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    てん助

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    てん助

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    マシュフィン小説進捗2
    書けてるとこまで。
    本当は完成品出してーってやりたかったけどもモチベあげたい💪前回のはリプに繋げときます
    完成はまだ掛かりそうだ…

    進捗2__________________

    「ドットくぅぅううんッ!!一週間スキンケアやってみたけど、肌の調子が全然違うんだッ」
    「おぉ!!だろ!?」

    教室で休憩時間にそうドットくんに伝えに行けば、どれどれっと僕の頬を引っ張った。

    「い、いひゃいおッ」
    「おー、ちゃんと肌スベになってんじゃねぇか。関心関心」
    「う、うん、ありがと」

    上手くいっていることに嬉しくなって、自分でも少し顔を触った。

    「お、フィンちょっと耳かせ」
    「ん?」

    肩を組まれては、教室の隅でドットくんに耳打ちされる。

    「マッシュの好み聞いてきたぜ」
    「ほ、ほんと!!」
    「一言目は『えー、それは考えたことない』だってさ」
    「……それマッシュくんの真似なの?」
    「そして朗報だ」
    「?」
    「アイツちゃーんとお前だって答えたぜ」
    「うぇ!?」
    「色々聞いて、名前は出さなかったがありゃぁお前まんまだったわ」
    「ほ、ほへぇ……」

    自信がなかった内容に、僕の体の熱が一気に熱くなる。パタパタと手で顔を扇いで、嬉しさでどうにかなりそうだった。

    「お前はこのまま自分磨きに徹することだな!!」
    「う、うんッ」
    「次はそうだなぁ……あ!今度の休み香水でも見に行かね?あと色々服とかさ」
    「い、いいの!!……こ、香水かぁ。何だか大人みたい」
    「ふふ、まず匂いでアイツを誘惑すんだよ」
    「ゆうわッ…」
    「このままもっとアイツを惚れさせよーぜ」

    正直まだ本当の意味で好かれてる自信はないけれど、少しの可能性に舞い上がる。誘惑なんて言葉も自分がなんて想像もつかないけどっと唾液を飲んだ。

    「んじゃあ今度の休みはマーチェット通りな!」
    「う、うん!!」
    「ゴブリンシューは欠かせませんな」
    「「うおッ」」

    モモモッと相変わらず独特な音でシュークリームを頬張りなが僕とドットくんの間に入ってきた。

    「あ、あとじいちゃんへのお土産とかも買いに行きたい」
    「うぉい!!!ヌルッと会話に参加するなッ」
    「いやー、今度のお休みは皆でまた遊べるの楽しみだ。ね、フィンくん」
    「(……いつの間にか皆で行くことになってる)」
    「いやマッシュ……今回は俺とフィンの二人で……」
    「楽しみだねドットくん」
    「………………ウン、ソウダネ」

    自分も行くことを信じてるマッシュくんの純粋な目に見つめられたドットくんは、少し冷や汗を流しながらぎこちなく笑って受け入れた。
    もうこうなっては仕方ないなと僕自身も諦める。

    「(マッシュくんに好きになってもらう為の買い物だけど……こうなったらマッシュくんは絶対言うこと聞かないもんなぁ)」

    困ったなぁっと頬を掻いていれば、うるさいぞっと言いながらランスくんやレモンちゃんも話の輪に入ってきて、皆で買い物、っということはもう変える事ができない行事になってしまった。

    「…何とか皆にバレないように買うしかないね」
    「だな。それにアイツの好みの物も買えるし、チャンスと思おうぜ」
    「そうだね」

    小声でドットくんと耳打ちし合っては、無言で見つめ合い静かに頷いて決意を固めた。

    「…………」
    「マッシュくんどうかしましたか?」
    「……多分、お腹が空いたんだと思う?」
    「あ、あんなに食べていたのに!?キャーーーッ!!いっぱい食べるマッシュくん素敵ですー!!!!」

    ______________

    最近、スキンケアを朝にもすると尚のこといい事に気付いた。ドットくんもそうしろって言ってくれたしと、休日の朝もいつも通りに鏡に向かって頬を愛でる。

    「フィンくんおはよ」
    「おはよ……ゥウウ!?」

    トンッと背中が暖かくなる。まだ寝惚けたマッシュくんが無駄に近くて、鼻息が耳を擽っては心臓は笑いそうなくらいに跳ね上がる。

    「(うッッッわーーー!!は、初めて、それぽっい距離感だッ)」

    もしやこれがスキンケア効果……?
    そんな訳ないと思いつつもテンションが上がる。

    「マ、マッシュくんも早く準備しないと遅れちゃう…よ」
    「うん」
    「……ッ、え、っと……」
    「フィンくん最近少しドットくんと匂いが似てるね」
    「え、匂い?」
    「それ使ってるからかな」
    「あ、あぁこれか。ドットくんも使ってるやつだから。無香料だけどやっぱ独特な匂いはあるよねぇ。あ、もしかして苦手な匂いだった!?ご、ごめんね」
    「ううん、大丈夫だよそれ気に入った?」
    「うんッ何だか楽しくもなって来ちゃって、すっかりハマっちゃったぁ」
    「そっか」

