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    ドルあんℒℴѵℯ

    ドルあんがとても大好きでつ😻❤️ドルあん以外は来ないでください🎶☺️✋定期的に投稿消すかも😉❗

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    POIPOI 5

    言の葉党員のあんずちゃんが見たくて自分で書いたノ✨あんずちゃんは中王区に行っても社畜でいてほしいな😻合歓チャとも同い年だし(多分)仲良く百合百合…おっと誰か来たようだ
    総愛されでつ❗総愛されまじ大好き😘
    オチがなさそうなのでここに載せときまつ❤️
    ヒプノシスマイクとのクロスオーバーだよ‼️👈遅い

    #転校生ちゃん
    transferStudent.
    #あんず
    apricot
    #転校生受け
    studentWhoRepeatsAYear
    #クロスオーバー
    crossover
    #中王区
    zhongwangDistrict

    あんずちゃんが中王区入りしたってよ急げ急げ急げ!

    今日は大事なライブの打ち合わせなのに、なんでこんなことに。
    まさか電車の遅延に巻き込まれるとは思わなかったし、バスもやっと乗れたと思ったら今度は渋滞…!!

    あまりにも不運すぎる。
    最寄りのバス停に降りれたとはいえ、打ち合わせ場所まで結構歩かないといけない。
    走って向かっているけど、間に合うか間に合わないか瀬戸際だ。

    「やれー!中王区を蹴散らせー!」
    「ふん!男どもがギャンギャン騒がしい!」

    はあ、嘘でしょ。まさかの路上バトル?
    となると、邪魔しないように目的地に向かうと遠回りをせざるをえなく、絶対集合時間にまに合わない。
    目の前のラッパーたちがヒプノシスマイクを起動した。
    今にもラップバトルが始まろうとしている。
    今ならまだ間に合う。ここを突っ切れば!

    ……ごめんなさい!水を差すようで悪いけど、そこ通ります!!

    私は覚悟を決めてダッシュした。

    それと同時だった。

    ヒプノシスマイクを通じた攻撃が、


    私に直撃した。


    ✦✦✦


    「うーん、薫さんデートはまた今度…奏汰さん体拭いてください…ライカくん財布に虫詰めるのやめて………………ハッ」

    朝。私はいつも通りの時間に目覚めた。
    体を伸ばし、寝ぼけた体を起こす。
    なんだか今日はすこぶる調子が良い。たくさん睡眠したみたいだ。
    さて、今日も仕事がたくさんあるから頑張らないと。

    「おはようございます。あんずさん。朝食はこちらに置いておきますね」

    ……………。

    …あれ?

    私は見知らぬ声に一時思考停止する。
    そして、横を見た。

    「……誰」
    「あはは…そうですよね…」

    ベットの脇に立っていたのは綺麗な銀髪にピンク色の切れ目の美人な女の子だった。
    一瞬頭の中でこの子アイドルいけるな、とよぎったがそれどころではない。

    「すいません、どちらさまでしょうか…」

    そもそもなんでこんな女の子が家にいるのだろうか。
    ESのアイドルならともかく、この子とは初対面すぎて訳が分からない。

    「自己紹介がまだでしたね。私は碧棺合歓といいます。中王区の者です」

    へえー。こんなに若い子なのに、中王区の子なんだ。

    …ん?

    「ちちちちちち中王区?!」
    「そ、そんなに驚きますか?」

    そりゃそうだ。なんてたって中王区言の葉党が家宅捜索に来ているだないて目の玉が飛び出てしまう。
    確かに私は言の葉党の思想と反し、男性アイドルを全力プロデュースしているからいつか目を付けられるとは思っていたけど。
    なにかやらかしたかだろうか…。

    「そんなに怯えなくていいですよ。あと、ここ中王区ですから。あなたのご自宅ではないですよ」
    「え?」

    そう言われ我に返る。
    冷静になって周りを見ればそこは私の部屋ではなかった。

    「えっと、なんで私がここに…」
    「それは……すいません。私のせいなんです!ごめんなさい!!」

    合歓といった子は突然頭を下げはじめた。
    私は訳が分からず、顔を上げてと彼女を見る。

    「いいえ、これは私の不注意なんです。あんずさん、気が済むまで私を殴ってください!」
    「え?!いや、アイドルは顔が命だから(?)それより早く顔を上げてー!」

