SOUYA.(シメジ) 書きたいものを書いてます。〈一次〉台本関連は📖小説やノベルゲーム関連は📕〈二次〉二次創作は✒二次オリジナルは✏ ☆quiet follow Yell with Emoji POIPOI 29
SOUYA.(シメジ)☆quiet followMOURNING📕彼春寄りかもしれん美冬のお話は毎度切なくて温かい。 ##彼春 ##彼ただ ―――ねえ、知ってますか十又さん。俺結構寂しがり屋なんです。強がりなんです。弱虫なんです。……知ってますよね、それを、情けないと一喝して俺を立ち上がらせてくれたのは貴方ですもんね。なのに、立ち上がった俺の隣に貴方は居なくて俺、寂しいんです。強がるんです…弱くなるんです。強く、なったはずなのに。刀を握る手はもう震えていないはずなのに。貴方が隣に居ないだけで。とても冷たい風が吹き抜けて。あの時―――。走らなければ良かった、なんて。誰かが聞いていたら怒られそうな事をよく考えます。俺も戦っていたら結果は、未来は、変わっていたでしょうか。バチン、と。強めに額を小突かれて我に返った。「……祈梅さん……」「辛気臭い顔、止せ。酒が不味くなる」そう言って猪口に入った酒を一気に飲み干した彼は何考えてやがる、だなんて心配する。昔より丸く、優しくなった彼にそれでも俺は何でもないですよ、と笑った。なんでもないのだ。昔の事を、思い出すのはよくある事で。昔の、辛い事を思い出すのもよくある事。それを笑い話に出来るまで表に出すなと言ったのはあの黒猫だ。だから、そんな大昔の誰かさんの言葉に従って。少し大人ぶっても。俺より大人なこの人には分かってしまうらしい。「お前が飲みたいっつったんだろィ」「……飲みますよ」「ンな顔で飲まれちまう酒も可哀想だなァ」「………………」ハァ、と酒臭い息を吐いた祈梅さんは窓の枠に凭れ掛かる。落ちますよ、と注意してもどこ吹く風だ。…機嫌が良いらしい。久々に上物の酒が手に入ったからだろうか。「お前が何考えてンのかは大体分かる」「…………」「俺ァ、こんな事エラソーに言えるタマじゃねェが…」と仰け反った祈梅さんの顔を月が照らす。その口角がくいっと上がった。「ソイツが望んだ死なら受け入れろィ」自虐を含んだ笑みは酒と共に飲まれて見えなくなった。彼は俺の過去を知っているし、俺だって彼の過去を知っている。殺された誰かも殺した誰かも。傷ついた事も傷つけた事も。その時の感情も劣情も。「……分かってますよ。…何度も、何度も。自分に言い聞かせてきましたから……よく、よく…分かってます」ただ、それ飲み込めきれないだけなのだ。別れも済ませた。再会も約束した。これ以上悲しむ事なんか何一つ無いはずなのに。……涙すら、もう出てこないほど吹っ切れているはずなのに。「勘違いすンな、受け入れろっつーだけで忘れろなんて言ってねェ。悲しんでいい。泣いていい。…ただ、ソイツが望んだ死だけは否定すンな」この人は、大人だなぁと時々どうしようもないほど思い知らされる。馬鹿にしてる訳でも見くびっている訳でもないのに。時折、その『差』がひどく恐ろしいものに見えてしまいそうになるのだ。すごいなぁ、なんて月並みの事を思いながら俺は酒を呷る。すごい、敵わない…そういう所は血筋かな…。多分、あの人も同じような事を言いそうだ。顔も喋りも全然違うのに、こういう時は兄弟だなぁ、と感心してしまうのだ。「……オイ、今変な事考えたろィ」「いいえ、特に何も」「おい美冬、こっち見ろ」「あ、ツマミが少なくなってきましたね、追加頼みます?」「オイ……っ!」―――なんて。言ったら絶対に機嫌を損ねるだろうから言えそうもない。言うつもりもないけれど。ああ。今日は。あの黒猫の為に飲み明かそう……。EndTap to full screen .Repost is prohibited SOUYA.(シメジ)MEMO📖紫狒々ササミ様の鶏肉とともにより(https://picrew.me/ja/image_maker/85020) 4 SOUYA.(シメジ)MEMO📖麒麟niseo様のniseo写男子メーカーより(https://picrew.me/image_maker/46023) 6 SOUYA.(シメジ)MEMO📖桃道しおみず様のしおみず式和服女子メーカーより(https://picrew.me/ja/image_maker/1442555) 4 SOUYA.(シメジ)MEMO📖茂木niseo様のniseo写男子メーカーより(https://picrew.me/image_maker/46023) 5 SOUYA.(シメジ)MEMO📖亀八郎niseo様のniseo写男子メーカーより(https://picrew.me/image_maker/46023) 7 SOUYA.(シメジ)MOURNING📕彼ただ+診断メーカー秋彩は春になると視力を失ってしまう病に罹っている。春が近づくにつれて徐々に視力を失っていく。春に何かしらの辛い思い出があるのか、それはわからない。#四季の病https://t.co/PekJYJnKpz目が覚めて見える天井はぼんやりと何処か虚ろに見える。嗚呼、この時期か。秋彩は少し目を閉じてから起き上がる。遠くで美冬が朝餉を作る音がする。 『もうすぐ…春が来る……、』 秋彩は両の手で目を覆いながら春の訪れを嘆く。 『秋彩さーん、そろそろ起きて下さい』 嗚呼、そろそろ起きる時間だ 春に何があったかなんて明白だろう。 一人目の弟子を失った季節なのだから。 秋彩は呪うならばいっそ殺してくれればいいのに、と二人目の弟子が作った朝餉を食べながら思う。 『秋彩さん、お茶碗はこっちですよ。まだ寝惚けてます?』 『嗚呼ごめんね、間違えてしまったよ』 春は好きではない。 ゆらゆらと視線の先で動く何本かの尻尾。ボヤけているからか少し目が疲れる。 542