鎖骨酒アドラー・ホフマンは、乱雑に束ねられたウルフヘアーを少し掻きながら、退屈そうに机に積まれた書類を見下ろしていた。黒いロングコートの裾が椅子の端に引っかかり、ため息混じりに脚をずらす。首元がだらしなく緩んだ白いタートルネックからは、無防備な鎖骨が覗いている。
「……なんだよ、その顔。俺の仕事じゃねぇだろ。」
書類に目もくれず、皮肉っぽい声でぼやく。けれど、そのヘーゼルアイには警戒心が滲んでいた。
——油断しているうちに、行動は素早く。
突然、背後から腕を取られた瞬間、アドラーの体は硬直した。
「は?おい……っ、な、なんだよ、やめろっ!」
不機嫌そうに声を荒げ、肩を振り払おうとするが、強引に椅子ごと身体を抑え込まれる。
「っ、くそっ……離せって、馬鹿か!」
足をバタつかせながら必死に抵抗するが、力任せに押さえつけられ、動きが封じられる。アドラーの呼吸が荒くなる。
「おい……ふざけんなって……!っ……クソ……」
必死に暴れようとするが、力の差は歴然だった。背中が椅子の背もたれに押し付けられ、腕は自由を奪われる。
「待て、待てって……っ、何する気だよ!」
声には明らかな焦りが滲んでいた。しかし、その間にも、冷たいアルコールのボトルが彼の首筋に触れる。
「……っ、冷たっ……!?は……?」
その瞬間、アドラーの体がぴくりと反応した。ボトルの冷たさに肩を震わせ、首筋から鎖骨へと流れ落ちる液体に身をすくめる。
「っ、バカか……何やってんだよ、マジで……っ……」
冷たいアルコールが皮膚を伝う感触に、彼の呼吸が浅くなる。鎖骨のくぼみに溜まった液体がじんわりと皮膚に馴染み、次第に刺激が広がっていった。
「……っ、あ……クソ……いてぇ……」
アルコールの強さに敏感な肌が反応し、首筋と鎖骨がじんわりと赤く染まっていく。
「おい、バカ、やめろって……!っ、赤くなってんだろ……」
声は苛立ち混じりだが、完全に止める気力は失せていた。皮膚が焼けるような感覚に眉を寄せながら、アドラーは力を抜きかける。
「……っ、くそ……なんでこんな……」
かすかに震えた声が零れた。だが、肌に触れる刺激が続くたびに、彼の呼吸は次第に乱れていく。荒い息遣いとともに、皮膚はさらに赤くなっていく。アルコールの刺激が鎖骨のくぼみに残り、敏感になった部分に鈍い痛みと熱をもたらしていた。
「は、ぁ……くっ……」
耐えきれずに身体をよじろうとするが、押さえつけられたままではどうすることもできない。わずかに滲む汗と、アルコールの刺激で赤く染まった肌。アドラーはぐったりと椅子にもたれかかり、乱れた呼吸を整えようとしていた。
「……バカじゃねぇのか、ほんとに……」
声はかすれて、どこか敗北感が滲んでいた。
しかし、首筋と鎖骨に残った火照りは、しばらく消えることはなかった——。