恋人は、恋人は、
「なぜ知論派だったんだ」
セノが不意に尋ねる。問われたアルハイゼンは読みかけの本から視線をセノに移した。
「いきなりどうした」
「前から気になっていたんだが、機会が無くて」
「いくら機会がないからといって、君は人の進路の選択という大事なことをデッキの構築に行き詰まった気分転換として聞くのか」
アルハイゼンがセノの手元を咎めるように見て言えば、セノは少しだけバツが悪そうな顔をした。そして、そういうつもりではなかったんだが、と前置きをして続けた。
「俺はお前が賢い人間だと思っているし、実際多岐にわたる知識も持っている。だからこそ、なぜ知論派を専攻したのか気になっただけだ。お前なら他の学派でもやっていけただろう」
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