寒い日の待ち合わせぼんやりと遠くを見つめていたシマボシは、目的の人物を見つけるとほんの少しだけ表情が柔らかくなった。
「お待たせしました!」
おそらく会社から駆け足で来たのであろう、少しだけ息を弾ませたウォロが到着すると、彼女はお疲れさまと労いの声をかける。
「こんな外じゃなくて、中に入って待ってていいんですよ?」
シマボシが立っていたのは、駅ビルから外に三メートル程出た所だった。
今晩は気温が急激に下がって、生半可な防寒着では用をなさないくらいである。寒さに弱い彼女がわざわざ外で立っていた事に、ウォロは違和感を感じていた。
「今日は、人が多くて…」
ウォロは彼女の後方、改札と一体化している駅ビルの方に視線を移動させる。
「ふむ」
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