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    noa_noah_noa

    アルセノの文章を時々。
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    POIPOI 19

    noa_noah_noa

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    アルセノ2つ目。
    多少のキャラストバレと多大なる捏造設定あり。
    単純に後半のシーンが書きたかっただけ。





    引用元

    https://www.poetryfoundation.org/poems/43812/a-red-red-rose

    http://marieantoinette.himegimi.jp/gardenredrose.html

    #アルセノ
    haino

    恋人は、恋人は、

    「なぜ知論派だったんだ」

    セノが不意に尋ねる。問われたアルハイゼンは読みかけの本から視線をセノに移した。

    「いきなりどうした」
    「前から気になっていたんだが、機会が無くて」
    「いくら機会がないからといって、君は人の進路の選択という大事なことをデッキの構築に行き詰まった気分転換として聞くのか」

    アルハイゼンがセノの手元を咎めるように見て言えば、セノは少しだけバツが悪そうな顔をした。そして、そういうつもりではなかったんだが、と前置きをして続けた。

    「俺はお前が賢い人間だと思っているし、実際多岐にわたる知識も持っている。だからこそ、なぜ知論派を専攻したのか気になっただけだ。お前なら他の学派でもやっていけただろう」
    「これは褒め言葉として受け取っていいのか?」
    「俺の言葉をどう受け取ろうがお前の自由だ」
    「そうか」

    アルハイゼンは一人納得したらしく、持っていた本を閉じ、サイドテーブルに置いた。そしてそのまま立ち上がるとベッド横の本棚から1冊の本を取り出し、再びベッドに腰掛ける。

    「セノ」

    アルハイゼンの一連の動きをじっと見ていたセノは呼びかけに瞬きで返した。

    「ん」

    ぽん、と己の膝を叩いたアルハイゼンの意図を汲み取ったセノは、絨毯の上に広げていたカードを一纏めにしてケースにしまい、サイドテーブルの上に置くと、自身は慣れた仕草でアルハイゼンの膝の上に収まった。
    アルハイゼンは己の膝の温もりを堪能しながら、口を開いた。

    「先ほどの質問だが」
    「ああ」
    「俺の家系は元々学者が多く、親が知論派だったからというのが最も単純な理由なのかもしれない。実際、家には知論派関連の本が沢山あったからそれをしょっちゅう読んでいたしな。だが、実際学んでみるとそれだけじゃないと思うようになった」
    「というと?」
    「言語が持つ規則や法則性を解明するのが面白い。それらを解明することでその言語を使用してきた人々の文化や歴史を学ぶことできるのも魅力的だ。それに、」
    「それに?」
    「いくら研究が進んで現代の言語に訳されていたとしても、元の言語じゃないとわからないものもあるんだよ、セノ」

    アルハイゼンは持ってきた本をぺらぺらとめくり、目的のページを開いてセノの眼前に持っていった。読んでくれ、と言われたセノは口を開いた。

    「『ああ、恋人は、赤い、赤いバラのよう
      六月に花咲く
     ああ、恋人は音楽のよう
      甘い調べ

     その美しさにかなうほどに
      私の愛もそれほど深い
     恋人よ、いつまでも、あなたを愛する
      すべての海が涸れ果てるまで

     恋人よ、すべての海が涸れ果てても
      すべての岩が太陽に溶けようとも
     恋人よ、いつまでも、あなたを愛する
      私の命ある限り』
    ……随分情熱的な詩だな。お前の趣味か?」

    セノ背後の人物に視線を向ければ、アルハイゼンは眉ひとつ動かさず言った。

    「まさか。これはフォンテーヌのとある地域で昔から親しまれている詩だ。以前、この地域の古語を学ぶときの資料で使った。この詩は君の指摘通り情熱的で恋人に捧げる詩なんだが、元の言語で読むとこうなる」

    アルハイゼンはセノを後ろから抱き込んでセノの手元のページを覗き込んだ。セノに渡した本は古語の隣に対訳が書かれているものであったから、読みにくいだろうと思ったセノは顔を少し傾け、アルハイゼンはセノの右肩に頭を乗せ、ゆっくりとセノの耳元で読み始めた。必要以上に息を吐き、大袈裟なほど舌を丸めながら。

    「O my Luve is like a red, red rose
        That’s newly sprung in June;
     O my Luve is like the melody
        That’s sweetly played in tune.

     So fair art thou, my bonnie lass,
        So deep in luve am I;
      And I will luve thee still, my dear,
        Till a’ the seas gang dry.

