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    マイクラ大好き

    基本的にノベルケイクにいます。
    るとさんとスーパー膝太郎さんの作品が大好き。

    ノベルケイク→https://novelcake.net/works/novelcake/?/Profile/NC0001110/マイクラ大好き/

    マシュマロ→https://marshmallow-qa.com/nvkj23mip364qsc?t=dTiW09&utm_medium=url_text&utm_source=promotion

     マルマホが大好き。愛してる。
     与えるととても喜びます。しかし過剰摂取すると尊死してしまうので要注意です。

     ノベルケイクで小説あげてるので見てね〜

     最近短編カフェも始めました。同じ名前です。

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    マイクラ大好き

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    優ちゃんに対して妄想。楽しい。

    #世界に嘘をついた僕ら
    #せかぼく
    #くりいむぱんを食せ
    #陽暮優

    名前を呼んで/名前で呼んで 何千年も生きてきた。

     何百人もの人間を見てきた。

     いつの時代も、人とは変わらない。

     その何千年のうちで、飽きたら肉体を変え、名前を変え、声を変え。”ワタクシ”の人格と記憶は在れど、一つの”存在”は無いに等しかった。



    「ねぇ、悪魔さん。お名前は?」

     彼女と出会ったのは、丁度、新しく肉体を変えた時だった。

    「ナイデスネ」

     その時は、本当に新しくなったばかりで。名前なんて考えていなかったのだ。だからそう答えると、彼女は他人事のはずなのにひどく悲しそうな顔を作って言ったのだ。

    「じゃあ、私がつけていい?」
    「イイデスヨ」

     どうせすぐ捨てる名前だ。それに、彼女のことは当時からお気に入りだったから。人間につけさせるのも一興と、名付けて貰ったのだ。

    「じゃあ、...」

     彼女は、スラム街の隙間から見える景色に目をやった。
     __茜色に染まる、優しい夕焼け。穏やかな太陽光が、彼女の色の抜け落ちたような頬を照らした。

    「陽暮...陽暮優でどう、かな?」

     自分で言っておいて、少し恥ずかしそうに笑う彼女。

    「”ユウ”...ネェ...ココの言葉デ”優しい”でしタッケ?」
    「えへへ、うん!」

     悪魔に”優しい”なんて__、そう言おうとした時だった。

    「だって、悪魔さん優しいもの。私のこと気にかけてくれるし、差別しないし、...あと、ほんとに!優しいんだよ!!?」

     よくわからなくなったのか、後半投げやりに言って除けた彼女の言葉は、珍しくもワタクシの心を揺さぶった。

    「...ぶっ飛んでマスネ、アナタ」

     かろうじて言えたのは、そんな”本当に心優しい”彼女をからかうような言葉だけだった。

    「えー、ひどい!気に入らなかった?」
    「イエ...マァイイデショウ」

     及第点くらいアゲマス、とワタクシが言えば、彼女はまた表情を明るくした。よくも悪くも、純粋なものだ。

    「やった、!じゃあ”ユウ”、よろしくね!!」



    「エェ、ヨロシクお願いシマス、”マスター”」

     ワタクシがそう呼ぶと、彼女はさきほどの表情から一点、頬を膨らませた。

    「もー!名前教えたでしょ?ちゃんと呼んで!!!」
    「...ハァ...」

     契約者を名前で呼ぶなんて、したことなかったな。

    「”ロイム”、ヨロシク、お願いシマスヨ」
    「えへへ!」
     満足したのか、彼女...ロイムは、心底幸せそうに笑った。















    「...!......!......ウ...!!」

     目が開かない。

    「ユウ!!!起きて!!!」
    「!?」

     ”自身の名を呼ぶ声”に、思わず跳ね起きる。

    「...ナンデス、リンサン」

     声の主は、鈴鳴鈴。ワタクシの...何でしょうね。

    「いやー、集合場所に来ないからさ...来ちゃった☆」
    「......さっさと行きますヨ」
     
     立ち上がるワタクシに、鈴はその悍ましいほどのスピードで反応した。

    「あ、来てくれるの?やっさしー!」

     いやー、御影くゅなんてさー、なんて他愛のない話を口にする鈴。ワタクシは一人呟いた。

    「”優しい”だナンテ、アナタもアノヒトも、どうかしてますネ」

    「え、なんか言った?」
    「イヤ、ナンデモ」





     優しいなんて分からない。分かろうとも思わない。でも、でもどうしても、この名前と姿だけは捨てられなかった。捨てたら、変えたら、もう彼女のことを忘れてしまいそうで怖かった。

    「...ア、夕暮れ」

     思わず口にすると、隣に立っていた鈴が太陽の方を指差した。

    「ホントだ!キレーだねぇ!」



    『見てユウ!夕暮れ!綺麗でしょ!』



    「...エェ、トッテモ」

     あの日と変わらないようで、すべて変わってしまった陽暮がそこにあった。
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