    なんとかして、合歓さんの顔を上げさせると、彼女は今に至った過程を教えてくれた。
    簡潔にいうとラップバトルの間に突然割り込んだ私は、間が悪かったのか合歓さんの攻撃が当たってしまい、そのまま中王区の病院まで運ばれ、合歓さんはマイクを持たない者へ攻撃した罰としてしばらく私の面倒を見ることになったらしい。
    何故近くの病院ではなく中王区の病院に運ばれたのかは不明だが、とんでもなく迷惑をかけてしまったことだけは分かった。
    結局打ち合わせも間に合わなかったし。みんな大丈夫かな…。

    「まあ割り込んだ私も悪いんで…」
    「いいえ、私も頭に血が登りすぎて周りを見ていませんでした。攻撃をやめようと思えばやめれるタイミングだったのに。武器を持たない持てない者への暴力は一番駄目だと私は分かっていたのに…」

    合歓さんはだいぶ気に病んでいるようだった。
    まあこちらはよく過労で倒れたりするのでそこまで気にしてはないが。
    それよりこんなところにのんびりしている場合ではない。
    ぶっ倒れたおかげでやらなければならない仕事が溜まっているのだ。

    「合歓さん、お世話してくださりありがとうございます。私仕事が溜まってるんで、朝ごはんを頂いたらお邪魔しますね」
    「え?!倒れたばっかりなのに、体調は大丈夫なんですか?」
    「まあ、これくらい日常茶飯事なんで。体調は万全とは言い難いですけど、無理するくらいが性に合ってるんですよ」

    私はベットから降り、立ち上がって朝ごはんがあるほうへ向かう。
    パンにスープにジュースと健康的なメニューだ。
    今まで食パン1枚だった朝ごはんと桁違いで感動すら覚える。

    「あんずさん」
    「なんですか?」

    ジュースを飲みながら合歓さんの顔を見れば彼女はなんだか険しい顔をしていた。
    なんだか嫌な予感がする。

    「あんずさん、あなたは今日から言の葉党員です。よって、アイドルのプロデュース業をすることを禁止いたします」

    「……はい?」

    私は持っていたコップを落としそうになった。

    ✦✦✦

    アンサンブルスクエアにて。

    「やあ、皆。集まってくれてありがとう」

    スタプロの大きな会議室にて天祥院英智は強豪ユニットたちの前でそう微笑んだ。…微笑んではいるが目は笑っていない。
    それに気付いた一部のアイドルたちは一瞬寒気を感じた。

    「さて、みんな今回は非常事態だ。…そしてこれは我々がこの国に革命を起こすかもしれない。覚悟して聞いてほしい」

    英智のただならぬ物言いにだらしなく聞いていたアイドルたちも流石に姿勢を正した。

    「単刀直入に言う。…プロデューサーいやあんずちゃんが中王区に捕らわれた」

    その言葉に空気がピリついた。
    割と騒ぐものかと英智は予想していたが、意外にも皆落ち着いているようだ。
    いや、Knightsの瀬名泉に至ってはどこかイライラしているし、UNDEADの羽風薫は顔面蒼白だし、Ra*bitsの天満光や紫之創は若干涙目になっている。

    それを見た英智は微笑みを消し、顔が険しいものに変わると、目線をCrazy:Bのリーダー____天城燐音に向ける。

    「さて、燐音くん。説明をお願いできるかな」
    「ったく、なんで俺…」

    英智に名指しされた燐音は面倒くさそうにそう呟いた。
    しかし、部屋中の全員の目線が全員に向けられ、燐音は事の事態を説明をせざるをえなくなってしまう。
    しかもチームメイトからはどこかあらぬ嫌疑をかけられている気がした。

