ノヴァから見たヴィクターとマリオン 孤を描いた口がやけに憎たらしく見えて、ヴィクターは思わずノヴァのことをキッと睨みつけていた。
外は暖かい陽気に満ちているはずの晴れた日の午後。そんな空気は全く知らない引きこもりのノヴァのラボで、珍しくピリピリとした空気が二人の間には流れていた。
きっかけは些細なことで、ノヴァの生命維持上の生活態度についてヴィクターが苦言を呈したことによる。相変わらず聞き入れる様子のないノヴァに更に抗議の声を上げようとしたところで、彼はニッコリと笑ったのだ。
「……何がおかしいのですか」
甚だ理解し難いという視線を向けても、ノヴァの笑みは深まるばかり。にんまりとカエルのように曲がった口角と三日月の形に細い目。目じりに刻まれた笑い皺には、彼の過ごした年月が刻まれていた。
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