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    高間晴

    @hal483

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    高間晴

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    後朝の敦太800字。
    いちゃいちゃしてるだけ。

    ##文スト
    #敦太
    dunta

    モーニングコーヒー「敦君のいれた珈琲が飲みたい」
     朝、目覚めて開口一番に太宰がそう云う。先に服を身につけていた敦は、良いですよ、と云いおいて台所で湯を沸かし始めた。
     しばらくしてから二人分のマグカップを持った敦が戻ってきて、ひとつを太宰に渡す。
    「熱いから気をつけてくださいね」
     太宰は、琥珀色の水面を何度か静かに吹いて冷ましていたが、やがて一口すすった。ほう、と安堵にも似たため息が漏れる。
    「美味しい」
    「インスタントだから誰がいれても同じ味だと思いますけど」
     それに自分は珈琲をいれるのがそんなに上手くない、と敦はこぼす。布団に入ったままの太宰に寄り添うようにして座ると、敦も珈琲を一口飲んだ。
    「……やっぱり。ついつい粉をケチって薄めになっちゃうんです」
    「君が私のためにいれてくれた、っていうのが大事なんだよ。こういうのは」
     それを聞いて敦は、一瞬固まったかと思うと小さく笑った。
    「珈琲くらい、幾らでもいれてあげますよ。太宰さんがそれで喜んでくれるなら」
     レースカーテン越しの朝日は、真夏の頃より幾分か澄んでいた。もう秋になるのだ。
    「太宰さん。今日は海の方へ出かけませんか?」
     それを聞いて今度は太宰が目を細めて笑う。
    「やっと私と心中してくれるの?」
     たちの悪い冗談に、困ったものだ、とでも云いたげに敦は首を横に振る。
    「――そんなわけないじゃないですか。僕は太宰さんと海が見たいんです。ほら、夏の間は暑いからってほとんど外出しませんでしたし」
    「確かに、今の時期なら海辺も人が少なくて良いかもしれないね」
     太宰は冷め始めた珈琲を名残惜しそうに飲んでいる。
    「でも、今日はこうやって二人きりでいたい気分なんだ」
     上目遣いに敦を見やれば、彼は片手で顔を覆ってため息をつく。
    「前から思ってましたけど、太宰さんって僕を扱うの上手すぎません?」
    「年の功ってやつかな」
     二人は顔を見合わせると、唇を重ねた。珈琲の苦味すらどこかへと逃げていく、甘い甘いくちづけ。
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    💘
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    高間晴

    DONEお題箱より頂いた、「ひたすらモさんを褒めちぎるチェズ」。
    なんか手違いで褒めるというよりは好きなところを挙げていますがご容赦ください。
    ■このあと美味しくいただきました。


     チェズレイは目的のためならかける手間を惜しまない男だ、とモクマは思う。
     ふらりと出かけ、数時間ほどでセーフハウスに帰ってきたチェズレイを玄関で出迎える。その手にはケーキが入っているらしき箱と茶色の紙袋があった。甘いものに目のないモクマは嬉しそうに笑う。
    「チェズレイ。それお土産? ケーキ?」
    「タルトです。苺が旬なのも今のうちですし、買ってきました。一緒に食べましょう」
     そう言いながらキッチンのダイニングテーブルに箱と紙袋を置く。待ちきれずにモクマが箱を開けてみると、たっぷりの真っ赤な苺がクリームの上に乗ったタルトが二切れ入っている。テーブルに手をついて箱を覗き込みながらモクマはお伺いを立てる。
    「あ、おじさんコーヒー淹れよっか? タルト甘いだろうからブラックで――」
    「いえ、クリームを使ったタルトに合わせるなら油分のあるコーヒーより、口の中がさっぱりするストレートの紅茶ですね」
     それを聞いてモクマは首を傾げる。紅茶。コーヒー豆ならあったけど、茶葉なんてなかったはずだ。そこで隣に置かれている紙袋に目が行く。チェズレイはその中からアルミの小 2964