    「燐音さん、さっさと吐いたほうが得っすよ」
    「椎名の言うとおりです。隠し事はさっさと吐きなさい」
    「いくら燐音はんでも、あんずはんになんかしたら許さへんで」
    「いや、俺はなにもしてねぇって…」

    普段の行いのせいだと燐音のチームメイト___椎名ニキ、HiMERU、桜河こはくは心の中で突っ込んだ。
    絶対こいつら失礼なことを考えてるな、と燐音は思いながら昨日の出来事を話しだした。

    ✦✦✦

    シブヤのとあるパチンコ屋にて。
    次の打ち合わせまで時間があったので、燐音はここで暇を潰すことにした。
    なにしろ今日はツキが良い気がしたからだ。根拠はない。

    ふと、店内に入りめぼしい場所を探していると、見慣れた姿がそこにいた。

    「お!だいちゃん!ひっさしぶりー!」

    燐音はその人に近付き、バンバンと背中を叩いて隣の席に座った。

    「あ、燐音か…。おいーす…」
    「ん?だいちゃん、元気ねぇなぁ!もしかして今日はツキが悪かったのか?」
    「そうじゃねえよ…。ただ、なんだか胸が晴れなくてな…」

    はあ、とだいちゃんはパチンコ台の上で突っ伏した。
    いつもなら今日は稼げる!と意気込むはずなのに今はどこかしおれている。
    さすがに燐音はただごとではないと察した。

    「だいちゃん、どうしたんだ?お兄さんでよければ話聞くぜぇ?」
    「まじか!実はな…」

    だいちゃんは今日起きたことを話してくれた。
    まず、とある場所でだいちゃんが所属するチームと中王区が衝突したらしい。
    そこまでよくあることなのだが、問題はそこからだ。
    ラップバトルが始まった途端、見知らぬ女性がバトルの間に割り込んだのだ。
    そして何も起こらないはずがなく、その女性は中王区の攻撃を全身に受けてしまい、その場で倒れてしまった。
    バトルは一時休戦となり、その女性の安全を確認すると、気を失っているだけで息はまだあった。

    「で、こっからなんだよ」
    「ここまででも情報多すぎるけどな」

    身元確認のため、中王区側が本部と連絡している中、なんとその女性がだいちゃんのチームメイトの知り合いと判明したのだ。
    そのチームメイトはファッションデザイナーらしく、その関係でその女性と一緒に仕事をしたことがあるらしい。

    「へえ、そんな偶然あるもんなんだねぇ」
    「胸糞悪いのはこっからなんだよ!!中王区のやつら、俺達に救急車を呼ぶなって威圧かけてきて、その女の子を連れ去って行ったんだ!きっと、自分たちの失態を隠すためだぜ!」
    「ふーん。そうだ、関係ねえけどさ、その女の子ってモデルかなんかだったのか?ファッションデザイナーと一緒に仕事してたって言ったっしょ」

    燐音はふと疑問に思ったことを口にした。
    中王区の悪行だかなんだか知らないが、思ったよりどうでもよさ過ぎて、しょうもないコメントしかできない。
    しかし、そのどうでもいい疑問が燐音…いや、ESアイドルたちの重い腰を上げることになった。

    「うーん。確かアイドルのプロデューサーってあいつは言ってたな」
    「…は」

    燐音は嫌な予感がした。
    いや、まだあの子とは決まっていない。女性のプロデューサーなんてたくさんいる。まさか、そんなわけが…。

    「だいちゃん、その女の子の名前を聞いてもいいか…?」
    「ん?えーと、確か"あんず"だったような…」

    ガタン

    燐音は勢いよく立ち上がった。

    「ごめん、だいちゃん。俺っち急用ができたわ」
    「お、おう…?」

    ぽかんとするだいちゃんをよそに燐音は急いでアンサンブルスクエアへと向かった。

    ✦✦✦

    「ってわけだ」

    燐音が一通り話し終えると、会議室の空気はさらに重くなった。
    Crazy:Bの他のメンバーに至っては頭を抱えている。

    「ふむ…大体の事情は分かった。じゃが、天城くん」
    「ん?なんだ零ちゃん」

    「だいちゃん…とは誰じゃ」

    ブッ

    どこかで誰かが水を吹き出した。
    ちらりとそちらを見れば、朔間凛月が思い切り咳き込んでおり、隣にいた鳴上嵐が凛月ちゃん大丈夫?とハンカチを差し出している。
    まあ大丈夫かと燐音は無視を決めると、どこか自慢げな顔をした。

