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    summeralley

    @summeralley

    夏路です。
    飯Pなど書き散らかしてます。

    ひとまずここに上げて、修正など加えたら/パロは程よい文章量になったら最終的に支部に移すつもり。

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    summeralley

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    #飯P版深夜の真剣お絵描き字書き60分一本勝負
    お題【ピクニック・水筒】

    お題混合で書いたよ。この人たちを不用意に山野に放つと修業になってしまう……

    #飯P
    #二次創作BL
    secondaryCreationBl

    【飯P】2000リットルの恋心 「ピッコロさん、次の日曜、ピクニックに行くんです。一緒にどうですか?」
     悟飯がそう誘うのは、もう何度目だろうか。ブルマが主催し、悟天はじめ子供たちは毎回、前夜眠れぬほど楽しみにしている。
     「……おれはいい」
    「えーっ、高原、気持いいですよ。菜の花畑がすごく綺麗だって。行かない?」
    「行かん」 
    「そうですか……じゃあ、水源でお水汲んで来たら、一緒に飲んでくれる?」
     それくらいなら、と何気なく頷いたのが、そもそもの間違いだった。
     日曜の夜、悟飯は500ミリリットルの水筒を提げて神殿を尋ねてきた。しっかり冷やされているそれを、上機嫌でピッコロに差し出す。
     春の夜風は心地よく、悟飯がガーデンテーブルに飾った菜の花をかすかに揺らしていた。
     「水源っていうか、湧き水みたいな感じでしたよ。規模は小さいけど綺麗で……水筒持ってる人、他にもたくさんいました」
     冷たく澄んだ水は、確かにピッコロの喉にも快く感じられた。水を飲む様を、悟飯がじろじろとやけに凝視してくるのには閉口したが……。
     「次の日曜もまた同じメンバーで行くんです! ピッコロさんも……」
    「いや、おれはいい」
    「……そう。じゃあ、またお水汲んで来ますから、一緒に飲みましょうね」

     宣言の通り、悟飯は、ピクニックの度に水を汲んで帰ってきた。

     「ピッコロさんも絶対気に入ります!」
     2リットルの水筒。

     「今日のは本当に美味しくて、大きい水筒にしちゃいました!」
     4リットルの水筒。

     「ここのお水、健康にもいいそうですよ!」
     20リットルのウォーターサーバー。

     「みんな『そんなに汲むの?』って驚いてました!」
     40リットルのタンク。

     そして初夏のある夜、神殿の前庭でピッコロはぎょっとした。穏やかに澄んだ夜空に、わけの分からないものが浮いている。明るいオレンジ色の、子供の背丈ほどもある四角い人工物……夜風に吹かれながら、神殿へ真っ直ぐに向かって来る。
     「あっ、ピッコロさん! ちょうどよかった!」
    「悟飯……何だそれは」
     石畳に荷物を置いて、悟飯は満面の笑みを見せた。
     「一緒に飲むための、お土産のお水です!」
    「お前……程度を考えろ……」
    「今までで一番美味しかったですよ、ここのお水! 絶対に気に入ります!」
     呆れるピッコロを意にも介さず、悟飯は得意気に胸を張っている。やわらかい月光と、涼やかな夜風が混じり合う神殿の石畳に、オレンジのポリタンクは明らかに異質だった。タンクの真ん中には「災害用/200リットル」と大きく印字してある。こんなもの、一体どこで手に入れたのか……。
     悟飯は紙コップを取り出し、水を注いでピッコロに差し出した。
     「来週また、清流で有名な地域に行くんですけど……それまでにこれ、空になるかな?」
    「やめろ、この容器は。こんな派手な色のもの、デンデが目を回す」
     受け取った水を片手に、石畳の縁に二人で腰掛ける。街の明かりは爪先よりずいぶん下方に見えて、川底の小石がきらめくようだった。
     「ハイスクールの側のマンションの上に、白の丸いタンクがあるんですよね。受水槽」
    「……」
    「2000リットル入るらしいです。あれ、どこで買えるのかなぁ」
     ピッコロは深いため息をつき、とうとう観念した。
     「悟飯」
    「はい」
    「……次はおれも行く。だから土産はもういい」 
     悟飯の目が大きく開かれ、ぱっと輝いた。
     「本当ですか、やったぁ!」
     頷くピッコロに、悟飯は少し声を潜めて続ける。
     「……でも実は、こうして二人でお水飲むのも、贅沢な感じで好きでした。二人っきりで、ピクニックの延長戦してるみたいで」
     その声音には、甘やかな熱がこもっている。隠す気のない好意が、言葉として投げかけられていた。
     「だから……水源には、みんなから離れた時を狙って、二人で汲みに行きましょうね」
     屈託のない笑顔を、真っ直ぐに見ていられず、ピッコロは無言で水に口をつけた。オレンジの災害用ポリタンクから出たとは思えない、清らかな高原の風情を残した水だ。どことなく甘さの感じられる水が、喉を潤す。
     こういう水を飲ませたい一心で、悟飯の水筒が際限なく大きくなっていったのだと思うと、あまり叱る気にもなれない。上手く丸めこまれたような気もするが……来週、二人で飲む水は、きっともっと甘く感じられるだろうと、思われた。
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    summeralley

    DONE完結済みの、マスター💅と客🍚がバーテンダー🅿️を取り合う連載……ンデちゃん含む全員の番外あるのでぼちぼち載せます。
    これは🅿️がバーテンダーなりたてで、カクテル練習する話。真面目だからバーテンダー修業も頑張ったはず🥹
    【飯PネイP】煙るバーカウンターにて/サイドカー 元々あまり酒を飲まないから、カクテルというものにこんなにも種類があることに驚いた。ネイルは「覚える必要はない、レシピを確認して作っても構わない」と言うが、よく出るカクテルは嫌でもレシピを覚えてしまう。サイドカーも、そうだ。
     ネイルの店へ立つようになって、四ヶ月経った。あいつは元々、この街へ出てきた時からずっとバーテンダーをやっていたが、おれはまったくの初心者だ。それでも、開店前にあれやこれやと教わって、一通りのことは出来るようになったつもりでいた。実際、これまで客から褒められこそすれ、苦言を呈されたことなどなかった。
     「このサイドカー……なんとなく、味が尖ってる気がする」
     そう言われたのは半月前だ。甘い、苦い、ぬるいなら分かるものの……尖っている? そもそもこの客が、ただの感想を言っているのか、文句のつもりで言っているのか、判別できなかった。なんと答えていいか分からないところに、ネイルが横合いから口を出す。
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