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    むらさん

    @komura_906

    主にジェアズ関連を投稿します🐬🐙
    稀にR15/18も描くかもしれません、ご了承下さい。

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    むらさん

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    転生パロジェアズ🐬🐙
    『ピリオド』
    ⚠途中モブに名前有り/喋る
    ⚠何でも大丈夫な人向け

    #ジェイアズ
    j.a.s.

    『ピリオド』 アズールは前世の記憶を持ったまま転生してしまい、前世の恋人(/夫)であるジェイドを数年探すものの見つけられない。しかも自分には婚約者がいて成人を迎えると結婚しなくてはならなかった。
    「この人生ではジェイドには逢えないのか」とアズールは少し悲しくなるも、今の生を受け入れようと気持ちを切り替える。
    1年後には成人を迎える…そんな頃、舞踏会でジェイドらしき面影を見つける。喜びに体が勝手に動き、気づけば声をかけていた。
    「じ、ジェイド!」
    「? …どうして僕の名前を。」
     キョトンとする顔が現状を物語る。覚えていたのは自分だけだったのだ。初めましてとにこやかに出される手に、ええ初めまして…とぎこちない笑顔で握り返した。
     舞踏会も無事に終えた翌日、婚約者に「そろそろ初夜を迎えては?」と相談があった。二人は1年後に結婚する予定だがキスすらしていない、婚約者としてあるまじき関係。婚約者とは話もするし決して悪い関係では無かった。けれどアズールは前世とは違う人生だと理解しているものの、前世でのジェイドと共に居た年月を忘れられないのだ。アズールはまだ心の奥底で愛していた、ジェイドはアズールのことなど忘れているのに。
    けれどそれも今日で終える。
    「…分かりました。明日、迎えましょう。」
    明日の夜で前世の自分には別れを告げて、今度こそ現世を受け入れる。そしてジェイドのことも忘れようと心に決めた。
     そんな話をしていると、先程邸宅に訪問者が来たと知らせが入る。
    今日の昼間に訪問者が来る予定は無い筈だが…と不思議に思いながら玄関へ向かうと、そこには背の高い男の姿があった。
    「ジェ!?…イドさん、ご機嫌よう。本日はどのような御用で来られたのですか?」
    「こんにちはアズールさん、昨日ぶりですね。ええ、実は貴方に会いに来ました。失礼します。」
    会いに来た、何故??という質問をする間もなく家の中へ足を進めるジェイド。
    「ちょ、待ってください!突然の来訪は困ります。アポ取って下さいアポ!!」
    「あぽ?」
    はっ、として目を逸らす。取り乱してそぐわない言葉を使ってしまったと焦るアズール。その仕草にニヤリと金色の目が細まる。
    「…やはり面白い。今日は来て正解でした。」
    「はぁ…仕方ありません。来客をもてなさないのは失礼ですからね。次の予定までお茶にしましょう。」

     向かい合わせで腰掛ける二人。そういえばジェイドとは久々にお茶を交わすかもしれない。それが少し、嬉しく感じる。
    「おっと、忘れかけていました。実は手土産があるんです。お気に入りの専門店で購入しました。この茶葉は香りと味にコクがあり、とても美味しいです。」
    実は紅茶を淹れることが趣味なんですよ、とペラペラ話す。変わらない姿は安心感を覚えさせる。
    「…ところで、今日僕が訪れた理由ですが。」
    「ん?はい、なんでしょうか。」
    「婚約を申し込みに来ました。」
    「はい、婚約…………はい????」
    アズールは予想外の答えにぽかんとすることしか出来なかった。
    「少し整理させて下さい。おま…貴方は今、昨日初めて会った男に婚約を申し込んでいるのですね。」
    「はい。」
    「何故???」
    お前にとっては昨日が初めましてなのに、何故。もしかして前世の記憶が蘇ったのだろうか。数十秒の沈黙の後にジェイドは小さな声で返事をする。
    「…な、なんとなくです。」
    は?なんとなく?意味が分からない。淡い期待は泡に帰したが、今はとにかく誤解を解かねばならない。
    「ジェイドさん、僕には既に婚約者が居ます。お引き取り下さい。」
    「婚約者…ああ居たのですね。けれど確か、まだ初夜を迎えていないのでしょう?」
    クスクスとジェイドが見つめる。"普段"なら馬鹿にするな!とアズールは怒っただろうが、"今"は違った。もうあの頃を引き摺る訳にはいかない。
    「…彼女とは明日に初夜を迎えます。」
    「え?」
    「婚約者ともあろう僕が、口付けすらしてきませんでした。実は少々申し訳なかったんですよ。」
     視線が定まらない、今すぐこの話題を断ち切りたい思いでいっぱいだった。
    本当はもっと話がしたい。今まで何をしていたのか、これから何をするのか、くだらない何でもない話もしたかった。
     けれど今目の前に居るのは"僕"を知らないジェイド。おそらくこの告白も一時の興味関心で、恋ではないのだろう。彼にも今の大事な人生がある、お互いの為に恋心を選ばない方が最善だ。
    「明日の夜、ですか。そう、はい。」
    暗い声色が聞こえてくる。残念そうにするのはやめてほしい、胸が苦しくなるから。
    「婚約の話は以上です。他にお話があるなら伺いますよ。」
    「…いえ、ありません。」
    長い長い静寂が彼らを包み込む。最後の一口は重くて、冷めた紅茶の味は暫く舌に残って離れなかった。
    「ではそろそろ帰ります。…また来ますね。」
    「ええ、今日は有意義な時間を過ごせました。次会える日を楽しみにしています。」
    社交じみた言葉をかけて大きな背を見送る。ああ、きっとこれで良かったのだ。僕も彼も前を向かなくてはいけないのだから。