    「だいちゃんは有栖川帝統のことだぜぇ!ほら、シブヤのFlingPosseの!零ちゃんも知ってっしょ!」
    「ふむ…。ああ、そんなやついたのう。確か自称ギャンブラーだとか」

    その会話に周りがざわめいた。

    「おおー!燐音さんのギャンブル好きってたまには役に立つっすねー!感激っす!」
    「俺っちちょっっと傷ついたわ」
    「燐音はん、その有栖川帝統とやらの言う事がほんまやったら、今からでも中王区に殴り込みにいくで」
    「いやいや、こはくちゃん一旦落ち着こう。な?」
    「天城、あなたは悔しくないのですか。中王区なんぞにあんずさんを攫われて」
    「そうだけど…って、メルメル!!顔が怖っ!!」

    今まで静かだったのが一気に騒がしくなった。
    ここまでの経緯でさすがに不満が爆発したらしい。
    今すぐにでも中王区にカチコミに行こうとする者、何やら怪しいことを考えてる者、素直なのか半分泣きべそな者とたくさんいる。

    「はい、みんな。一旦静まってね」

    それを見かねた英智はパンパンと手を叩き、場を落ち着かせる。
    ある程度静まりかえると、英智は再び喋りだした。

    「みんなの様子を見て、概ね全員は中王区に不満を持っている感じだね?」

    とその英智の言葉におう、もちろん、と賛成の声がたくさんあがる。
    英智はそれを確認するとまたもや笑みを浮かべた。

    「それじゃ…。あんずちゃんを中王区から取り返す作戦、ESアイドル総出で決行するよ」

    ✦✦✦

    「ちょっと合歓さん!どういうことですか!」

    私__あんずは合歓さんに半ば引きづられながら、中王区の建物の廊下を歩いていた。

    「そのままの意味です。今日からあなたは言の葉党員として働いてもらいます」
    「はあ?!そんな急に言われても…!私、仕事が残ってるのに!」
    「関係ありません。これは乙統女さん…総理からの命令ですので」

    そんな無茶な。いくらなんでも無理矢理すぎる。
    せめてそんなこと言うのは仕事が全部片付けてからがよかった。
    やり残した仕事がどうなっているか気が気でない。

    合歓さんはとある部屋の前で立ち止まるとコンコンとドアをノックした。

    「碧棺合歓です。入室しても大丈夫でしょうか」
    「ああ、入れ」

    なんだか怖そうな女の人の合図で部屋の中に入れば、開けた視界の先に、女性が一人立っていた。
    その人はピンクの髪に高身長で大きな胸が目立っている。

    「胸でか…」

    「おい、初対面でその口の効き方はなんだ」

    思わず素が出てしまい、慌てて私は咳払いをして何もなかったことにする。
    一応私は肝が据わっているほうだが、さすがに国のお偉いさんに減らず口をたたくつもりはない。
    何でもなかったかのように微笑むと、その女性がはあとため息をついた。

    「全く…。無駄口を叩かせるな。今日はそのためだけにお前を呼んだわけじゃない」
    「そうですか…ほっ」
    「だからといって急にリラックスするな。ったく、なんだこいつは…。流石は男どもにまみれて仕事をしているだけはあるな」
    「私のこと知っているんですか?」
    「もちろんだ。敏腕アイドルプロデューサー、あんず。お前のことは中王区内でも度々話題になる」

    えへへそれほどでも、と照れてみるが、その女の人は苛つきを募らせているようだ。
    まるでどこぞのちょーうざい!と言うアイドルみたいで内心微笑む。

    「話を戻すぞ。あんず、先程合歓からも聞いたと思うが、お前は今日から言の葉党員として働いてもらう。よろしく頼むぞ」
    「は?いやいや、そんなこと言われても…。なんで急なんです?せめて向こうの仕事を片付けさせてください」
    「噂に聞いた通りほんとうに仕事好きなんだな…。まあいい。お前をこちらに取り込みたい理由はただ一つ」

    私はゴクリと息をのむ。

    「お前のプロデュース力を我らに貸してほしい」

    …え?

