出会いし者達 真っ白い壁に囲まれた無機質な部屋に男女二名ずつの四人が倒れている。その中の一人、金髪の男が額を押さえながら体を起こす。頭痛がするのか、それとも眩暈を感じているのか、眉間に刻まれてれている皺を更に深めながら辺りを見まわし、自分の隣で横になっている黒髪の女を視界に捉えた瞬間、抱き上げてその呼吸を確認し安堵のため息を吐く。その呼吸音から異常を感じられなかったからだろう。
さて、これはどういう場所だと冷静に思考を巡らせる。実はこの男は一度だけこういった部屋に閉じ込められた事がある。その時は今抱いている女との二人だったが。
「大いなる星の意志……二度も経験するとは……」
ご大層な名称を使っているが、俗説的な言い方をすれば『出られない部屋』である。閉じ込められた部屋の中で出された条件をクリアすると扉が出現するという、どんなシステムで誰が組み上げたのかも分からない、神隠しとも言える自然災害的な現象とこの男は考えている。
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