世界最強の……?「ダイくん……」
ベッドに寝転んで昼寝をしていたおれに、レオナが話しかけてくる。
うとうとしていたおれは寝ぼけ眼で目を開ける。
「ん……? なんだい、レオナ……」
すると真正面に顔を覗きこんでいるレオナの顔があった。なんか白いふわふわのものが顔を撫でていった。
目が合った瞬間、レオナの目が怪しく光ったような気がした。途端に体が痺れたような感覚に襲われる。
なんだ、これ? 金縛りか?
「……くっ……!」
「ダイ君、どう……? 体、動かせる?」
「──ま……まさか?!」
手をレオナの方に伸ばそうとしても、体が言うことをきかない。
「うふふ……」
レオナの唇が嬉しそうに弧を描く。
それはいつも見せる可愛らしい笑顔とは違って、どこか妖しげで表情だった。
「レオナ、おれになにを……?」
「動けないのね……ふふふ……よく効いてるわ」
体は動かせないが、意識はハッキリしている。
彼女が着ているのは黒光りしたバニースーツ……?
「ねえ、ダイ君。楽しみましょ?……」
どうにも雰囲気の違うレオナにおれは戸惑っていた。
あの装備になにか秘密があるのかもしれない。
そう思ってじっと見ていると、戦いの遺伝子が働き出したのか、おれの脳裏に自然とその知識が閃いてきた。
「呪われしバニースーツ」……
〇魅力が大幅にアップするが、淫らで攻撃的になる
〇戦闘においてはおいろけ攻撃が主体となり、ぱふぱふ(行動不能の効果)やサキュバスウィンク(攻撃+睡眠効果付与)、セクシービーム(魅了状態に)などの特技がある
〇装着した者が意識を失うまで呪いは解けない
〇装着者に好意をいだく者に対しての効果は絶大で、100%に近い
……って、なんだ、それ!
おれの弱点を突くかのような装備じゃないか。
誰かが狙ってレオナに着せたのか……?
前もバニースーツを喜んで着ていたことがあったのを思い出す。
単純にレオナが楽しんで身に着けているだけなら、まだいい。
だけど、おれの命を狙う何者かに着せられていたら、結構なピンチなんじゃ……。
少なくとも「対ダイ」という意味においては、レオナの最強の装備なのかもしれない。
そう思うと、腹の奥で燻る熱にそのまま身を任せるわけにはいかない。
そんなおれの警戒をよそに、レオナがおれにのしかかってきた 。
髪をかきあげながらおれを見下ろすように見つめるその眼差しは、今までのレオナにはない強烈な色気を放っている。
バニースーツは体にピッタリと添う薄い素材で、いろんな凹凸がバッチリ分かってしまっていた。
様々な方向から、目に毒な状態だった。
「ダイ君……かわいがってあげる」
甘い香りがふわっと鼻先で匂い、それにうっとりととしてしまう。
気づいたらレオナが唇を重ねてきていた。
ますます濃くなる、花のような甘やかな匂い。柔らかい唇がおれの口元を包み込む。
それと同時にチロチロと舌先も入り込んできた。
舌を絡めてきたかと思うと、口の中を気まぐれに逃げ回る。上顎の下や歯の付け根など自由自在に駆け回り、からかうように刺激してくる。
甘い蜜のような唾液が入り込み、ますます頭がぼうっとしてくる。
レオナが両手を伸ばし、おれの首すじを掠め、頬を覆い、耳たぶに触れてきた。ヒンヤリとして気持ちいいなあなんて思っていたら、次の瞬間耳を塞いできた。
耳を塞がれると、口の中で奏でられる水音がさらに響いてくる。
「んふ……ふ……あぁん……」
レオナの漏らす色っぽいため息や微かな声も直に頭に響いてきて、おれはキスだけでどうにかなってしまいそうだった。
……to be continued...