    「あの、どういうことでしょうか…」
    「そのままだ。実は近ごろ、中王区主催で音楽フェスをやりたいと乙統女さま…総理はお考えでな。もちろん、Buster Brosやどついたれ本舗といったディビジョン・ラップバトルに出場している奴らも参加予定だが、幅広い音楽を楽しんでほしいと思っており、アイドルやバンド、シンガーソングライターなど多数のアーティストも呼ぶつもりなんだ」
    「ふむふむ」
    「我々、言の葉党はどうも別の業界に疎い。そこで、だ」

    「お前にアイドル部門をプロデュースしてほしいのだ」

    ……。
    え?まじですか???
    なんだか久しぶりにでっかい仕事が出来そうで私わくわくしているんですけど??
    この話、乗っちゃっていいんですか?

    「でも、待ってください。じゃなんでわざわざ私を言の葉党に入れるんですか?直接ご依頼メールくだされば全然承るのに」
    「それがまたややこしくてな。実は中王区内にはすでにアイドル業界に強い党員がいたのだが、そいつが不祥事を起こしてしまってな。他にも代わりの奴が中王区内にいなかったので、お前に白羽の矢が立ったわけだ」
    「…?分かったような分からないような…」
    「ったく、これくらい察せ。その穴埋めで外部に委託すれば中王区主催のものだと強調できないだろう。つまり、言の葉党の面目を立たせるためにお前を半分攫ってきたのだ」

    本当にその鈍感さで芸能業界を生き抜いてきたのか、と一言余計に言われてしまった。
    …確かに周りからは鈍感ってよく言われますけど。

    まあただ大体の事情は分かった。
    半分攫ってきたとか少々突っ込みたいところはあるが、向こうは国の重鎮。変に逆らえばなにをされるか分からない。
    しかしそれを差し置いてでも、この依頼はぜひ承らせてもらおう。

    「分かりました。ぜひやらせてください」

    私がそう言えば女性は満足そうに頷いた。

    ✦✦✦

    「…乙統女さま」

    あんずと合歓が退室したあと、女…勘解由小路無花果は後ろに振り向いた。
    そこにはこの国の総理大臣…東方天乙統女が座っていた。
    あんずは気付かなかったようだが、実は最初から彼女もいたらしい。
    噂に聞いた通りの鈍感さに無花果はため息をついた。

    「本当にこれでよろしかったのでしょうか」
    「ええ。構いませんよ」
    「しかし、彼女はきっと傷付くでしょう。…本当は我々中王区は音楽フェスなんか開催しない。実際はファイナルディビジョンラップバトルの前座としてアイドルたちを呼ぶ…」
    「あくまで彼らはファイナルディビジョンラップバトルに置けるお飾りで主役ではない…。これを知ったらあんずさんはとてつもなくお怒りになるでしょうね」
    「でしたら、今すぐにでも本当のことを…」

    乙統女は無花果の言葉を遮るように立ち上がる。

    「ファイナルディビジョンラップバトルを成功させるためにも……彼女には本気を出していただけねばなりません。彼女は、我らの勝利の女神ですから」

    乙統女のその言葉に無花果は頷くことしかできなかった。

    ✦✦✦

    (うーん。Buster Brosの山田一郎を捕まえてこいって言われてもなぁ…)

    イケブクロの噴水広場にて。
    エスプリのリーダー…冴霧笑止もといエスはメンバーたちとともに初めての握手会をひらいていた。
    そして、とある人物が来ないかとまだかまだか待ち続けていた。