     Till a’ the seas gang dry, my dear,
        And the rocks melt wi’ the sun;
     I will love thee ……
    ……どうした、セノ?」

    アルハイゼンは膝上の恋人が小刻みに震えているのに気付き、読み上げるのを途中で止めた。

    「っ、お前は今までも口説いていたのか………」
    「まさか! 言っただろう、この詩はあくまで資料にしかすぎないと。だから、こうやって読み聞かせてあげるのは君だけだよ、セノ」

    アルハイゼンは恋人の手元から本を奪い、サイドテーブルに積んだ。そして未だにふるふると震えている恋人の首筋に唇を寄せる。

    手中の薔薇を喰むのにそう時間はかからなかった。アルハイゼンは窓から陽の光が差し込むまで薔薇を愛で続けた。

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    noa_noah_noa

    CAN’T MAKE夏の初め、フォロワーさん達とマルチ中に「⚖️にキスしてほしくて溺れたフリをする🌱」の話で盛り上がり、私なりに書いてみた結果、惨敗しました。
    もし覚えていたらこっそり読んでください。もう夏が終わってしまいますが。

    ※フォロワーさんとのやり取りで出てきた台詞を引用・加筆して使用しております。

    ※水場でふざけるのは大変危険です。よいこは絶対にやらないでください。
    通り雨通り雨


     キスがほしい。
     恋人からのキスが欲しい。

     突如脳内を駆け巡った欲望は多忙の恋人と規則的な己の休暇を無断で申請させた。恋人に事後報告をすると、当然こっぴどく叱られた。けれども、その休暇を利用して稲妻旅行をしようと誘えば満更でもなさそうに首を縦に振ったので胸を撫で下ろした。まず、第一段階完了。

     稲妻までの道中、セノはいつものように気に入りのカードを見比べては新たなデッキを構築したかと思えば、『召喚王』を鞄から取り出してすっかり癖がついてしまっているページを開き、この場面の主人公の台詞がかっこいいと俺に教えてくれた。もう何百回も見ている光景だというのに瞳を爛々と輝かせる恋人はいつ見てもかわいい。手元の書物に視線を落としながら相槌を打っていると離島に着くのはあっという間だった。第二段階完了。
    2223

    noa_noah_noa

    REHABILI理科室の恋人。(https://poipiku.com/7286563/8958806.html)と同じ世界線のお話です。モブがひたすらおしゃべりしているだけ。それでも平気な人だけどうぞ。
    とある司書の話とある司書の話


     きれいな男の子がいたの。
    戦前からの歴史ある学校だから、当時の貴重な資料もたくさんあって。だから学校だけじゃ管理が不安だって、外から職員も雇っていたの。だから私もあそこで働いていたのよ。
     でも生徒さんたちはそういう古いものなんて興味がないでしょう?あのくらいの年頃の娘さんたちは図書館なんてほとんど寄り付かなくてね。授業の一環だったり、係の仕事だったり。それ以外なら自習室代わりに使う子は少しいたくらい。利用者のほとんどは一般開放日の地域住民よ。それもうんと年上のね。

     だから今でも覚えているのかもしれないわ。
    毎週火曜日と木曜日に来ていたの。一般利用ができるのがその2日だったから。毎回きっかり16時半に来てたの。チェックのネクタイに紺色のブレザーを着た男の子。あそこから自転車で20分くらいの学校の制服だったわ。え?今は駅が出来たの?あんな住宅街の中に?そこからだったら1駅の場所にある学校ね。ええ、その学校よ。中高一貫の名門校。
    2603

    noa_noah_noa

    REHABILI赤い目の🌱が書きたくて、プロット作って放置してたら違うものになってしまった。
    リハビリ
    少しドメスティックでバイオレンス。
    文章は書き続けないと鈍る。
    green eyedだよねえ、本当は。
    あかい目のかいぶつサマあかい目のかいぶつサマ





    ※赤い目のアルハイゼンを一度でいいから書いてみたかったけれど、何だかいつも通り変なものになってしまった。何でもありな人向け。








    あ、

     振りかざされた拳に気付いたのと同時に左頬がカッと熱くなる。途端、視界も急変。
    薄暗い室内でぼんやりと浮かぶ白い天井と、ぎろりと光る赤い、瞳。

    またか、

     自身の下腹部に響く殴打音を聞きながら、己の仕事が荒事を解決することでよかったと思う。そうでなければ無意識に受け身をとることだってできなかっただろうし、急所を気付かれないように避けるなんて芸当できなかったと思うから。

    「考え事とはいいご身分だな、セノ」

     眼前の男にはバレていたらしい。赤い目がぎりりと細くなったかと思えば、両手が首元にかかる。感情に任せて絞めあげられてしまえば、ぱくぱくと口を開けることしかできなくなる。止めさせなければならないのはわかっている。自分の右手を上げかけて、止めた。
    1325

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     きれいな男の子がいたの。
    戦前からの歴史ある学校だから、当時の貴重な資料もたくさんあって。だから学校だけじゃ管理が不安だって、外から職員も雇っていたの。だから私もあそこで働いていたのよ。
     でも生徒さんたちはそういう古いものなんて興味がないでしょう?あのくらいの年頃の娘さんたちは図書館なんてほとんど寄り付かなくてね。授業の一環だったり、係の仕事だったり。それ以外なら自習室代わりに使う子は少しいたくらい。利用者のほとんどは一般開放日の地域住民よ。それもうんと年上のね。

     だから今でも覚えているのかもしれないわ。
    毎週火曜日と木曜日に来ていたの。一般利用ができるのがその2日だったから。毎回きっかり16時半に来てたの。チェックのネクタイに紺色のブレザーを着た男の子。あそこから自転車で20分くらいの学校の制服だったわ。え?今は駅が出来たの?あんな住宅街の中に?そこからだったら1駅の場所にある学校ね。ええ、その学校よ。中高一貫の名門校。
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