご機嫌になって、「っしゃ、ドライブッ、スル〜」と運転操作しながら変な歌を歌い始める。
    「ドライブッ、スル〜、とは何かな」
    「ドライブスルーだっての。リズムまで真似すんな俺っちが阿呆みたいじゃねェか」
    「阿呆みたいな歌い方だったよ。それより」
     ドライブスルーはなかなか混雑していて、少しは待たないといけないみたいだ。話を転機しようとした一彩に「エー?姉ちゃんって阿呆?」と、聞き返すが「姉さんは阿呆じゃないよ。聡明だよ」と馬鹿正直に応える。太陽もそんな出ていないのに、落ち着きがないのかサングラスをいきなり掛けだした姉に首を傾げた。
    「まあいいや、姉さんここはどんな飲み物があるのかな?」
    「まあいいや?!まあいいやってェ…冷酷…、今の新作はァ……はァ??オムライスフラペチーノだァ?」
     待っている間、一彩の質問に答えるべくおっぱいの谷間からスマホを取り出した燐音はスムーズに検索欄に『スタボ 新作メニュー』と打ち込んだ。
     はて、今スマホは何処から出てきたのだろうか。一彩は暫く姉のおっぱいを凝視したが考える事を早速放棄した。
     どうやら今の新作はオムライスフラペチーノらしい。何とも斬新なメニューだったというのもあり、一彩の大好物の一つだ。興味をそそられて迷いなく他のメニューを聞くことなく即決確定だ。
    「美味しそうだね」
    「いやいや、味覚大丈夫か?」
    「それ一つお願いしたいよ」
    「正気かよ一彩ちゃんよォ」
     前の数台の車の注文が終わったようで、今度は姉妹の番だ。ブレーキを離して慎重に進む。マイクから店員の高らかな声のアナウンスが聞こえ、注文を促される。
    「あー、えっとォ……」
    「オムライスがいいよ」
    「オムライスフラペチーノ一つ、」
    『えっ、オムライスフラペチーノですか?』
    「はァい、そうでェす。あ、それと、アイスコーヒー一つ。以上でェ」
    『畏まりました、オムライスフラペチーノ…一つとアイスコーヒー一つの二点で如何でしょうか。お会計は受け取り口で承ります』
     注文をスムーズに終えて、受け取り口にマイカーを押し進める。ミニバッグから財布を取り出そうとする一彩の白腕を抑えて、金を出させないようにする。ホールハンズとは別のスマホでQRコードを差し出してキャッシュレス決済を素早く終わらせた。
    「姉さん、悪いよ」
    「うっせェ、大人しく奢られてろ。今日はァ、いもーとちゃんの財布になりまァす♡」
    「ご機嫌だね、姉さん」
     ビッ、と赤のジェルネイルが施された人差し指を一彩に向けてご名言!と声高らかに返す。『少々お待ち下さい』と店員の声は聞こえてないようで、一彩へと体を向けた。
    「ウムウム、姉ちゃんはご機嫌ですよォ♪今なら鼻血大量出血サービスもお任せあれ♪」
    「それは…、」
    「遠慮するよってかァ?つまんねー奴」
    「姉さん、最後まで言ってない。そのサービスは夜にお願いしたいよ」
     続けてあ、来たよ。と一彩が淡々と言うと同時に燐音の顔はフレームの大きいサングラス越しでも分かるくらいに赤く染まった。
    「なっ、な、……ッ」
    『お、お客様?あの、商品はこちらでございます…』
    「アッ、うちの妹がすみませェん」
     我に返った燐音はそう言いながら、店員が差し出したドリンクホルダーからカップを二つ受け取り、ひとつは一彩に手渡した。何とも珍妙な色だ。オムライスフラペチーノ。恐るべしオムライスフラペチーノ。中身…は考えたくも無かった。
    「ちょっと姉さん、僕何もしていないよね」
    「したしたした。無自覚って怖ェ〜。さぁ、召し上がれ」
    「ウム、頂きます」
     ズコココ!
     激しい吸引音が車内に轟く。すっげぇ音。
     そんな強く吸わんでも出るっしょ。
    「!美味しいよ!!これは大革命だ!!!」
    「まじかよォ?!?!ほれほれ、一口姉ちゃんにくれ」
     自分のアイスコーヒーをドリンクホルダーに置いて、一彩が「どうぞ」と差し出したフラペチーノを受け取り、一つ吸って味わう。
    「…………」
    「姉さん?美味しいでしょう?」
    「…不思議な味したァ……宇宙人の飲み物……?」
    「オムライスだよ」
     うん、姉ちゃん二度目は良いかなぁ。舌に残る不思議な味を苦味のあるアイスコーヒーを二つ煽って誤魔化した。一彩はお気に召したようで次々と変なフラペチーノが体内にみるみると吸収されていく。
     一彩が喜んでるならいいや。
     ドライブスルーを去り、また行き先不明のドライブデートが再開。オムライスフラペチーノを両手で持ちながら一彩は「姉さん、姉さん、あのね」と隣で近況報告をしている。姉妹一緒に暮らしているし、恋人だし、毎日嫌という程顔を合わせているし、たくさん話してる。それでも飽きさを感じさせないのは一彩だ。すごいことに毎回聞く話題が違うから、味があるし楽しい。例えば、早朝ジョギング中に海沿いを走っていたら海面で光るものを見つけ、一彩はどうやらシルバーアクセサリーだと勘違いして海に飛び込んだ結果空の缶詰だったようだ。道理でこないだびしょ濡れで帰ってきたの納得。あれ、汗じゃねぇんだ。あの時は寝ぼけ眼でお前の汗すげぇとしか思ってなかったよ、姉ちゃん。
     他にもマヨイ先輩が、藍良を盗撮しているのが巽先輩にバレたとか、巽先輩の運転で猫を轢きそうになっていたがブレーキもせず迂回して避けていてダイナミックな運転だった、とか。いやいや、マヨイちゃんは犯罪だし、おに〜さんは危険すぎる。ツッコミ所しかない一彩の(主にメンバーの話)武勇伝はこのように続けて本人の口から暴露している。
     何十分かは車を暫し走らせていた頃。
     燐音の眼差しの先には温泉宿。「お、」と言わんばかりにテンションが上がった姉は指先で行き先を示し、一彩はまたもや視線を誘導される。
    「あ、温泉」
    「温泉?」
    「行こうぜ。仕事で頑張った体を癒すっしょ」
    「ウム…………姉さん嫌だ。」
    「アァン?もう曲がっちまったっしょ。」
    「他の人に裸体を晒したくないよ」
    「一々そんな昔臭いこと言ってねェで、姉ちゃんとの裸の付き合いも都会の醍醐味っしょ♪」
    「裸の付き合い……?それはセッ「セックスとは違うんですゥ〜。それと一彩の口からセックス発言は解釈違い」
     信号待ち。一彩の柔らかな唇に自分の指を押し当ててこれ以上の卑猥な発言を妨げる。
    「じゃあ交合は?」
    「前時代的過ぎるけど一彩ちゃんはそれでいい。ウダウダ文句言ってねェで俺っちと温泉で癒されるっしょ」
     燐音の運転が迷いなく温泉宿に向かっているのが分かり、一彩は「ムムム…」と納得いかないように口を窄めながら拗ねた。
    「拗ねんなって、かわいい小さな俺の妹」
     