    スっと僕から離れるとマッシュくんは目を擦った。そんな彼を見て、ほんの少しだけ手に化粧水を乗せる。ピタッと彼の頬を両手で包んで揉み込む様にそれに触れた。

    「ふふ、これでマッシュくんも同じ匂いだね」
    「やられましたな」
    「少し気持ちいでしょ?」
    「うん、何かスってする」
    「でしょー?……って!!!マッシュくんまだ顔洗ってないのに!!ご、ごめんね」
    「大丈夫」
    「ぁーーー!!しかも時間もヤバいじゃん!!ほら!!マッシュくん早く身支度して!!」
    「うっす」

    ほらほらっとマッシュくんの背中を押して何とか行動させる。今回は変な格好しないように初めから見張って、二人で待ち合わせ場所に向かった。

    _____________

    『遊ぶぞーーー!!!!』

    全員が無事マーチェット通りに合流して、各々嬉しそうにテンションを上げて叫び出した。

    「フィンフィン」
    「ん?」
    「今日の為の参考書だ」

    早速ドットくんが小声で話しかけてくれて雑誌を見せてくれた。そこには『男も女も魅力するスタイル』っと書かれたファッション誌だった。

    「お、おぉ……どれもカッコイイ」
    「ちーと俺の好みではないけどなァ。でもフィンは気に入りそうだな」
    「じ、じゃあこういう系統の服今日探そうかな。………マッシュくん喜んでくれるといいな」
    「フィン……。クゥーーーッツ分かるぜ分かるッ好きなやつの為には頑張りてぇよなッ」
    「へへ……でもドットくんすごいアドバイスくれるよね」
    「あー……いや、なんつーかよ……その」
    「ん?」

    「バカにすんなよ」っと何故か恥ずかしそうにするドットくんに首を傾げながら、更に近付いてドットくんの声に耳を傾ける。

    「…………ダチの恋愛応援すんのに憧れてた」
    「そうなんだ」
    「あとはアレだな。そういう話で盛り上がれる相手が欲しかったつーか。他の野郎だと恋バナとか縁が無さ過ぎて……正直、今めっっっちゃ楽しい」
    「へへ、僕としては嬉しい限りだしホントに助かってる。そ、そうだッあのさじ、実はね今日ね-----」

    更に小声でドットくんに耳打ちで今朝の事を話した。そうすると彼は自分のことのように喜んでくれて、そして羨ましいと睨まれる。
    僕もドットくんと同じ気持ちになった。こうやって好きな人のことを自慢したり、好きを吐き出したり、そんなこと今までした事なくて、こうやって努力することも楽しくて仕方がない。

    「………」
    「マッシュどうした」
    「ランスくん」
    「お前何か変だぞ」
    「うーん……何だろ。僕にもわからない」
    「そうか」
    「何か……シュークリームのクリームが少なかったった時みたいな」
    「……俺も分からなくなったぞその発言」
    「……あとは……なんだろ。あ、生地が上手く膨らまなかった時とか」
    「………お前それ、ショック受けてるんじゃないか?」
    「ショック?」
    「一体何に…………あぁ、アレか」
    「??」
    「最近フィンがあのバカばかりと絡んでるのが悲しいんじゃないのか?」
    「なんと」
    「そのなんだ、変に拗れる前にちゃんと本人に言えよ」
    「こじれる…?」
    「……お前ら何か変わったんだろ」
    「え」
    「マッシュのフィンを見る頻度が増えた」
    「なんですと」
    「あからさまにな」
    「ありゃあバレましたか。恋人になりました」
    「そうか。なら余計にそういうの本人に言えよ。フィンはお前のになったんだから」
    「………ランスくん」




    「フィンくんは誰のものでもないよ」


    ______________

    「これ……バニラの匂いだ」

    雑貨屋に皆に入っては、目的の香水が並んでるのを見つめて手に取った。匂いを確かめて、香水なんてよくわからないからただ単にマッシュくんが好きそうなモノを必死に探した。やっと見つけた可愛らしいパッケージの瓶を持ってはバニラの様な甘い匂いの物があった。

    「(これならマッシュくん好きかな)」

    __どうしよう、すぐにドットくんに相談したいけど
    チラチラと目で探したが、近くには居なさそうで落ち込んでしまう。どうしようかなぁ、これでいいのかな。でもどう見てもこれ女性物のような気がするし、香水って男女の差があるのかなどうしよう。すぐに相談したいけどっと頭を抱える。

    「フィンくんどうしたの?それ欲しいの?」
    「ま、マッシュく……ッあ、え、と……う、うんどうしようかなって。ドットくんに相談したいんだけど居ないから余計に悩んじゃって……」
    「…………」

    ___ん?あれ???これ……

    「(本人に選んで貰えればいいんじゃ!!?)」

    そう思った瞬間一気に恥ずかしさが込み上げる。手汗を感じて、瓶が滑りそうになりながらもそれをマッシュくんに渡した。

    「こォッ!これ……買おうか悩んでるんだけど、マッシュくんの意見…き、聞きたいな」
    「え?僕でいいの?」
    「う、うんッ!!ま、マッシュくんが好きなのし、知りたい……な……とか……考えた…り」
    「そっか。僕が選んでいいんだ」

