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    summeralley

    @summeralley

    夏路です。
    飯Pなど書き散らかしてます。

    ひとまずここに上げて、修正など加えたら/パロは程よい文章量になったら最終的に支部に移すつもり。

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    summeralley

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    #飯P版深夜の真剣お絵描き字書き60分一本勝負
    お題【翼・光】

    (舞空術があるじゃん?)

    #二次創作BL
    secondaryCreationBl
    #飯P

    【飯P】蝋の翼 夕陽が今にも沈まんとし、濃い赤に変じた地平線が視界をくっきりと切り分けている。太陽の最後の光が天頂を目指して伸びていたが、空の東側は既に、夜に染まりつつあった。
     たまには身体を動かしたいという悟飯に付き合って、ピッコロは広々とした草原にいた。本気で打ち合えば、もはや勝負にならないことは互いに分かっている。とはいえ充実した時間を過ごし、身体には快い疲れが満ちていた。
     「イカロスの物語って、知ってます?」
     服を整えながら、不意に悟飯が言った。
     「鳥の羽を蝋で固めた翼の、地球人の神話だな」
    「そうそう! 太陽に近付きすぎて……翼が溶けて墜ちてしまう」
     夕陽を背中から受ける悟飯の表情は、影となりおぼろげだ。まだ少年だと、子供だとばかり思っていたピッコロの記憶を裏切り、瞳はいつの間にか大人びていた。
     「何故急にそんな話を? 宗教学はお前の専門じゃないだろう?」
     悟飯はほんの少しだけ考える素振りを見せ、目を撓ませて答えた。
     「子供の頃からずっと、僕にとってピッコロさんって、太陽でした。守って導いてくれる、眩しい光……」
    「……そんなに立派なものではないが」
     夢見るような穏やかな口振りにくすぐったくなり、ピッコロは肩を竦めた。
     「ううん、僕にとってはそう。だから触れちゃいけないって……イカロスみたいに墜ちちゃったら、二度と近付けなくなるからって、思ってて」
     明るく話す悟飯の言葉には、言葉以上の意味が含まれているように思えてならなかった。笑顔なのに、真意が読み取れない。ピッコロはかすかな戸惑いを覚え、悟飯のまなざしを静かに受け止める。
     悟飯が歩み寄り、ピッコロの片手をとった。抵抗せずにいると、指と指を絡められる。決して強い力ではないのに、振り払えなかった。
     「でも、考え方が変わったんです。気付いた、って感じかな」
    「……気付いた?」
     ぐっと引き寄せられ、腰に腕を回される。強く抱きすくめられて、こんな風に全身で密着するのは、子供のころ以来だと思い当たった。抱き寄せる力も、触れた身体の厚みも、ひ弱な少年のものではなく青年のものだ。あのころとは、まったく違っている。腰を固定している腕が、広範囲に触れている身体が、妙に熱い。
     ……ピッコロとて、地球人の欲求について何も知らないわけではない。悟飯の中に、いつ境界を乗り越えようかと機会を窺い続ける獣があることも、いつしか気付いていた。
     しかし、師弟の関係を逸脱した欲望を、こんなにもあからさまに向けられるのは初めてだった。咄嗟に逃れようと身を捩ると、悟飯の腕の力が強くなる。
     「悟飯、放せ……」
    「本当に放してほしければ、もっと抵抗できるでしょう」
     先程までの明るさとは一転して、昏いほど熱っぽい声が返ってくる。胸元で顔を上げた悟飯の瞳には、宵のほの暗さでも隠しきれないような、情欲の熾火が宿っていた。悟飯のためにならない、やめさせなければ、と頭で考えているのに、ピッコロの身体は思うように動かない。
     指を絡めていた片手を離して、悟飯はピッコロの頬に手のひらを当てた。触れるか触れないかで肌に触れている手のひらが、頬から喉へ、喉から首筋へゆっくりと下ろされる。薄く無防備な皮膚を撫でられ、怖気に似た未知の感覚がピッコロの背筋を走り、全身が粟立った。不覚にも息が詰まる。反射的に悟飯の手首を掴もうとしたが、やはり腕が動かせない。
     「イカロスは、太陽に近付きすぎて墜ちた。僕も同じように近付きすぎて、溶けて墜ちちゃうとしても」
     互いの吐息が混じり合うほどの距離で、甘く囁く悟飯の声が、ますますピッコロの自由を奪う。
     「こうして捕まえさえすれば、ピッコロさんはきっと一緒に墜ちてくれるって気付いた。そうなればもう、翼なんて要らないですよね」
     首筋にあった悟飯の手のひらが、今度は指先だけで喉を這い上がり、顎を辿って唇に触れる。軽く指を当てられているだけなのに、全身の血が熱されたように思考が麻痺する。
     夜の藍色は、いつしか空全体を覆っている。イカロスを決して近付けなかったという太陽は、既に光を失い、闇の中に呆気なく沈んでいた。
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    Replies from the creator

    summeralley

    DONE急いで進めてるけど12話くらいにはなってしまいそう……少し先でベッドシーンで丸々一話使ったせいで……。
    ネイPのP、ちょっと子どもっぽく書いてしまう。
    【ネイP】解剖台で夢を見た/04.聴診器の語るもの ネイルは殆ど、家へ帰らなくなっていた。職員がみな帰るのを待ってから仮眠室へ下りるので、それから帰宅となるとどうしても遅くなる。
     元々、仮眠室へ寝泊まりすることはそう珍しくなかった。同じフロアに、簡易的なシャワールームもある。食事は水で事足りる。コインランドリーは研究所の道向かいだ。
     ――家へ帰ったところで、仮眠室の様子が気になって眠れず、警備員が驚くような早朝に出勤することになる。
     自らが切り刻んだ研究対象への執着なのか、単純な個への執着なのかは、判然としなかった。それでも、寝袋を持ち込んで寝泊まりするようになるのは、ネイルにとって自然な選択だった。
     その日ネイルは、どこか浮き足立っていた。
     石室の標本に関する嘘の報告書は問題なく受理され、更に詳しく検査を進めるようにとの文言を添えた、検査項目のリストだけが戻ってきた。それも、時間がかかることを誰もが理解できる検査項目ばかりで、当分の時間は稼げそうに思われる。
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