明明と心悦の出会いの話(途中で終わります)――日、――――金品を目的とした強盗が発生し――
父親、母親、長男の遺体を、偶然出掛けていた長女が発見――心因的なショックが強く――近隣住民から改めて通報が――犯人は未だ逃走中――目撃証言を集め――回復次第、第一発見者であり唯一の生き残りである長女から話を――
差し出された写真に映る、幸せそうに笑う家族。そのうちの一人である褐色肌の少女を施設長は「この子です」と指さした。
「ふーん、この子が明明?」
「はい。…ですが、その…事件のショックが強すぎるのか、何も話してくれなくて。かろうじて筆談なら…」
名前や年齢、書類上分かること以上のものは知らないのです、と施設長は首を振る。
一家強盗殺人事件、唯一の生き残り。それが、この家族写真に映る少女――明明だった。家族の変わり果てた姿を一番に見てしまったらしい彼女は、事件後保護されてからずっとこの調子だと話には聞いている。俺が援助しているここの孤児院に引き取られたのはたまたまだったが、今回援助の件で電話した際、明明のことを聞き興味を持って施設まで足を運んだ。時折様子を見に来てはいるが、個人的な目的を持ってここへ来たのは初めてだった。
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