陽だまりの歌「日和様、お帰りなさいま」
「爺や、お風呂沸かしてもらえるかな?」
「で、ですが日和様……その子は……?」
冷静沈着で滅多に感情を表に出すことのない、日和の世話係が珍しく言葉を失い目を見開いている。
「街で見かけてね。孤児でこれから売られるというから、ぼくが買い取って来たね」
日和の背後に、小さな男の子が立っていた。
年のころは五、六歳と言ったところだろうか。
栄養状態があまりよくないらしく、もしかしたらもう少し大きいのかもしれない。
「今日からこの子はぼくの子供だね。養子縁組の手続きも済ませて来たからよろしくね」
「は!? 養子をお迎えに!?」
「ぼくはまだ十八だけど、特に問題はないはずだね。これで跡取りがどうのと言われなくなるでしょう?」
1619