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    うづきめんご

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    うづきめんご

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    スチルが出た時にわーって書きました、ノヴァから見たヴィクターとマリオンの話
    ※ノヴァヴィクと同じ生産工場が書いています

    #エリオ腐R
    elioRotR.
    #ノヴァヴィク
    novavik.
    #ヴィクター・ヴァレンタイン
    victorValentine
    #マリオン・ブライス
    marionBlythe

    ノヴァから見たヴィクターとマリオン 孤を描いた口がやけに憎たらしく見えて、ヴィクターは思わずノヴァのことをキッと睨みつけていた。
     外は暖かい陽気に満ちているはずの晴れた日の午後。そんな空気は全く知らない引きこもりのノヴァのラボで、珍しくピリピリとした空気が二人の間には流れていた。
     きっかけは些細なことで、ノヴァの生命維持上の生活態度についてヴィクターが苦言を呈したことによる。相変わらず聞き入れる様子のないノヴァに更に抗議の声を上げようとしたところで、彼はニッコリと笑ったのだ。
    「……何がおかしいのですか」
     甚だ理解し難いという視線を向けても、ノヴァの笑みは深まるばかり。にんまりとカエルのように曲がった口角と三日月の形に細い目。目じりに刻まれた笑い皺には、彼の過ごした年月が刻まれていた。
    「え~ヴィクが怒ってくれるようになって嬉しいな~って思って」
     ふふふと笑う様は、誰がどう見ても上機嫌のそれ。こちらは苦情を申し入れているというのに何て不敬な、とヴィクターが追撃を放つために口を開いたがノヴァが陽気な台詞を繋げるほうが僅かに先手を取った。
    「おれさ、小さい頃のマリオンがプリプリ怒るようになったのって、どうしてかなって思ってたの。ジャックの影響かな~かわいいな~って思ってたんだけれど、最近はっきりしてきたんだよね。あれ、ヴィクにも似たんだね」
    「……」
     そうであろうか。ヴィクター自身の記憶の中では、マリオンの前で誰かを叱ったりマリオン自身も叱った覚えもない。だがこちらがどんな人間かも知らないで呑気に伸びてくる小さい手を、力加減を間違えないようおそるおそる握ったことだけは覚えている。
     産まれながらにサブスタンスを持つ小さな命。サブスタンスが人体にどんな影響を及ぼすのか、その成長過程のひとつひとつが研究対象となる存在。どんな一瞬も見逃さないように観察しなければならず――しかし握りかえされた手はあまりにも柔らかく、温かかったのだ。
    「私がマリオンを観察しているときにまた、マリオンも私のことを観察していたということでしょうか」
     ヴィクターは自身のてのひらを見つめた。血の通ってないような色の、ヒーローとして確かに鍛えられた硬い手だ。柔らかいものを扱うことに向いていなさすぎるその手が、かつて幼子に優しく触れたことがあるなんて誰が思うのだろうか。
    「なーに言ってんのヴィク」
     朧げな遠い記憶に思いを馳せ彷徨うヴィクターを引き戻すかのように、ノヴァの声は明るく迷いない。
    「家族って、一緒に過ごすうちに自然に似てくるものでしょ」
     そこに特別な過程なんて何もないよ。と笑う彼の言葉はヴィクターにとっては信じ難く、ラボに来た当初の目的など忘れてマリオンと過ごした日々を再び思い起こし始めていた。
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