           *

    「今日はどっと疲れたな」
    1日分の疲れをふかふかとしたベッドに託す。午後からの領地の話し合いなどが長引いて解散の予定時刻を1時間も過ぎていた。今日はイレギュラーが多い。
    「…ジェイド、変わりなかったな。」
    疲れた頭に思い浮かんだのは彼の顔だ。相変わらず僕には色々な表情を見せてくれた。あの如何にも『僕は無害です』と澄ました顔も、アズールの前ではコロコロと変わる。アズールはそれが堪らなく面白くて楽しくて愛おしくて…ジェイドは今は別の誰かに向けていたりするのだろうか。
    「会いたい」
    枕に顔を伏せぽつりと呟く。届かない想いなら、声に出してもいいでしょう?

    __ガタッッッ!
     唐突に窓が音を立てて揺れる。明らかに風で揺れた雰囲気ではない。
    「…っ!誰だ!!」
     音に反応して傍らにある剣を握る。窓から大きな人影がゆっくりと姿を現した。ここは二階だぞ、しかも僕の部屋を狙って…一体何の為に…まさか暗殺?考えられる全てのパターンを想定して剣を引き抜く。つもりだったのに、覚えのある一声にその手を止める。
    「ぼくです、アズールさん…貴方のジェイドです」
    「ジェイド!?…さん」
     巧みに窓から侵入したかと思えば、トスッと絨毯へと降り立つ。アズールは呆気に取られ、動きを止める。
    その隙がいけなかった。ジェイドは一瞬にしてアズールの両手を掴み、ドスンとベッドに抑え込む。
    「なっ!離せ、なぜ僕の部屋が分かった?!」
    「この屋敷の構造は把握しています。昨日暗記しておきましたから。」
    昨日だと?何を言っているんだコイツは。
    「何が目的だ。お前の親の差し金か?!僕を殺しに来たのか!」
    「おやおや、なんて物騒な。違いますよ、僕が奪いに来たのは命でもお金でもありません。貴方の初めてです。」
    そう言うと唇が柔らかに触れる。
    「まずはファーストキス」
    数秒前の焦燥感も薄らぐ、強引なのに優しいジェイドのキス。大好きな香りが今は近くにある。
    本来ならば抵抗の意思をみせるだろう、けれど…
    「…抵抗しないんですね、貴方なら僕の手も振りほどけるでしょう。」
    掴まれる腕も腰に回る手も既に嫌だとは思えなかった。アズールはずっと望んでいた。ジェイドが側に居てくれたらと、幾度も考えてきた。
     沈黙は合意となる。ゆっくりと瞳を閉じるアズールに、ジェイド微笑みを浮かべてもう一度唇を近づけた___

          *

    眩い光を目が認識した頃、アズは重い頭と体を持ち上げる。昨日激しく暴れ過ぎた。
    「きのう、昨日っ!」
     はっきりした意識と共に全速力で隣を見る。起きたばかりか、そこには唖然とアズールを見つめる裸のジェイドが座っている。
    やってしまった…いや、本当に色々な意味で。事態をどう説明すればいい、感情に判断を委ねてはいけないと決めているのに。
    「こ、この件は忘れましょう!事故だった。そう、事故。でもこれから一体どうすれば…」
    「…アズール。寂しい思いをさせてしまい、すいませんでした。」
    「今はそれどころじゃ…ジェイド?」
    アズールは呼ばれた名前に妙な懐かしさを感じた。
    「ジェイド、もしかして前世の記憶が!?」
    「はい。先程目を覚まして段々と思い出してきました。僕ともあろう者が…」
    貴方は覚えていて下さったのに…すいません、と申し訳無さそうに俯く。
    「…別に寂しいとは思ってませんよ。しかしお前も思い出してくれるのは喜ばしいことです。」
    「おや、違いましたか?昨日はあんなに『寂しかった』と鳴いていたのに。」
    「ちがっ!あれは…覚えてません!!馬鹿にするなっ!!」
    真っ赤ですよと嗤うジェイドにアズールは咳払いで冷静さを取り戻す。ジェイドの記憶が戻った、とはいえ状況は変わらない。時間は有限だ、打開策を練らなければ。
    「お悩みですか、アズール。僕は"強行突破"もアリだと思いますよ。」
    「強行突破?」

