本当の眠りまで家族を追い出して屋敷には友達の付喪神と変わらず視える魑魅魍魎しか居ない。
自由は得たがひどくだるい。頭が痛い。
友達は言う。
「遊ぼうよ」
「これからなにしたい?」
「どこへでも行けるよ」
わからない。面倒くさい。いいから近くへ来て。一緒に眠ろう。
屋敷に貯蔵してある飲食物を適当に摂り、友達を抱えて眠る。
一体何年経っただろう?数えることも面倒でやめてしまった。
友達も外へ行こうと言わなくなった。
変わらない日々の中で唯一の変化はどんどん酷くなる頭痛だけだった。
絶え間なく続く頭痛。
もはや眠ることもかなわないほどの激痛を伴うようになった。
つこうとした悪態はうめき声になって口から漏れた。
心配そうな友達の顔が目に入る。
大丈夫だよ、と目線を送るが伝わっただろうか?そう思った刹那、視界が暗闇に包まれた。
目を凝らしても何も見えない。
「暗いよ何も見えない。さっきまで君の顔が見えていたのに」
友達はひどく取り乱して僕の名前を何度も呼んだ。
どうやら暗闇に落ちたのは世界ではなく僕だけだったようだ。
もうこの視えすぎる目には何も見えない。
頭が痛い。眠れもしない。
目が見えない。動けない。
友達はぬいぐるみの付喪神だ。こんな僕の世話にも限界がある。
とうとう終わるのか。僕の生も。
悲鳴に近い声をあげ続ける友達を凪いだ心持ちで呼び寄せる。
「近くへ来て。一緒に眠ろう」
ぬいぐるみのやわらかい感触。
小さい頃から側に居てくれた友達。
君が居るんだ。だからそう悪い終わりじゃない。
眠れやしないのはわかりきっているけれど、目を閉じた。
流れ落ちた雫は痛みで滲み出た汗かもしくは涙かはわからなかった。
終
★★★
書き終えた感想:カペラに来れて良かった!!!!!!!!!!ハッピー!!!!!!!!!!!!!!