    __あれ?何か嬉しそう

    瓶を持ってじっとそれを見つめるマッシュくんに首を傾げた。あんまりそういう事とかわからないとかって言って断られると思ったのだが、案外直接聞いてみてもいいのかもしれないと少し期待が膨れた。

    「あ、これバニラ?」
    「う、うん!そう!!僕には甘すぎるかな」
    「いい匂いだよ。でも僕はフィンくんの匂い好きだから、これだと消えちゃいそう」
    「ふぇ!?」
    「……あ、僕これが好き」
    「どれ?」
    「この石鹸みたいなやつ」

    __そっか、あんまり甘いのとか微妙だったんだ。聞いて正解だったな。

    「マッシュくんは香水はどう思う…?」
    「うーん、あんまり匂いキツいの苦手かな。お日様の匂いとかの方がいい」
    「お日様かぁ…」

    ドットくんに進められて香水を買おうかななんて考えていたけど、喜んでほしい人があんまり好きじゃないなら意味が無いなと瓶を置いた。

    「あれ?買わないの」
    「うん」
    「も、もももも、もしかして僕が選んだの気に…」
    「あー!!違う違う!!香水はやめて、ちょっといい匂いのシャンプーとか買おうかなって。そっちの方がお日様ぽいでしょ?」
    「……。なんだか僕のためみたい」
    「………………そ、だよ」
    「え」

    自分の熱で体がおかしくなりそうだ。こんな事言って引いたりしないだろうか。困ったりしないかな。そんな不安と同時に、僕はマッシュくんの恋人なんだからいいんだよっと自分に言い聞かせた。

    「その…どーせなら、キミが好きだって思って貰える匂いになり……たい、もん」
    「そっか」
    「………ッ」
    「そっか…」
    「何で二回言うの!?」

    結構勇気を出して言ったのにどういう意味だと振り返れば、すっとマッシュくんの指が僕の髪を絡め取った。

    「ッ!?」
    「そのシャンプーは僕が選んでもいいの?」
    「も、もちろん!」
    「そっか嬉しい。…僕も同じのにしてもいいかな」
    「あッ…う、うん。い…いよ」

    本日何度目かの体の熱の高まりに戸惑いながらも、隠すようにしてマッシュくんの服の裾を握った。二回目の恋人らしい行動に心音がうるさくなる。

    「(お揃い…っていうのかなこれは)」

    マッシュくんもそういう事したいんだ。そんな彼の一面をやっと恋人として知れたことがこんなにも嬉しいなんてっと心の中で笑った。
    レモンちゃんのマッシュくんを呼ぶ声に慌てて掴んでいた手を離して、火照った顔を見られないように僕はその場から離れた。誰に誤魔化す訳でもないのに、咳払いなんかしては素知らぬ顔で雑貨を見た。商品棚を挟んで、商品の隙間からドットくんが手招きをしたので後ろ側へと回ると、手を合わせて必死に「すまんッ」っと叫ぶドットくんとため息をつくランスくんがいた。

    「マッシュとのことコイツにバレたッ!!マジですまねェ!!」
    「えッ!?ま、まぁバレたなら仕方ないよ」
    「言っておくが俺はマッシュから聞いたからな」
    「そうなの!?じゃあバレたって…」
    「あー…いやその事じゃなくて…」
    「?」
    「…コイツに言われてさ、恋人がいる奴との距離感間違ってるって。確かにそうだわって思った。マッシュにも嫌な気持ちさせてたかもしれねぇ…」
    「え、え?ど、どういう事?」

    ハァっと大きいため息を出しては、ランスくんに軽く頭を叩かれる

    「恋人が他の奴とベタベタしていたら普通は嫌だろ」
    「え、で、でも僕とランスくんはいつも通りだったと思うんだけど…」
    「お前らはそうかもしれんが、マッシュとは関係が変わったんだ。アイツの配慮くらいしてやれ」
    「そっか…そうだよね。ごめん、指摘してくれてありがとう」

    男女なら気をつけやすいけど、同性同士だと気づかずにそういう事しちゃうんだなっと思い知った。そっか…っと呟いて反省しては、少しの不安に襲われる。

    「……………僕なんかに嫉妬なんてしてくれるのかな」

    そんな弱い気持ちが漏れ出る。自分の口から出た言葉にハッとしては思わず口を手で押さえた。な、何でもないよなんて慌てて誤魔化すが、そんなの通用する訳なく心配そうに二人は僕を見つめた。

    「ご、ごめッ…せっかく注意してくれたのにこんな事言って」
    「フィン…お前まだ」
    「………おい、お前らちゃんと好き同士じゃないのか?」

    そんなランスくんの質問に苦笑いをして、僕の本心を伝えた。もう付き合って一ヶ月以上だけど恋人らしいことはなにもしていなかったこと、自分から歩み寄ってみたこと、マッシュくんの好きの意味が違うのではないかと不安になったこと全部包み隠すことなく。

