淡雪の下に埋まるもの あたたかに地を照らす初春の陽光、微風に揺れる草木。アムル天将領、緑都イザミルの穏やかな朝。
エドワールが支度を終えても、未だ隣の寝台はこんもりと膨らんだまま、動き出す気配もない。
先日、突然ふらりと姿を消したかと思えば、立ちはだかる様にして再び目の前に現れ、そのまま殴り合いの大喧嘩に発展したものだから(実際のところそんな可愛いらしい形容で収まるものでも無かったのだが、五人の中ではそういうことで話がついた)、エドワールはまた何かあるのかと、にじり寄って来た負の感情を誤魔化すように、静かに布団の中を覗き込む。しかしそこには、見慣れた顔の、見慣れない寝顔があった。
珍しい。
変に強張った身体を脱力させたエドワールは、まぁその内起きてくるだろうと、特に何をするでもなく部屋を出た。
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