    「一郎さまはまだでやんすかね…」
    「山田一郎さんはオタクとはいえ我々新人アイドルのファンとは限らないです。さっさと握手会をお開きにして一郎さんがオーナーの店…萬屋山田に行くのが効率的だと思うのですが」
    「はあ、全く。Knightsの王様ったら、山田一郎とやらが来るまで握手会をしろってパワハラ上司なの。ユメ、もう疲れてきたの…」
    「うん!まだ1時間しか経ってないけどな!」

    とはいえ、エスも流石にそれは花群冬芽…ユメに同感だった。
    エスプリたち、いやエスプリが所属する事務所ニューディメンションが探し求めているのは山田一郎という男。Buster Brosのリーダーにして、萬屋山田を経営している少年だ。

    ESのアイドルたちはあんずを中王区から取り戻すことにおいて、ディビジョンラップバトルに参加するチームを味方につけることが必須だと考えた。
    ディビジョンラップバトルに参加するチームは全部で6つ。

    イケブクロディビジョンのBuster Bros
    ヨコハマディビジョンのMAD TRIGGER CREW
    シブヤディビジョンのFlingPosse
    シンジュクディビジョンの摩天狼
    オオサカディビジョンのどついたれ本舗
    ナゴヤディビジョンのBad ass Temple

    どついたれ本舗とBad ass Templeは距離的に今すぐ協力を取り付けることが難しいため、その他の4つをこちらに取り込むこととなったのだ。

    ちなみにエスプリはたまたまイケブクロで握手会を開催する予定があってので、ニューディはBuster Brosを、ゴスプロは燐音のギャンブル仲間の縁でFling Posseを、リズリンは零の実家がそういうパイプがあるらしくMAD TRIGGER CREWを、スタプロは残った摩天狼を、それぞれ担当することになった。

    事務所から出る際、Knightsのリーダー…朱桜司から、目が痛くなるほど山田一郎の写真を見せられたので、さすがに人違いはしないが、山田一郎もそれなりに有名人なので変装でもされたらたまったものではない。

    (うーん。本当にこんな調子で見つかるんですかねえ…)

    正直、エスはあんずのためにここまでするのかと首をかしげる。
    まあエスはあんずとの関わりはほんのちょっとしかないからかもしれないが、他のアイドルたちがなんでこんなに必死になっているのかよく分からなかった。

    (まあでも?いろいろお世話になりましたし、見過ごすというのも気が引けますもんね〜)

    と思いながらエスは握手会にやってきたファンを見送り、ふと遠くを見る。
    そこには山田一郎に似た人が通りがかかっていた。

    「……?!」

    エスはいきなり飛び出した。
    止めようとするスタッフをくぐり抜けて握手会の会場を抜け出す。

    「エスさま?!」
    「エス?!」

    驚くライカやユメをよそに、エスはその人のもとへ走る。

    「山田一郎さああああん!!」

    全速力でその人に追いつくと、ガシリとその背中に体当たりした。

    「痛っ…!!なんだよお前!!」
    「山田一郎さん!!どれか俺たちに力を………ってあれ?」

    エスは体当たりしたその人を見上げた。直後、エスの顔が真っ青になる。

    「山田一郎じゃない…!!」

    エスはパニックになった。
    山田一郎だと思って会場を飛び出したのにまさか人違いだったとは。
    背格好が似ていて山田一郎に違いないと思ったのに。

    一方、山田一郎と間違えられた少年は不愉快そうに眉をひそめた。

    「あ?兄貴になんか用かよ」
    「え…?もしかして山田一郎さんの知り合い?」
    「知り合いどころか実の兄弟だよ。俺は山田一郎の弟、山田二郎だ」

    (兄弟…?!確かに似てるのも納得がいく!)

    その時エスは救われた気がした。
    そして、エスは山田二郎の両手をつかむ。

    「山田二郎さん!!!!どうか!!!俺たちに力を!!!!!」
    「は、はあ?」
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