    「ドットくんに喝を入れてもらって悩むだけじゃダメだって思って、アドバイスを色々貰ってたんだ」
    「だからお前ら最近やたらと二人でいたのか」
    「あ、あのランスくん、怒るなら僕だけにして。ドットくんは本当に僕の応援してくれてただけだし、それにドットくんのおかげでほんの少しだけだけど、マッシュくんと上手く行けて…」
    「フィン…。いや!!ちゃんと俺にも責任あんだッ気にすんな!正直この野郎に注意されたのは不服だけどよォ?今回は正論だしな」
    「今回“は“っとは何だ。いつも正しいだろ」
    「ン!?」
    「…まぁいい、事情は分かった。色々とな」
    「どういうこと?」
    「二人とも手が掛かるなって話だ」
    「??」

    しばらくランスくんが考え込むと強く頷いた。

    「俺もお前らのその作戦とやらに協力することにした」
    「はァ!?」
    「え、え!?」
    「お前に恋愛のイロハのなにがわかんだよッ」
    「今の状況を全くもって気づてない馬鹿のお前よりは理解しているが?」
    「おうおう色男さんよォ?このピアス全部を何も言わずに飲み込めやァッ」

    汚物を見るような目でドットくんを睨みつけると鼻で笑った。必死に二人を宥めると、気にした様子もなくランスくんは言葉を続ける。

    「で、上手く行ったっていうのはどういう流れで?」
    「え」
    「詳しく言え」
    「これ何の公開処刑なの?」

    こんな尋問されるような形に恥ずかしさで震えながら、ランスくんに伝えると真面目になるほどなっと頷く。

    「同じ匂いか…わかりやす過ぎだな」
    「わかりやすい?」
    「じゃあ…俺はそうだな」

    そんな小さな疑問は流されて、ランスくんは周りを見渡すとランスくんに飲まそうと手に持ったピアスやイヤリングが入った小物ケースを奪っては物色して、ランスくんのピアスと同じ色の星形のイヤリングを手に取った。

    「俺はお前にこれをやるから、今日から毎日付けろ」
    「すごく急だね!?」
    「…おいイヤリングなんて尚のこと恋人がいる奴にやるモンじゃんねぇだろ」
    「だからだ。馬鹿でもわかるように言ってやろうか?同じ匂いに反応したんだぞ」
    「アッッッ!!!!!!あ、あ〜…」
    「え!?え!?何!?」

    僕だけを置いて二人は目を合わせて何故か頭を抱えた。

    「…それ、余計拗れるんじゃねぇのか?」
    「俺も最初はそう思ったがな。マッシュのあの感じだと強行自覚の方がいいと判断した」
    「あ、あのぉ…僕にもわかりやすく」

    急に小言で話し出した二人に申し訳なくなりながら必死に間に入り込んだ。それでも二人はしっかりとした理由は教えてくれず、優しく僕の肩を叩いた。

    「お前はいつも通りでいい」
    「あーと、アレだ!アクセは自分磨きにいいってことだよ」
    「何か取ってつけたような感じがするんだけど…?」
    「「まぁまぁ」」
    「こんな時だけ息ピッタリだね!?」

    スッと僕の髪を取って耳に掛けると、左耳にイヤリングを当てると優しく微笑んでくれた。

    「ン、似合うな」
    「おぉーいいじゃねぇか!!」
    「ほ、ほんと…?」

    服の下はともかく、それ以外のファッションセンスはいいランスくんにそう言われると満更ではなくなった。イヤリングを自分で持って、今度は鏡の前で合わせて自分自身で確認した。

    「へへ…ピアスは怖いけどイヤリングはいいね。少し兄さまみたい」
    「「………」」

    小さなアクセサリー用のカゴに入れて僕も少し辺りを見渡していると、カゴの中のそれをランスくんに奪われる。

    「俺が勝手に選んだんだから買わせる訳ないだろ」
    「えッ…で、でも悪いよ」
    「うわぁ…これだからイケメンは鼻がつくな」

    僕の言葉など聞かず、ランスくんはすぐにレジに向かっては小さな封筒を手渡してくれる。

    「申し訳ないと思うなら、祝いの品として受け取っとけ」
    「あ、ありがとう」

    何だかわからない事ばかりだったけど、素直に友達からのプレゼントは気恥ずかしくて嬉しかった。キュッとそれを抱きしめて頬が緩む。

    「あ、三人ともここにいたんだ」
    「私はもう少し二人っきりでも良かったんですけどねッ」

    ひょこっとマッシュくんとレモンちゃんが棚の後ろから出てきた。えらく疲れた様子のマッシュくんを見れば、レモンちゃんの押せ押せがすごかったのが簡単に想像できた。お疲れ様っと思うと同時に、少しの心の重さを感じた。

    「(……まだ好きかもわからないんだ)」

    そう自分に言い聞かせる。少しだけ可能性が出てきたけど、まだマッシュくんの本当の気持ちなんてわからない。だからこんな気持ちは今は出せない。出しちゃいけない。

    __もっと、もっと魅力的だと思ってもらわなきゃ

    「………ハァ。あー、アクセサリーを見てたんだ。“俺が“選んだイヤリングを気に入ったようだったので、“俺がプレゼントした”」
    「(おいおいおいおいッッッッ…あからさま過ぎだろッ)」
    「あ、う、うん。二人とも似合ってるって言ってくれて、貰っちゃった」
    「そうなんだ。良かったね。フィンくん」
    「……うん」

