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    kmnt0531

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    kmnt0531

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    いおさる♀▶︎🩷総受け▶︎いおさる♀
    になる予定の小説です
    尻叩き様に進捗載せます✌️
    🩷が女体化してるので苦手な方はご注意ください

    #いおさる

    女体化🩷受けハウス
    「慧、俺たちと一緒に住んじゃダメだよ」
    「……はぁ?」

     突然街で話しかけてきた相手は、気だるげで何を考えているのかわからない、どこか怪しい紫の瞳が印象的な男だった。



     茜色の空も沈み始め、時刻は夜に近い時間帯。やるべきことを全て終えいつものように何もすることなく家でボーっとしていると、突然鍵の開く音がした。自身の家の鍵を持っているのは自分以外には1人しかいないため、特に確認することなくお茶の準備をし始めた。
    「いらっしゃ〜い。来る時は連絡してって言ってるでしょぉ?そしたら買い出しとか行って猿ちゃんの好きなもの作れるのに」
    「うっせぇなぁ、いいだろ別に」
    「ほら手出して。洗ってあげるから」
    「ふざけんなバカ。それくらい自分でできるわ!」
     プリプリ怒りながらすぐさま洗面所に向かった彼女は、幼馴染の猿川慧。幼少期からの仲で、学校卒業後も未だに親交のある唯一の人物だ。何かと危なっかしい彼女は放っておくとやれ喧嘩だのやれカチコミだのと血の気が多く、彼女が成人して施設を出てからは何かあったらすぐ来るようにと合鍵を持たせるようにしているのである。最初の頃は1ヶ月に1回、フラッとご飯を食べに来る程度であったが、依央利の奉仕の甲斐あってか最近では1週間に2.3回ほど依央利が休みの日や夜に合わせて訪れてくれるようになったのである。
     本日の格好はホットパンツとノンスリーブにいつものダフっとしたジャケット姿。相変わらず心配になる露出度だが怪我のチェックをするには最適だ。洗面所にいる彼女の体をさりげなく見てどこか怪我をしていないか確認する。喧嘩っ早い彼女は擦り傷をこさえてくることなど日常茶飯事で、時々とんでもない怪我をしてくるのでこちらとしては気が気じゃない。何度も注意してはいるものの一向に止める気配がなく、彼女の施設の保護者たちに何故か申し訳無くなってしまう。3ヶ月ほど前、綺麗なその肌の至る所を朱に汚し、額から血を流して帰ってきた時は流石に過去最高に叱り2日間家から出さなかったのが応えたのだろう、そこから少しは気にするようにはなったものの、未だ生傷が絶えない彼女のことがやはり心配だ。今日は特に怪我はなさそうだと一安心したのも束の間、手を洗い終わった彼女がこちらの視線に気付き少しムッとした表情で睨み返してくる。
    「……何見てんだよ」
    「いや、どっかまた怪我してないかなぁって思って」
    「余計なお世話だバーカ」
     憎まれ口もそこそこにテコテコと部屋に入った彼女は僕のベットにいる大きな犬のぬいぐるみを抱え、スマホをいじり出してしまった。これもいつものことなので、あまり気にせず2人分の夕飯の準備に取り掛かる。
    「猿ちゃん、お夕飯何食べたい?」
    「肉」
    「も〜またぁ?」
     家にある食材を使い、有り合わせだがなんとか彼女の要望に応えるべく料理をする。いい負荷だなぁと、どこか他人事のように黙々と作業に取り掛かった。



    「「いただきます」」
     豚肉があったので今日は生姜焼きをメインにした和食にすることとした。チラリと相手の様子を見るといつもより頬を緩め無言で食べ続ける様子から、言葉にせずとも美味しいと感じてくれていることが伝わってきた。こういうふとした瞬間に垣間見える表情の幼さが、彼女への加護欲を引き立てるのだろうか。
    「たくさんあるからいっぱい食べてね」
    「おう」
     短い返事と共にまた無言で食べ続ける彼女の姿は昔から何も変わっていない。そのことを微笑ましく思うし、その事実を知っていることに優越感を覚えている自分がいることも自覚している。ずっとこの顔が見れればいいのにとこれまでも何度も思ってきた感情がまた浮かび上がってきてしまった。
     無我を自称している己だが、長年付き合ってきたこの感情には目を背けることができなかった。自身は、この目の前の幼馴染にいつしか友情以上の感情を覚えてしまっていたのである。
     きっかけはなんだったのか、いつ頃から自覚し始めたかだなんて覚えてすらいない。だが彼女と過ごす時間が増えていくたびに少しずつ抑えの効かなくなっていくこの独占的な感情を恋と呼ばずしてなんと形容するのか、依央利にはわからなかった。
     学生のうちは何度も伝えようとしたものの、その度に自由を好み何事にも縛られない彼女が自身の思いを知ったら離れていってしまうのではないか、空っぽな自分がこんな感情を抱いているのはおかしいのではないかと散々悩み、結果この年になるまで彼女が気付かないことをいいことに「幼馴染」という関係にあぐらをかいているのである。我ながら臆病にも程がある。
    「ねぇ猿ちゃん、家にはちゃんと帰ってる?施設じゃなくて、君が借りてる方の」
     フラフラと一つの場所にいつかない猿川だが、一応現在アパートの一室を借りそこで時々寝泊まりをしている。あまり帰らない猿川のために(無理矢理)合鍵をもらった依央利が時々掃除などをしに行くものの、この頃めっきり帰っている様子がなかった。
    「あぁ?…最近はあんま帰ってねぇよ」
    「どこ泊まってるの?」
    「別に……〇〇とか〇〇んとことか、ってか関係ねぇだろ」
     ここで男の名前が挙げられたどうしようかと思ったが、幸いなことに何度か名前を聞いたことのある女友達で安心した。
    「それにあの家は…「ねぇ猿ちゃん」
     今しかないと思った。今この話題が出てるうちに、彼女に告げてしまおう。

