小麦とフルーツ〜ダンスバトルを添えて最近わ〜ちゃんはお菓子作りにハマっていました。
わ〜ちゃんは小麦で出来た食べ物がだいすきなのです。なので、自分でも小麦でお菓子を作ろうと最近始めたのでした。
そんな中わ〜ちゃんは考えます。
「小麦の名産地にも、行ってみたいかも」
善は急げです、わ〜ちゃんはボーイフレンドに車を出してもらい、小麦の名産地に向かう事にしました。(わ〜ちゃんのボーイフレンドは、車が好きなのです)
目的地まではずいぶん遠くまで行かなければいけません。
2人は、途中で道の駅に寄る事にしました。
道の駅には、特産物を使った食べ物やお土産が売っています。
ちょうど小腹も空いていたので、2人はそこで買い食いを楽しむ事にしました。旅には楽しみが必要なのです。
わ〜ちゃんのボーイフレンドが、あるフルーツのパフェを美味しそうに食べていました。
「おれ、このフルーツの産地に行きたいな…」
わ〜ちゃんは耳を疑いました。いまは、わ〜ちゃんの《小麦の名産地に行きたい》という希望で、こうして2人旅をしてるのです。
「私、小麦は譲れないよ!」
ボーイフレンドも負けじと言います。
「でも、やっぱりフルーツ食べにいきたいよ。運転は俺がするんだから、先にそっちに行こうよ」
お互い、自分のしたい事を譲れません。
たくさん話し合いましたが、結局どうするのかは決まらないのでした。
そんな中、わ〜ちゃんが強い眼差しでボーイフレンドを見つめ、やがて口を開きます。
「……ダンスバトルで決めよう」
そうして始まったダンスバトル。観客は道の駅に訪れるお客さんです。
突然始まったカップルのダンスバトルの周りをお客さんが囲みます。
「なにをしてるんだろう?」
「よく分からないけど、勝負みたいだよ」
なんだなんだとお客さんが見守る中、2人は踊り始めます。
2人とも、行きたい目的地がかかっているので、一生懸命でした。
しかし、お客さん達にはそれがなんのダンスなのかわかりません。
勝ち負けを決めようにも、何がいいのか…悪いのか…。
決まらない勝負の結果に、お客さんは1人…また1人と数を減らしていきます。
わ〜ちゃんとボーイフレンドは、踊りながら相手を見ていました。
そうして、相手のダンスに気持ちが込められているのを感じたのです。
2人はだんだん、勝ち負けよりもお互いの考えている気持ちを感じる事に集中していました。
そうして踊り終えた時、不思議と満たされた気持ちになっていたのです。
「勝ち負け、きまらなかったね」
言葉とは裏腹に、晴れやかな顔でわ〜ちゃんが言いました。
ボーイフレンドも頷きます。
「そうだね……あ」
ボーイフレンドが何かに気がつきました。
わ〜ちゃんは訪ねます。
「どうしたの?」
ボーイフレンドは、恥ずかしそうに言いました。
「車のガソリン入れ忘れてた…」
このままでは、小麦の名産地にもフルーツの名産地にも行けないというのです。
わ〜ちゃんは、なんだかおかしくなってしまいました。
「そしたら、帰ろっか」
目的地には行けなかったけど、ボーイフレンドとのダンスバトルはとても楽しいものでした。
わ〜ちゃんには、素敵な思い出が出来たのです。
わ〜ちゃんの家に帰る途中、2人は業務スーパーに寄りました。
小麦粉とフルーツを買います。
そうして、わ〜ちゃんの家に着くと、一緒にお菓子を作って、2人で美味しく食べたのでした。
めでたしめでたし