風都に行きたくない話 朝のテレビでまた犯罪のニュースが流れる。
舞台は風の街、風都。……などというがもはや風の街というより犯罪の街だ。
何やら風都ではガイアメモリとかいう麻薬? が流行っており、それがまた事件を起こしたというのだ。
「やだなあ風都、コワー」
もぐもぐと朝食のサンドイッチを頬張りながらコーヒーを啜る。その風都にこれから行かなきゃならないのだから憂鬱だ。
まず風都に行かなきゃならない理由だが、勿論仕事である。浮気調査だ。胸をはれる仕事ではないが興信所に勤めているのだからダサくてもやらなきゃならない。社会人だからね。
既にまとまっている二泊三日分の荷物を片手に僕は僕の仕事場へ向かった。
一時間ほど電車に揺られれば風都にはついてしまう。悲しいことに。
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