    「……僕の家で一緒に住まない?」
    「えっ」

     少し驚いた表情で猿ちゃんがこちらを見る。予想通りの反応だが、もう後には戻れないと言う気持ちが頭をグルグルする。
    「あんまり帰ってないなら解約した方が家賃も浮くし……あっ、それにほら、家のことも僕が全部やるからさ!どうかな。」
     それらしい方便を並べたが、実際のところ彼女を少しでも自分の目の届く範囲に置き、自身との時間を増やして欲しいだけである。最初の頃は自分の元に帰ってくるだけで嬉しかったにも関わらず、人間とはよく深い生き物で今度は彼女の関心が他のモノに向くことを恐れるようになってしまった。何も行動に起こせないにも関わらず独占欲だけは人一倍強い自分の本性を、彼女は果たして気付いているのだろうか。どちらにせよ、客観的に見れば間違いなく彼女は自分と距離を置くべきであるのには変わりない。そうさせないようにしてるのは、依央利自身のエゴからきているのだが。
    「………まぁ悪かねぇな」
    「……!」
     少しの沈黙ののち彼女の口から出たのは、予想に反してほぼ肯定と捉えていいものであった。しかしこの時がテンションの最高潮で、その後とんでもない発言を耳にするだなんて誰が思うだろうか。
    「じゃあ…!」
    「でも無理だ。ちょうど今日新しい家の契約しちまった」
    「…………あたらしいいえ?」
    「おう、ほらこれ」

     新しい家とは……?

     理解が追いつかないままでいると、猿ちゃんがカバンから出した書面の束を渡してきた。心ここに在らずの状態ではあったものの、見ないわけにはいかないので目を通してみるとそれは正真正銘物件の契約書で、契約日は今日になっていた。
     急な展開に頭がついていけないが、一つわかるのは自分のタイミングがあまりにも悪すぎたということだ。猿ちゃんの反応を見るに、昨日以前にこの話をしていればなんやかんや言って承諾してくれていたのではないだろうか。過去の臆病な自分に対する怒りと、自分に相談なしで引越しを決めたことに対するショックで目の前が真っ白になった。
    「…………いつ引っ越すの?」
     やっと口を開いて出た言葉は呆れるほどお決まりのセリフで、自分で笑いそうになってしまう。
    「うーん……まぁ荷造りとかもあるし、あいつもいつ来てもいいって言ってるからまだ決めてねぇな」
     相手の口から出た言葉に、耳を疑った。「あいつ」と言うことは、誰か共に住む相手がいるのだろうか。相手は、男だろうか。
    「…………一人暮らしじゃないの?」
    「はぁ?お前せっかく書類見せてやったのに読んでねぇのかよ。引越し先、ルームシェア用の家だぞ」
    「えっ、あっ本当だ……」
     よかった……と安堵の言葉が出なかった自分を褒めてあげたい。自身と暮らせないと言われたせいもあり、一つ一つの言葉に過剰に反応してしまう。最悪な想像をしてしまったなどと思ったところで、ここまでくればいよいよだなと自分で自分がおかしくなってきた。
    「……うん、ルームシェアいいね。猿ちゃん、めちゃくちゃ寂しがり屋だし、施設の頃みたいに賑やかかもね」
    「はぁ?別にそんなんじゃねぇし」
     ルームシェアなら、逆にいいかもしれないと思った。同じ屋根の下で暮らす以上、ある程度住む上での決まりもあるだろうし、何より人の目がある。怪我の多い猿ちゃんを心配してくれる人が1人くらいはいるはずだ。
    「でも本当に急だね」
    「まぁ今日声掛けられたからな」
    「えっ、そうなの!?それなのにポンと契約しちゃうだなんて……そんな仲良い友達いたっけ?」
    「ダチじゃねぇ、知らねぇやつ」
    「…………ん?」
     事もなさげに淡々と話す幼馴染の言葉に耳を疑った。今彼女はなんと言っただろう。
    「……えっ、何、猿ちゃんもしかして今日初めて会った人からルームシェアしませんか?って声掛けられたの?」
    「おう」
    「で、契約したとな?」
    「『絶対一緒に住むな』って言われたから、そりゃあ住むしかねぇだろ」
    「…………スッーーー」
     頭が痛い。嘘だと言って欲しい。こんな時どうすれば良いのだろう。彼女の何にでも反発する性質は自分が一番よく理解してるし、別に今に始まったことではない。左を見ろと言われれば右を、してはいかないと言われた事を率先して行う。それでだいぶ苦労してきてのは勿論知っているし、依央利の知っている限りそれが原因のトラブルは星の数ほどある。しかしそれらは全てあくまでも取り返しのつく範囲であった。今回のは本当にまずい。確実に何か悪いことに巻き込まれている気がする。この純粋すぎる幼馴染がいつか本当に騙されて取り返しがつかないことになる前に自分が守らなければいけないと心から思った。
    「………猿ちゃんよく聞いてね。」
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