    特に気にした様子もないマッシュくんは、次はどこに行くと話を進める。お店を出て、ただいつも通りに進むその後ろ姿に少し寂しさが勝って苦笑いしか出来なかった。そんな僕を見透かすようにドットくんが僕の頬を指で突く。

    「素直に感じた事、言ってもいいと思うぜ俺は」
    「………そうだね」
    「言えるようになるまでは、手くらい貸してやるから」
    「ふふ、今のドットくん何かカッコイイ」
    「おいそれいつもは違うみてぇじゃねぇか!?」
    「ハハハッ」
    「フィンお前ッッッッ」

    ______________

    「え……と?」
    「フィンくんいい子だったからサンタが来たんだね」
    「あ、マッシュくんもあるよ」
    「うん、フィンくんとの格差がすごいけど」

    次の日、朝起きると僕のベッドの上に大きな紙袋と、マッシュくんには手のひらサイズの紙袋があった。中を開ければたくさんの服がそこにあった。

    「どれもワンポイントにうさちゃんいる…」
    「あ、僕のハンカチもだ。この数の差は愛の差ですな」
    「えぇ……なんで急に??」
    「レインくんやっぱりうさぎ好きなんだね」

    五着もの服とズボンまでしっかりと用意されたことに首を傾げる。素直に兄さまからのプレゼントは嬉しいが突然過ぎて理解が追いつかない。

    「フィンくん手紙入ってるよ」
    「え!ホントだ。えーと……『お前の友人に服を欲しがっていると聞いた。作り過ぎて処分に困っていたから受け取れ』…って」
    「あ、これ手作りなんだ」
    「絶対嘘じゃん!!!!僕のサイズピッタリだよ兄さま!?手紙まで素直じゃないのかよ!」
    「レインくんとっても面倒臭い。あと僕にも手紙欲しかった…」
    「そ、それは…」

    あからさまに落ち込むマッシュくんに少し可愛いなって思いながらももう一度手紙を見た。
    友達に聞いたって……

    「(絶対ドットくんとランスくんだよねこれ。どういう意図で…?)」
    「着ないの?」
    「そ、そうだね。せっかくプレゼントしてくれたんだし、今日はこれで過ごそうかな」
    「僕はこれ明日学校に持っていこ」

    よくわからないが、僕のためを想って兄さまに伝えてくれたんだとは思うけれど本当にどういう事だろう。確かに服は買おうとはしていたけれど、結局買うタイミングがなくて買わなかったのを気にしてくれたのかなっと必死に考えたが、考えてももちろん答えはわかるはずもなく、そのままマッシュくんの言う通り兄さまがくれたシンプルなベージュ色のトレーナーに胸元にうさぎのワッペンがある服に着替えた。
    少しその幼さに笑いながらも、手作りの温もりに頬を緩ませた。鏡を見てスキンケアを終えて髪を整えたあとに、ランスくんから貰ったイヤリングを左耳に付ける。慣れない姿に少し心が浮ついて、同じく身支度してるマッシュくんに見せに行った。

    「見てマッシュくん。これ昨日ランスくんに貰ったやつだよ」
    「…うん、似合ってるね」
    「ほ、ほんと?!」
    「うん」
    「そっか……そっかぁ」

    へへッと頬が緩んだ。気に入ってくれた嬉しいッもっと、もっと頑張ろう。

    「……レインくんからの服も可愛いね」
    「ははッ、可愛すぎて少し恥ずかしいけど」
    「………」
    「あッ兄さまにお礼言いに行かなきゃッ」
    「あ…」

    行ってくると扉に向かう瞬間、少し痛いくらいに手首を掴まれる。振り向けば、僕よりも捕まえてきたマッシュくん本人がえらく驚いた顔で見つめていた。

    「マッシュくん…?」
    「え、と…、朝早いからレインくんまだ起きてないかも?」
    「兄さまはうさぎたちのお世話があるからいつも早起きだよ?」
    「あ」
    「えーと…もしかして、行って欲しくない?」
    「…………」
    「マッシュくん」
    「…ううん、違うよ」
    「ほ、ホントに…?な、何か嫌だったとか」
    「うん、ちょっと思わず掴んじゃっただけ」
    「ほ、ホントのホント?」

    そう何度も聞き返せば、嘘がつけないマッシュくんの瞳は面白いくらいに左右に動く。いつもなら少し強く言えば、ごめんなさいなんて言いながら素直に教えてくれるのに、今は向き合って見つめても頑なに口を噤んだ。

    「マッシュくん?」
    「な、ななな…なに」

    聞き返しても必死に平然を装う彼を、更に見つめた。どうして引き留めようとしてくれたの。何が嫌だったの。僕と一緒にいたい?
    色んな何でが頭を飛び交う。好奇心と期待が溢れて、その答えを知りたいとマッシュくんの手を両手で包んだ。

    「……もし、マッシュくんが行って欲しくないって言ったら僕はこの部屋にいるよ?」
    「……」
    「兄さまへのお礼だっていつでも大丈夫だし、伝言うさぎだってあるしね」
    「………」
    「マッシュくんの気持ち、知りたいな」
    「………。僕は」
    「うん」
    「フィンくんはレインくんと仲良くして欲しい」
    「う、うん?」
    「せっかく仲直りできたから、なるべく一緒にいたらいいなって思う。だからいってらっしゃい」
    「………」

