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    まよ🦭

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    まよ🦭

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    ワードパレットよりあずきちさんにリクエストいただいたもの
    ・「慌てて止めて」「うっかり」「笑い話」
    ・ズーマとラブルの友情話

    遊ぶのも食べるのも大好きなノリノリ末っ子組好きです🥰
    ズマ、ラブル加入当初にちょっと複雑な思いを抱いてると美味しいなあ…と思っていました。
    でもラブル良い子だし気も合うからすぐに仲良くなっていてほしい…🙏

    「慌てて止めて」「うっかり」「笑い話」

    僕は最近、少し複雑な思いを抱えている。
     怒っているとか機嫌が悪いとかではない。任務も楽しくこなしているし、海で遊ぶのも前と同じように好きだ。だけど遊んでいる時も、ご飯を食べている時も、なんだか急にモヤモヤとした気持ちに襲われて少し落ち込んでしまうことがある。原因は分かっていた。チェイスとスカイと遊びながら、芯から楽しそうに笑う同い年の彼――ラブルの姿を見ながらそっとため息をつく。
     ラブルは同い年だから僕と気が合うし、明るくて優しいいい子だと思う。彼と遊ぶのはとても楽しい。だけど彼が来てから「末っ子」のポジションは僕一人のものではなくなってしまった。末っ子で甘え上手なラブルは一番年上のチェイスとスカイには特に沢山甘えているように見えた。今もチェイスとスカイにスケートボードをしている姿を見せているが、ころころとはしゃぐ姿は同い年の自分から見ても可愛らしい。年上でしっかり者の二人からすればより可愛く思っているのだろう。現にラブルのことを見守る二人の視線は優しくて、ラブルを取り囲む空気は柔らかくて幸せに満ちていた。
    「見てや二人とも! ワイスケボーできるようになったで!」
    「すごいわラブル!」
    「めちゃくちゃ上手だぜ。次はおれもやりたい!」
     楽しそうな姿は微笑ましいはずなのに、なんだか見ていられなくて目を逸らした。ラブルが来てから、チェイスやスカイに話しかけるのが前よりも憚られてなかなか話しかけにくくなってしまった。本当はそんなことないのに、ふたりを取られてしまったような心地がする。まだまだ子犬だけどすごく幼い訳でもない。なのに胸に燻る思いは子供っぽいもので後ろめたい。居心地が悪くて、みんなから気づかれないようにそろそろとその場を離れた。

    「なあズーマ、今日は一緒に芝滑りせえへん?」
     朝ごはんを食べ終わった後にラブルに声をかけられた。手には二つソリを持っている。ラブルが僕一人に話しかけることは珍しくて、思わず辺りを見回してしまう。
    「え、ぼくと」
    「せやで。ズーマはサーフィンが得意なんやろ? ワイに芝滑りのコツも教えてや〜!」
    「サーフィンと芝滑りは別だと思うけど……まあいいよ。一緒にやろう」
    「やったあ! おおきに!」
     素直に喜びを露わにする姿は可愛くて頬が緩む。少し薄暗いような気持ちを抱いてしまってもいたけど、太陽のような彼といると自然と心が綻んでいく。それに今日は天気が良くて、外で遊ぶならぴったりの日だと思った。
     パウステーションから少し離れた公園にある丘には僕らの他には誰もいなかった。傾斜をソリに乗って滑っていく。サーフィンとは別物だと思っていたけど、バランスの取り方は少し似ているかもしれない。倒れそうになったら体を傾けてバランスを取り、下まで全速力で向かっていった。降りきった後に、もう一度ソリを持って上まで向かっていった。上で待っていたラブルにきらきらとした視線を向けられなんだか気分が良い。
    「ズーマやっぱり上手やな」
    「そう? サーフィンとは別だと思ってたけど、バランスの取り方とかはちょっと似てるかも」
     芝をソリを使って滑り降りていくのは疾走感を感じられて楽しくて、何度も滑ってはまた上がってを繰り返した。緑の匂いと頬を撫でる風が心地良いし、寝転んで真っ青な空を全身で受けると開放感に包まれた。遊んだ後はここで昼寝をするのもいいかもしれない、と思っていた矢先、上の方から慌てたような声が聞こえる。
    「わわわっ……止まらへん!」
    「え?! ちょっと大丈夫?!」
     視線の先、すごいスピードでラブルが芝を滑り降りてきていた。このままだときっと地面に強く衝突してしまう。慌てて進行方向に駆け寄って、滑り降りてくるラブルを全身で受け止めようとした。まもなくして衝撃が走る。目の前に星が見えた気がした。
    「いったあ〜……」
    「ご、ごめんやでズーマ」
     止めるためにもっと良い方法があったかもしれない。浮き輪でもあればそれをぶつけることで止められたかもなんて思うけど、今は装備もビークルもなかった。それに慌てすぎて頭も上手く回っていない。ふらふらとした頭を押さえて起き上がる。しばらくすると視界も徐々にクリアになってきた。
    「……あははっ、ラブル、芝だらけ……!」
     顔を上げた先、ラブルが体も顔も芝に塗れているのがおかしくて思わず吹き出してしまう。僕の言葉を受けてラブルも体を起こしてこちらを見た後、同じように吹き出した。
    「そういうズーマもやばいで!」
    「え? ……本当だ。僕も芝だらけ……」
    「ズーマありがとうな。ホンマ助かったで!」
    「どういたしまして……ちょっとくすぐったいよラブル」
     お礼を言いながら顔を舐められる。ラブルはいつもまっすぐで、嫉妬のような気持ちを感じてしまっていたことがなんだか恥ずかしくなった。でも思い切り体を動かして笑ったからか、昨日までよりも幾分か気持ちがすっきりとしている気がする。
    「ワイ、ズーマと一緒に遊びたいって思ってたねん」
    「え、ぼくと?」
    「せやで。ズーマは同い年やし、ノリも良くて楽しいから」
    「……うん。ぼくもラブルと友達になれて嬉しい」
     本心からの言葉だった。少し複雑な思いは抱いてしまっていたけど、同い年の友達ができたことは嬉しかった。それにラブルと遊ぶのはすごく楽しい。沢山笑ったからか、自分の気持ちに素直になれたからか、先程までの空がもっと青く澄んで見える。清々しい空気を割るように何度も芝の上を滑って、転ぶたびに二人とも芝だらけになった。任務の呼び出しがなかったこともあり夕方まで遊び続けて、気がついたらすっかり日は暮れてしまった。夕飯の時間が近づいているし、切り上げて帰ることにする。

