Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    簾 臭子

    業の塊
    フォロワー限定のものはpixivかR-18アカに上げているのでそちらから見ていただければ幸いです🙇‍♀️
    🔞アカ→@erotsmell
    pixiv→https://www.pixiv.net/users/23020921

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 72

    簾 臭子

    ☆quiet follow

    ちあしのSS

    ##ちあしの

    新しくドラマの出演が決まったと千秋から連絡が入った。撮影現場が寮から通うには遠かったため、ウィークリーマンションを借りることにしたらしい。そう連絡があった数日後、忍達はそのドラマ撮影の見学に来ていた。無事その日の収録は終わり、千秋が3人の元に駆け寄って来る。今晩部屋に泊まっていかないかと誘われたが、鉄虎と翠は次の日に用事があると断る。一人暮らしが寂しいのだろうか、露骨にしょんぼりする千秋を不憫に思った忍は誘いを了承し、1人で泊まることになった。

     ワンルームの狭い部屋には家具が備え付けで置いてあるようで、ある程度の電化製品も揃っていた。
    「う、ウィークリーマンション?って便利でござるね」
    「ああ……ただ、他人の部屋にいるみたいでなんだが落ち着かないんだけどな」
    千秋は苦笑いで答える。言われてみれば、千秋の私物はほとんどなく妙に生活感のない部屋だった。キョロキョロと部屋を見渡すと、キッチンの隅に置かれているゴミ袋に目がつく。中にはカップ麺の容器が重なっている。
    「守沢殿、もしやちゃんとご飯食べてないでござるな?」
    ぎくりとした表情で振り返る千秋。
    「そのだな、撮影が忙しくて…」
    「そんなんじゃいつか倒れちゃうでござるよ」
    ため息をつきつつ、冷蔵庫を開ける。
    「うわ、なんも入ってない。マジでカップ麺しか食べてないんでござるか」
    「いや、時々外食しているぞ。一人の食事はなんだか味気なくてなあ」
    そう言い、また寂しそうな顔をする。
    「……拙者、夜に用事がない日なら、ご飯作りに来れるでござるよ」
    「いいのか!?……いや!仙石も生徒会やなんやらで忙しいだろう?これ以上無理をさせるのは心苦しい…!」
    申し訳ないと言いつつも、期待に満ちていた目で忍を見つめている。忍が弱っている千秋のことを見捨てられるはずがなかった。きっと、千秋もそれをわかっているのだろう。


     こうして、忙しくまともな食事ができていなかった千秋のために忍が晩御飯を作りに行く、という習慣ができた。まるで通い妻のようだと、忍は内心思った。
     その日は用事と言ってもユニットでの簡単な打ち合わせだけだったため、生徒会の仕事も昨日のうちに片付けておいた。制服のままで行くのはなんとなく憚られたため、一度星奏館に帰り私服に着替えた。念のため、今日行く旨をメッセージで連絡しておいた。
     忍は慣れた手つきで玄関の鍵を開け部屋に入る。午後6時、夕日がフローリングの床を赤く染めていた。まだ千秋は帰ってきていなかった。来る途中に買ってきた晩御飯の食材をテーブルに置く。ゴロゴロと中でじゃがいもが転がる。今夜はカレーだ。

     ある程度準備を済ませ、ソファ代わりのベットに腰を下ろす。ポケットからスマホを取り出し、ホールハンズを立ち上げる。数時間前に送ったメッセージはまだ既読になっていなかった。
    「撮影、長引いてるのかな……」
    ボフっと上半身をベッドに沈める。瞼を閉じ、深く息を吸う。千秋の匂いが鼻腔に広がり、ふうと息をつく。翠はよく汗臭いと評していたが、忍はその匂いは嫌いではなかった。安心するというか、優しく抱きしめられているような気持ちになるのだ。
    (守沢殿まだかなあ……)
    帰ってきたら出来たてのカレーを一緒に食べて、お風呂に入って、ベッドの中で今日あったことを話して。微睡む中でぼんやりと考えていた。玄関の鍵が回る音が待ち遠しい。

     千秋が帰ってくることはなかった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭😭😭😭🙏👍😭😭😭
    Let's send reactions!
    Replies from the creator