    静かにマッシュくんを包んでいた手は落ちる。
    そっか、っと何とか笑顔を貼り付けれた。マッシュくんの寝癖に自然と触れて、平気なフリをした。

    __少し…ううん、かなり期待したんだ。
    マッシュくんの恋人としてのワガママに。

    「(……本当は行って欲しくないんじゃないの?)」

    どうして隠すんだろう。どうして素直になってくれないんだろう。それとも全部僕が都合よく解釈しているだけかな。

    __甘えて欲しいって…僕が欲しがったのがダメだった?うざかった?やっぱり、そんなに気にならないほど僕が欲しい訳じゃない?僕は…僕は…

    「(こんな事ばっか考えて…僕って面倒臭いんだな)」
    「フィンくん?」
    「…じゃあマッシュくん、兄さまのところ行ってくるね!!ついでに日用品とか買ってくるから遅くなるかも…あ、マッシュくんは何か必要なものある?代わりに買ってくるよ」
    「大丈夫だよ」
    「そっか!…じゃあまた…」

    必死に笑って手を振って扉を開ければ、トンっと鼻に何かがぶつかる。

    「前向いて歩け。危ないだろ」
    「ラ、ランスくん!?お、おはよう?」
    「フィン今暇か?暇だな。よし付き合え」
    「へ!?」
    「えー…急に来て…。ランスくんだめだよ、フィンくん今からレインくんの所に…」
    「……なんだそうだったのか。すまない」
    「いッ、いいよ!!服のお礼言いに行くだけだし!!その後でも全然…!」
    「そうか、なら出かけるから付き合ってくれ」
    「わ、わかった!」
    「じゃあそういう事だ。マッシュ、フィンの事借りるぞ」
    「…………うん」




    ______________

    「ランスくんごめんね。兄さまの所に寄って貰ったのに留守で…」
    「仕方ない。忙しいんだろ」
    「…あ、あのさ聞いてもいいかな」
    「なんだ」

    学校の廊下を二人で歩くことなんてなくて、ほんの少しだけ緊張する。そんな僕を気にかけるようにランスくんは顔を覗き込んでくれる。

    「に、兄さまに何でその服のこと…?」
    「………そのうちわかる」
    「え、えぇ…またそれ?」
    「俺的にはさっさとお互いに意味を理解して欲しいものだがな」
    「何のこと?」
    「……はぁ、それよりお前いつまでその顔してるんだ」
    「え?」
    「そんな作った笑顔、いつまでもしなくていいだろ。マッシュはいない」
    「………あは…やっぱバレた?」
    「そんなの誰が見てもわかる」
    「……でもマッシュくんにバレなかった」
    「………」
    「で、どこに付き合えばいいの?」
    「さぁな。今から考える」
    「……じゃあ、僕本屋さん行きたいな」
    「あぁ。ただ行くのは今は眩しい。日差しが落ち着くまでな」

    ふわっと優しい匂いが顔を包む。雲が掛かったみたいに視界が暗くなって、ランスくんの上着が僕の顔を隠した。

    __あぁ…もう…やっぱり弱いなぁ僕

    「…あーもう、ドットくんもランスくんもカッコよすぎでしょ」
    「あのバカと同列にするな」
    「………僕、重いのかな」
    「……そうじゃないだろ」
    「…え?」
    「お前は、ちゃんとマッシュに自分の気持ちを素直に言ったのか?その重いって言っている気持ちだってアイツに伝わってないだろ」
    「………そう…だね」
    「アイツはバカなんだがら、言ってやらないとわからないだろ」

    キュッとランスくんの上着を握った。
    そうだ、マッシュくんに僕を求めて欲しいって思うだけで、僕はそれをちゃんと口に出してない。

    「…………わいんだ」
    「______」
    「怖いんだよ…ッ、マッシュくんに嫌われたくな…だって、だって…!」

    ごめんねランスくん、服、クシャクシャにしてしまって。震える体を必死に隠して、ただ子供みたいに泣きじゃくった。こんな僕を見ないで欲しいと必死に体を丸める。

    ___大好きだった兄さまだって離れた。
    たくさんワガママを言った。なんでってたくさん言った。大好きだっていっぱい言った。言ったのに…ううん、言ったから兄さまは離れた。今はちゃんとわかってるけど、もし、もし、マッシュくんにも大好きだって、離れないでって、たくさんワガママ言ったら、欲しいって言ってしまったらって考えてしまう。

    「……マッシュも同じなんじゃないか?」
    「マッシュくん…が?」
    「アイツはマイペースだしワガママで自分勝手だが、人のことばかり優先してしまうのはフィンだってわかってるだろ」
    「………」
    「わからなくて、アイツだって怖くて困ってるんじゃないのか」
    「…………」
    「いつもみたいに助け合ったらいいだろ。俺とドット、レモンが教えて、フィンも苦手なりにもっと近くで教えて、二人で勉強して課題を終わらせて、それにマッシュが逃げ出したらお前が叱りに行くんじゃないのか」
    「…い、つも…みたいに…??」
    「お前も欲しがりなんだってマッシュに教えてやればいい」

