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    高間晴

    @hal483

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    高間晴

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    ぼんど800字。チェズモク。バディエピ「モーニングコーヒー」のその後の話。

    ##BOND

    ■その後のモーニングコーヒー


     すべてが終わった後、BOND四人はミカグラ島を離れることになった。
     朝、オフィス・ナデシコのリビングにピアノの音が響いている。弾いているのはチェズレイだ。鍵盤の上を指が踊るたびに流麗な旋律が室内に満ちる。
    「――いつまで、そうしているつもりですか」
     手を止め、背後の気配に振り返らずチェズレイは問う。
    「いやー、いつ聴いても見事な腕前だと思ってさ」
     そう言って近づいてきたモクマの手にはカップがふたつあった。チェズレイがひとつを受け取って中を覗き込む。それはカフェオレらしく、コーヒーとミルクの香りがした。
    「俺もお前さんも病み上がりだからさ、胃に優しいカフェオレにしたんだけど」
    「ありがたく頂きますよ」
     そう言って微笑むとカップに口をつける。少しぬるくなったカフェオレが喉を通っていく。
    「そういえば、ボスはどうしています?」
    「部屋ノックして声かけてみたけど、まだ寝てるみたい。まあルークも色々あって疲れてるだろうしさ」
     ちなみにアーロンはすでに故郷のハスマリー公国へ向けて出立していた。入院中のアラナのことも気にかかるが、もう快復に向かっているとのこと。すると気がかりなのはアジトに残された子供たちのことだ。
    「アーロンは優しいよなぁ。おじさんも何だかんだと諭されちゃったし」
     ずず、とカフェオレをすすりながら、モクマがピアノに背を向けて肘を乗せる。
    「おや、それは聞き逃がせませんね」
     チェズレイのアメジストにも似た紫色の瞳がモクマを捉える。モクマは肩をすくめた。
    「あーこれちょっと恥ずかしいから、掘り下げんといて」
    「……いいでしょう。今は、ね」
    「いつかは口を割ることになるわけ?」
    「当然でしょう。私はあなたのことを暴きたくて仕方がないんですよ」
     チェズレイがモクマの手をそっと取る。続いて恭しく手の甲に落とされる口づけ。肌も心もくすぐったくてモクマは苦笑いする。
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    高間晴

    DONEチェズモクワンライ「傷跡」。一緒にお風呂。■揃いの傷跡


    「はぁ~いい湯だ……」
     二十年に渡る放浪時代や、あのミカグラ島であった一連の事件。その間、ゆっくり湯に浸かるなんて考えられなかった。
     場所はヴィンウェイのセーフハウス、バスルーム。広々とした大理石調のサーモタイルが敷かれた空間。そこに鎮座する大きめの猫足バスタブに湯を張って、モクマは風呂の時間を楽しんでいた。
     実は家主から先ほど連絡があり、『帰りが少し遅くなります』とのことだったので先に風呂を済ませてしまおうと思ったのだ。
     ざば、と湯船から湯をすくって顔に浴びると、生き返るような心地がする。鼻歌でも歌いたい気分だ。ふと顔を上げれば、ラックにはチェズレイが使っているシャンプーや洗顔料、ボディソープのたぐいがずらっと並んでいるのが目に入る。マメな男だなぁ、なんて感想しか出てこない。
     そこへ声が飛び込んできた。
    「モクマさん、入ってもいいですか?」
     ああ、あれか。あの洗顔料、確か洗面所に置いてあるやつだったはず。忘れてたのを取りに来たのかな、なんて思ったモクマは軽く返事した。
    「はいよ。どうぞ」
    「では失礼して」
    「……って、お前どうしたの!?」
     モクマが驚い 1663