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    高間晴

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    高間晴

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    敦太800字。うどん食べたい。

    ##文スト
    #BSD
    #敦太
    dunta

    夜食 敦は目を覚ました。
    「……お腹すいた……」
     部屋は薄暗い。枕元の時計を見ればまだ夜中の三時。隣では太宰が眠っているので、そっと寝床を抜け出した。
     ――何か食べるものあったかな。
     台所に行き冷蔵庫を漁る。
     孤児院時代には一度だけした、夜食。ある時、空腹に耐えられなくて食料庫に忍び込んだことがある。味気ない乾パンを食べたがそれはとても美味しくて。でも結局、後に受けた罰でもう二度とはするまいと思ったのだ。
     冷蔵庫から冷凍うどんと卵、葱を見つけたので、これでうどんを作ろうと思って腕まくりする。
     まず鍋に水を入れてお湯を沸かす。その間に葱を刻むことにした。
    「あーつーしくーん♡」
     背後から声をかけられて敦はびくっと肩を震わせる。葱を刻む手元が狂わなくてよかった。振り返れば太宰が立っている。夜着を適当にひっかけただけのその姿は目に毒だ。
    「私を置いて一人で夜食なんてずるいなあ」
    「すみません。よく眠ってるように見えたので……」
     言い訳をすると、太宰はどこか愉しげに笑って「私も食べたい」と敦にすり寄ってきた。
     敦は笑顔で「いいですよ」と答え、冷蔵庫から冷凍うどんをもう一人分取り出す。
    「太宰さんは丼と箸を用意してくれます?」
    「いいよー」
     食器棚を開けている太宰を横目で見ながら、敦は沸騰した鍋に二人分のうどんの麺とスープの粉末を入れた。出汁のいい香りが台所に漂ってくる。ぐう、と敦の腹が鳴る。小さく笑う太宰の声。
     ――嗚呼、なんて幸せなんだろう。
     太宰から受け取った丼に、茹でたうどんとスープを入れ、割った卵と刻み葱を乗せる。食卓までその丼を持っていくと、太宰はにこにこしながら待っていた。
    「いただきます」
     敦は箸を手に取るとうどんを吹き冷まして一口すすった。香る出汁にもちもちの麺がたまらなく空腹にしみる。敦が黙々とうどんを食べていると、太宰がまだうどんに手をつけていないのに気づく。
    「食べないんですか?」
    「まだ熱いから。あと敦君の食べてる姿がすごく美味しそうで」
     そう云われてしまって敦はうどんを喉に詰まらせかける。そして、こう云い返してやるのだった。
    「美味しそうなのは、太宰さんの方です」
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    「チェーズレイ、これよかったら使って」
     そう言ってモクマが書斎の机の上にラッピングされた細長い包みを置いた。ペンか何かでも入っているのだろうか。書き物をしていたチェズレイがそう思って開けてみると、塗り箸のような棒に藤色のとろりとした色合いのとんぼ玉がついている。
    「これは、かんざしですか?」
    「そうだよ。マイカの里じゃ女はよくこれを使って髪をまとめてるんだ。ほら、お前さん髪長くて時々邪魔そうにしてるから」
     言われてみれば、マイカの里で見かけた女性らが、結い髪にこういった飾りのようなものを挿していたのを思い出す。
     しかしチェズレイにはこんな棒一本で、どうやって髪をまとめるのかがわからない。そこでモクマは手元のタブレットで、かんざしでの髪の結い方動画を映して見せた。マイカの文化がブロッサムや他の国にも伝わりつつある今だから、こんな動画もある。一分ほどの短いものだが、聡いチェズレイにはそれだけで使い方がだいたいわかった。
    「なるほど、これは便利そうですね」
     そう言うとチェズレイは動画で見たとおりに髪を結い上げる。髪をまとめて上にねじると、地肌に近いところへか 849