    __あぁそうかっと心にストンっと落ちた。
    マッシュくんの普段なんてわからないけれど、彼が他人の事ばかり想いやる優しい人だって分かってたのに。

    「…………い、いい…のかな」

    ドットくんやランスくんがいつも勇気をくれる。でも僕は弱いからどうしても怖気付いてしまう。

    「……行きたくてうずうずしてるの顔に出てる」
    「うぐっ」
    「アイツの気持ちがわからなくて怖いって言うなら、もう一押ししてやろ」
    「う、うん?」
    「マッシュに嫉妬を教えてやれ」
    「はい!?」

    _____________

    「つーことで今日は邪魔するぜ!」
    「どういうこと?」
    「安心しろ布団は持ってきた」
    「うんだからなぜ。それにとっても狭い」
    「あはは…」

    買い物を終えて、ドンッと音を立てては勢いよく部屋のドアをドットくんが叩いた。それに付き合うようにランスくんも布団を床へと並べると、マッシュくんは何故と何度も聞く。

    「チキチキ〜!!!第一回男だらけのお泊まり会開催だーー!!!」
    「気色悪い言い方するな」
    「……なんで男しかいないむさ苦しい…誰だよ男だらけとか言ったやつッッ!!」
    「お前頭沸いてるのか?」

    一人で盛り上がったと思ったらいきなり落ち込むドットくんを虫けらを見るような目でランスくんは見つめた。そんな間に入ってはまぁまぁと宥めた。二人がやりたいことは何となくわかった気がするが、どうもその作戦には僕は納得できないでいた。

    「(……今更こうやって泊まったくらいでマッシュくんが嫉妬なんてしないと思うけど)」

    そう思ってしまう。だってマッシュくんは僕と誰かがいるのを喜んでいるように思うから。無意味がないと思っても、それでも二人が考えて僕のためにしてくれた事も、友達とのお泊まり会も純粋に嬉しいのだ。

    「(まぁこのメンバーは騒がしすぎるけどね)」

    あははっと乾いた声で笑っているとベッドに腰掛ける僕の隣にマッシュくんが座ってきた。

    「フィンくんなぜこんな事に…?」
    「うーん僕もよくわからないな。何か流れ?で。でもこういう夜も楽しいよね」
    「…………うん、そうだね」

    チラリと横目で彼を確認しても、何を考えてるかはわからない。ただ近付いたと思った距離は、今はもう元に戻ってしまったことは嫌でもわかった。

    「(…今は、二人がいるから)」

    ___そうだよね。マッシュくん

    「とりあえず風呂いこーぜ」
    「あぁ」
    「あ、待ってすぐ準備するから」

    慌ててお風呂用バックに色々と詰めていくとひょこっとドットくんが現れては肩を組んだ。

    「お、その洗顔新しいやつ?」
    「う、うん!!ドットくんに色々聞いて僕なりにもっと洗うだけのじゃなくて肌に良さげなの見つけたんだ。結構いいよ」
    「それ気になってたんだよなぁ」
    「使う?」
    「マジ!!」
    「その代わりドットくんのも使わせて」
    「いいぜいいぜー!!」

    あまり興味がなかったものが楽しくなって、それを友達と共有できるのが何だか新鮮で楽しいと笑った。

    「おいまだか?」
    「あ、ごめんねランスくん。もう準備できたから。マッシュくんそれじゃあ僕たちお風呂に___ってあれ?」

    後ろを振り向けば当たり前のように桶を持ってはマッシュくんがそこにいた。

    「マッシュくんお風呂入ってたよね?」
    「ウウンハイッテナイ」
    「すごい…嘘つくじゃん…」
    「ソソソ、ソンナコトナイヨ」
    「え、えぇ…」

    そっかぁっとマッシュくんの準備も手伝った。玩具のシュークリームも桶に入れて、2人分のタオルをもった。

    「なぁ…俺たちが変にちょっかい掛けなくても大丈夫なんじゃね?」
    「いや見てればわかる」

    「仲間外れに感じたのかな…マッシュくん意外とそういうの寂しがるから…」

    そういう所が少し可愛いと思ってしまうっと
    ときめいていると「えぇ…」っと引き気味のドットくんの声が聞こえた。

    「マジかフィン…」
    「そういう所だろ」
    「こりゃあ…ダメなやつだぜ」
    「何が!!?」

    少し子供のようにバカにする二人に文句を言うと袋を抱えたマッシュくんも僕に声を重ねた。

    「皆でお風呂はズルイよ」
    「ほ、ほらー!!」
    「状況理解したか?」
    「ウン、ドットくん全部理解しちゃったわ」
    「な、なんなんだよーー!」
    「?」

    軽く二人の胸を叩いては文句を垂れ流した。一通り叫んでからは落ち着いて行こうとすると、マッシュくんに今朝みたいに手を引かれた。どうしよう、今度はなんだろうと変に身構えていたら袋事押し付けられた。