     
     
     ◾︎
     
     
     
    「ど?姉ちゃん天才っしょ??かっこいいっしょ??」
     一彩の眼前に広がるのは露天風呂。
    「天才だよ!!姉さん、!!!でもあなたは今裸体だからかっこよくは無いよ!!」
    「ひゅ〜辛辣ゥ」
     一彩が想像していたのは不特定多数の人間が出入りする浴場だと思っていた。故郷で身内以外に裸体を晒すのはいただけない事、と教育されたせいで一彩の根本からそのルールが取り払われていなかった。
     だが、燐音が手配したのは宿泊でもないのに個室を取っていた。はて?と疑問が浮かんだが、女将の案内によって通された部屋は二人にしては広過ぎる畳の間だった。温泉、無いじゃないかと姉を見遣るとニマリ、とニヒルな笑みを浮かべて「服脱げよ♪」といそいそと服を脱いだ。一彩も倣って衣服を脱ぎ、姉妹揃って素っ裸で燐音はじゃじゃーーーん!!と自分で効果音を発して、アウトテラスに一彩をエスコートする。
     冒頭に至る。
     
    「俺っち、お前が人前で裸になれないの知ってるからァ、露天風呂にしましたァ」
    「すごい…姉さんは天才だ。エスパー」
    「何年お前の姉ちゃんやってると思ってるんだ、十七年。生まれたてすっぽんぽんの一彩をあやして、おしめだって替えてやったし、ヨチヨチ一彩からのチューチュー攻撃も可愛すぎて死ぬかと思った。でも耐え忍んだし蒙古斑も毎日愛でた」
     フン、と誇らしげにそう告げる燐音。
    「……昔話もいいけど、そろそろ浸かろうよ。僕たち何時まで裸体で立てばいいのかな」
     そうだ。燐音に露天風呂までエスコートされてから、まだ浸からずに立ち尽くしていた。部屋に常備されているタオルも持っていないので、手繋いだまま二人揃って素っ裸はあまりにもシュールな光景だ。
    「アッ、そうだな浸かろうぜ」
    「ウム」
     ちゃぷん、と姉妹の足先から徐々に、様々な効能が期待されるハーブで白んだ薬湯の中に消えていく。
    「ッは、はァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜…………」
    「ふぅ…………気持ちいいね」
    「アァ……んだこれぇ、疲れた体にしみるぅ〜〜〜……」
     燐音は二十代女性とは思えない、体内から絞り出された声をあけすけに晒す。ここにいるのは一彩だけなのだから別にいいのだけれど。
    「今日はオムライスフラペチーノに露天風呂…充実した休日だ…」
    「だろだろだろ?????たまには遠出も良いっしょ♪」
    「ウム最高だよ。お礼に——」
    「おっぱい揉ませて」
    「…また、もう…揉まないで欲しいよ…、ううん、お礼だもんね。さあどうぞ好きに揉んでほしいよ」
     バシャ、と一彩の上半身が水面から顔を出した。
    「キャ〜!!大胆ッ♡♡いや、それは夜頼むっしょ♪一彩ちゃんからの鼻血大量出血サービスで♡♡」
     
     〜FIN〜
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