           *

    「〇〇家のジェイドと申します。△△家のアズールさんと婚約を結びたく、馳せ参じました。」
    ちゃっかり正装で整ったジェイドは、アズールの今世の両親と婚約者を向かいに話をしている。背高の隣に座るアズールは気まずさを隠しきれない。
    「(待て待て。強行突破が過ぎる!上手くいく筈がない。)」
    「(案外上手くいくものですよ…スリルもあって良いですし。)」
    面白さ優先で行動してるだろと言いたい口を噤むアズール、すると婚約者のエリーがそれを見兼ねたのか口を開いた。
    「その方だったのですね、アズール様の思い人は。」
    「エリーさん?何を…」
    「アズール様、初めてお会いした頃から貴方は大人びていて、勉強熱心で努力家で…私は今も貴方を尊敬しております。」
    話始めた真剣な眼差しにより言葉は真実だと分かる、そして恋心とは違うものだとも分かる。
    「なので夜空の星を眺めるアズール様のお姿を見かけた時、大人びた普段の貴方と違ったように見えました。貴方はずっと瞳の奥で誰かを待っておられるように感じたのです。はい…私は知っていました、貴方が恋を忘れようと無理をしていることも。」
    気づかないフリをしてごめんなさい、と表情が語る。
    「けれどようやく逢えたのでしょう?貴方の信じた愛を成して下さい。」
    微笑みからはまるで二人を送り出すかのような温かみがあった。ジェイドとアズールは照れくさそうに見つめ合う。
    「僕達を祝って頂けるのはありがたい。けれどそれでは貴方の婚約相手が…」
    「ご安心をアズール、手は既に打ってあります。」
    そう言って取り出したのは1枚の紙、契約書だ。右下に記載されている日付は昨日のものになっている。
    「先日、婚約者様のお家に伺いました。お嬢様が宜しければ、僕の家が新しい婚約者の方を勧める手解きをすると契約しました。」
    「はい?!!?!」
    案外すんなりと了承して貰えたという契約…ここまで手回しを済ませていたとは驚いた。前世の記憶が無かったにも関わらず本当に僕に本気だったのか。相変わらずジェイドは敵に回すと厄介そうな男だと思う(僕が負ける気はありませんが)。


     こうして…なんやかんやあって、無事()にジェイドと婚約を交わし、僕達は結婚を果たしたのだった。そういえば男同士でも良いのかと現両親に問いた際、全く問題ないと返事が来たことも驚いた。本当にこの世界は不思議なことばかりだ。
    「なんか…色々と急な展開が起こりすぎだ。」
    「ふふ、細かいことは良いじゃないですか♪」
    ジェイドは上機嫌に手を伸ばす。朝食の用意が出来たらしい、紅茶の良い香りがふわりと鼻を通る。やれやれと手を取るアズールは少し嬉しそうで、軽快な足取りで食卓に向かう。

    彼らの物語は一幕を閉じた。けれどピリオドはつかない、二人の生活はこれからも続いていく。

    HAPPY END
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    ニシカワ

    DONE【ジェイド・リーチはフロイド・リーチがうらやましい】
    🦈のふりして🐙にちょっかい出そうとしたらとっくにフロアズしていたみたいで自爆した🐬のジェイアズ
    【ジェイド・リーチはフロイド・リーチがうらやましい】 誓って言える。決して下心などは無かったのだ。それはそれは可愛らしい、稚魚の悪戯のつもりだった。すぐにネタバラシをする気でいたし、そもそも続けられるほどの辻褄だって合わせていない。
     片割れに許可を取る前にタイを解いてシャツのボタンを二つ外した。目と声を魔法で変えて、髪に手を入れ分け目を変えた。好奇心は猫をも殺す。そんな陸のことわざを思い出したが、まさかウツボまでは殺せまい。そう思ったから。だから僕は、愛しの片割れに姿を変えて、VIPルームの重厚な扉を蹴破った。
     その時は、とてもわくわくとした気持ちで。
     幼い頃より何度か繰り返してきた入れ替わりのこの遊び。髪型を変え、口調を変え、態度を変えればそれだけで大抵の人魚は僕達の入れ替わりには気付かなかった。色や形を変える魔法を覚えてからは、両親ですら疑問を抱かず僕をフロイドと呼び、フロイドをジェイドと呼んだ。最近では魔法の精度も真似をする技術も上がっていて、自分自身ですらフロイドとの見分けが付かないほどだ。鏡ではなくガラスの向こうに片割れが居るのではないかと思うくらいによく似ている。そんな自分の姿を見て思ったのだ。果たしてアズールはこれが僕だと気付くだろうか、と。一度そう考えれば、僕の好奇心はおさまらなかった。
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