「孫悟空の息子め……忌々しい……」
舞い戻ってきた地獄にて恨み辛みを吐くのは仕方がないことで。ドラゴンボールの力で蘇り、孫悟空への復讐の為にこの私がわざわざ修行してまで地球へ出向いたというのに、まさか復讐相手を見ることも叶わず息子に敗北するとは。何度思い出しても腹が立つ親子だ。
「ちくしょう……絶対に許さんぞ孫悟空の息子……」
「フッフッフ……どうやらようやく貴様にも孫悟飯の強さが理解できたようだな」
「その声は――セルさんですか。すみませんが今は貴方の相手をしているほど私は気が長くないんですよ」
「フリーザ、余裕がない貴様をからかうチャンスを私が逃すわけないだろう?」
どこからともなく背後から聞こえてきた声は地獄で同じ釜の飯を食べた中の人造人間であった。同じく孫悟空へ恨みを持つ者として共に過ごしてきたが、今はその愉悦を楽しむ存在が鬱陶しい。無視して反対方向に足を進めるが瞬間移動で正面へ回り込んでくる。まるで子供のような悪戯が妙にカンに触った。
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