野球少年?の幻影 土曜日の昼下がり。つい最近だったらグラウンドで同年代と共に野球をして砂埃まみれになっているところだった。ケガでまともに野球が出来なくなってからは、俺の土日は所謂休日らしい休日になってしまった。持ち出せば野球ができる道具だけはあるのに。
両親は招待された親戚の結婚式に行って留守で、家にいるのは留守番を頼まれた俺一人だけだ。
模試の勉強をしている最中。ドアホンが鳴る。出なくてもいいとは言われているが、誰が来たぐらいは確認したほうがいいとは思った。
自室から出てドアホンの画面を見ようとした時、こんにちはー!と若い男性の声が二つ隔てたドア越しから聞こえる。大きな声はセールスか配達員を彷彿させたが、モニターに映っているのは野球のユニフォームを着ている人だった。しかも久良岐リトルシニアの。
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