    「二人ともどうしたの?」
    「すっごく汚れてるぜ」
     パウステーションに着いたところでスカイとチェイスに声をかけられた。芝やら土やらで汚れた僕たちの姿を見て目を丸くしている。
    「途中でワイ転げ落ちそうになったんやけどな、ズーマが助けてくれてん」
     興奮げにラブルが話すとチェイスもスカイも僕の方を見る。注目されて少し気恥ずかしくなり視線を逸らした。
    「さすがズーマだな」
    「ケガをしなくて良かったわ」
     二人は柔らかい視線で僕のことを捉えている。二人ときちんと向き合ったのは久しぶりな気がした。一方的になんだか拗ねて避けてしまっていたことが恥ずかしい。だけど柔らかな視線から、僕のことも本当に大切に思ってくれていることが伝わってきた。ありがとう、と言った声は小さくなってしまったけど、二人がそれを受けて笑顔を向けてくれたことが嬉しい。
    「それより、二人ともすっごく汚れてるわよ。ケイティのお店でシャンプーをしてもらったらどうかしら」
    「やったあ! 行こうやズーマ!」
     ラブルは嬉しそうにその場でジャンプしはじめる。これがロッキーであればものすごく嫌な顔をしていただろう。だけどラブルはお風呂が好きなようでケイティのお店に行くことをいつも楽しみにしていた。
    「じゃあ、ラブルとズーマは綺麗にしてから帰ってくるのよ」
    「分かったで。ズーマ、行こうや!」
    「うん! ケイティのお店まで競争しようよ」
    「まだ走る気なのか? 元気だな……いってらっしゃい」
     二人からの見送りを受けてお店まで走りはじめる。夕陽が街を紅く染めあげている。沢山遊んで体は疲れているけど心はとても軽かった。結局ほぼ同着でお店に到着すると、すぐにケイティは出迎えてくれた。ケイティは僕らの姿を見て驚いていたものの、すぐにお風呂の準備をしてくれる。「これは洗いがいがあるわね」と言う口調は頼もしい。すぐに用意は済み、ふたり一緒にお湯の中に入れてもらった。疲れた体にお湯の温かさが沁みていき、シャンプーの良い匂いも鼻をくすぐる。沢山遊んで、お風呂に入って、帰ったら美味しいご飯が待っている。派手ではないけど確かな幸せに包まれて心がじわりと暖かくなった。隣にいるラブルもそれは同じなのかもしれない。「あったかくて幸せや」という言葉が、湯気とともに空間に溶けていった。
     帰り道はもうすっかり暗くなっていた。大きな音がしたかと思うと、それはラブルのお腹の音だったようで恥ずかしそうに笑う。つられて僕の口元も綻んだ。暗い道は歩くのに少し緊張してしまうこともあるけど、二人だから心強い。
    「お腹すいたね。早く帰ろう」
    「せやな……なあズーマ、ワイ、ずっと一人でそれでも平気やって思ってたけど……『いってらっしゃい』と『おかえり』を言ってもらえるって嬉しいな」
     少ししんみりした声で伝えてくる。何かを思い出したかのように、いつもより憂いの帯びた表情をしていた。ラブルは僕と同い年だけど、ずっと一人でいろんなことをなんとかしてきたのだろう。会った当初、「ワイは強いから平気や」と何度も言っていた。ラブルは確かに勇気があるけど、その言葉にはいくらかの強がりもあったのかもしれない。
    「僕らはずっと一緒だよ。帰ってみんなでご飯を食べよう」
    「……せやな! ありがとうズーマ!」
     僕の言葉に、少ししんみりとしていた表情もぱっと明るくなったから少し安心した。ずっと一緒にいたい。友達として、大切な仲間として。今ラブルがいる場所が、ラブルにとって安心できる場所になっていれば良いと思った。