    「何これ?くれるの?」
    「うん」
    「あ!シャンプーとリンスー!」
    「僕ひとりで選んでごめんね。でもそんな話してたから」
    「ありがとうマッシュくん!あ、いくらだったかな?今渡し__」
    「大丈夫だよ、同じボトルにするし」
    「へ?」
    「だって同じ部屋だし、一緒のお風呂も多いし、同じものなら一緒でいいかなって」
    「た、確かに!!じゃあ無くなったら今度は僕が準備するねぇ」
    「いやいや…!!感想がおかしい!!!ズレてる…!!」
    「「??」」

    マッシュくんに新しいのを貰ったからと自分のものを仕舞っているとドットくんが頭をが掻き毟った。

    「俺か…?俺が過敏反応してるだけなのか?」
    「言っただろ。世話が掛かると」
    「やだァン…先が思いやられる感じが既にビンビンじゃねぇか…どっちもなのかどっちもなのか!?」
    「ドットくん変」
    「う、うん…?」

    ____________

    「え…っと…マッシュくん…?」
    「ん?」
    「な、何これ」
    「え、タオル」
    「うんそれはわかるよ…そうじゃなくてねそのタオルの場所がおかしい」
    「そうかな?」

    脱衣場で服を脱いだ瞬間、ガチガチにタオルで体を巻かれた。どう見てもこれは女の子が体を隠すやつだろこれ。

    「何してんだお前ら___いや本当に何してるんだ」
    「ンブッ!フィンが女の子みたいになってるッ」
    「マッシュくん……外してもいい?」
    「え、いいの?」
    「え」
    「え?」

    暫く無言のままマッシュくんと見つめ合うと、その圧に僕は唇を噛んだ。なんなんだ一体。その顔を見たマッシュくんがやっと口を開いて真面目にこう言う。

    「フィンくんが見られるの嫌かなって」
    「え…??な、何を?」
    「え?裸を?」
    「な、何で?」
    「うん裸だから?フィンくんこそなんで?」
    「え、えーとお、お風呂だから?」
    「うんだから嫌じゃない?二人に見られるの?」
    「い、嫌じゃないけど…?」
    「裸見られたい人なの…?」
    「何かそれだと僕が変態みたいじゃないか…。マッシュくんだって下しか隠してないよ」
    「え、だって僕男だし」
    「僕もだよ!?」

    どういう事だと頭が混乱する。一度だって僕はそんな隠したことがないのに、まるで今までしていましたとか当たり前のように振る舞うから僕の頭は更に混乱した。

    「もう!!マッシュくん変なことばっか言わないでよ…。今更二人に裸見られたくらいでどうも思わないし、僕だって男なんだから気にしないよ」
    「え…。あ、あぁ…そっか。そうだったね」
    「?」

    少し驚いたようにマッシュくんは手を離した。自分で自分に驚いてるみたいなそんな不思議な顔。顔を覗き込んで見てみてもそれはもう無くなって、いつもの無表情へと戻っしまった。

    「(変なマッシュくん…)」

    ランスくんとドットくんの少し笑いを堪えた声にムッとしながらも大浴場に向かった。
    マッシュくんの変な発言や行動はなかったことにして、普通にタオルを腰に巻いて体を洗った。マッシュくんから貰ったものを使えば少し甘いそれにクスッとしてしまう。

    __やっぱり甘いの好きなんだ

    そう思って体を洗い終えてはマッシュくんにボトルを渡した。

    「アリガトウ」
    「う、うん?」

    湯気で視界が悪いくて見えづらいけれど、どこかバツ悪そうに視線を流した気がした。ボトルを受け取ると三つも席を開けてそこで体を洗い始めるの見て、心がズンッと重くなる。

    「え…」

    __な、何かあからさまに避けられた!?

    「(え、なんで?さ、さっきの嫌だったの!?)」

    怒られせてしまったかもしれないと一気に気持ちが落ち込んだ。

    「……嫉妬とかそういう問題かなぁ」

    大きくため息をつきたくなるものだと頭を抱えながら湯船に浸かった。湯船でもマッシュくんとの距離は空いたままでランスくんと二人で遠くで並んで浸かっている。

    「何かいじけてんな」
    「別に」

    お湯に泡を立てれば、吹き出すようにドットくんが笑った。

    「拗ねてんじゃねぇか」
    「ッ…」
    「フィンってあれだよな。案外構って貰えなくて拗ねるタイプだ」
    「え」
    「前もそうやって拗ねてたぞ」
    「うぐッ」
    「そんな鈍感なフィンくんに教えてやろう」
    「?」

    すっかり髪が下りて雰囲気が落ち着いたドットくんが僕の頬を突く。

    「男は好きな奴の裸誰にも見られたくねぇもんだぜ?」
    「は…、」
    「それに普通な顔してそいつの体なんて見れねえだ__……おーお、流石に鈍感フィンくんでも理解したか」

    顔が熱い。もう逆上せてしまったのかもしれないと必死に自分に言い訳をする。体が熱くて熱くておかしくて、視界が揺れる。キュッと自分の足を抱えてお湯に顔を潜るようにつけた。
    顔が熱いのは、体が熱いのは、きっと熱いお湯の中にいるからだとそう思った。

    「ぷはっ…!!」
    「真っ赤を悪化させてどうする」
    「ッ……」
    「ちったァ、アイツの好き信じてやれ。まだお前は自信ねぇかもだけどよ」
    「………うん」
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