    「ズーマ、ソリ滑りしようや!」
     あれから月日が経ち、ラブルも僕も心身ともに随分成長したと思う。でもそう声をかけられた時、ラブルが加入したばかりの時のことを思い出した。芝滑りで沢山遊んだこと、身体中ドロドロになったこと、ケイティに体を洗ってもらって、暗い中を二人並んで帰ったこと。それに僕がラブルに少し複雑な感情を抱いていたことも思い出す。その時は悶々としていたけど、今では思い出すだけで少し頬が緩んでしまうような笑い話として昇華できる。
    「ズーマ、なんかニヤニヤしてへん?」
    「ラブルが来たばかりの時にも芝滑りしたなって。その時のこと思い出してた」
    「あー……ワイが転んでズーマが止めてくれたやつ……今度はもっと上手く滑れるで!」
     少し恥ずかしそうに視線を逸らした後、得意げな顔になる。ころころと表情が変わるのは昔から変わらないと思った。今日も天気が良いし、外で存分に遊ぶのはきっと気持ち良いだろう。頬を撫でる風や、緑の匂いを想像するだけで心が湧き立った。
    「いいよ。行こうか」
    「よっしゃ! 早く行こや〜!」
     二人で外に駆け出していく。心地良い風に包まれて、今日も楽しい一日になりそうだと思った。
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    まよ🦭

    DONEワードパレットよりあずきちさんにリクエストいただいたもの
    ・「慌てて止めて」「うっかり」「笑い話」
    ・ズーマとラブルの友情話

    遊ぶのも食べるのも大好きなノリノリ末っ子組好きです🥰
    ズマ、ラブル加入当初にちょっと複雑な思いを抱いてると美味しいなあ…と思っていました。
    でもラブル良い子だし気も合うからすぐに仲良くなっていてほしい…🙏
    「慌てて止めて」「うっかり」「笑い話」

    僕は最近、少し複雑な思いを抱えている。
     怒っているとか機嫌が悪いとかではない。任務も楽しくこなしているし、海で遊ぶのも前と同じように好きだ。だけど遊んでいる時も、ご飯を食べている時も、なんだか急にモヤモヤとした気持ちに襲われて少し落ち込んでしまうことがある。原因は分かっていた。チェイスとスカイと遊びながら、芯から楽しそうに笑う同い年の彼――ラブルの姿を見ながらそっとため息をつく。
     ラブルは同い年だから僕と気が合うし、明るくて優しいいい子だと思う。彼と遊ぶのはとても楽しい。だけど彼が来てから「末っ子」のポジションは僕一人のものではなくなってしまった。末っ子で甘え上手なラブルは一番年上のチェイスとスカイには特に沢山甘えているように見えた。今もチェイスとスカイにスケートボードをしている姿を見せているが、ころころとはしゃぐ姿は同い年の自分から見ても可愛らしい。年上でしっかり者の二人からすればより可愛く思っているのだろう。現にラブルのことを見守る二人の視線は優しくて、ラブルを取り囲む空気は柔らかくて幸せに満ちていた。
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    まよ🦭

    DONEワードパレットよりわかめさんにリクエストいただいたもの
    ・「ピンと伸びた背筋」「努力」「眩しい」 
    ・ラブル→スカイ
    ・ミッションパウ映画のネタバレあります

    リクエストありがとうございました💡
    ミッションパウ映画のスカイちゃんかっこよかったですね…👑
    ラブスカちゃん、球技回で息ぴったりだったり、ザムビでの🚁→🔧の「結構似合ってると思うし」「さすがラブルね」発言とか…可愛くて好きです🙏
    「ピンと伸びた背筋」「努力」「眩しい」

     エアパトローラーに乗り込んでいく姿をスウィーティは面白くなさそうに見つめていた。結局ロイヤルストーンも、女王の座も手に入れられなかったことが不服なのだろう。そんなスウィーティに近づいてスカイはいつものように柔らかい笑顔を向けた。
    「改めてお礼を言うわスウィーティ。今回は助けてくれてありがとう」
    「わたくしはいずれ女王になる身なのですから、この国を救うのは当然ですわ」
     いつものように高飛車に返すスウィーティに苦笑いを向ける。その穏やかな眼差しはいつも自分たちに向けられるものと同じだった。悪態をつく相手にも「お姉さん」の顔を向ける姿は慈愛に満ちていて優しい。その笑顔を見ていると自分まで頬が綻ぶのをラブルは感じた。
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