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    高間晴

    @hal483

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    高間晴

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    敦太800字。

    ##文スト

    オーバードーズ(Side. A) 太宰さんが探偵社に遅刻してくるのは何時ものことだ。時計の針が十時を周る頃。デスクで乱歩さんがキャラメルをひとつ口に入れた途端、動きが固まったので、偶然をそれを見た僕は嫌な予感がした。乱歩さんがすっと立ち上がって入り口の扉を指さす。
    「敦、急いで太宰の部屋に行け」
     その言葉に僕は反射的に駆け出していた。扉を開けて出ようとしたところで背後から国木田さんが鋭く僕の名を呼び、何か小さなものを放って寄越す。
    「社員寮のマスターキーだ。できるだけ早く救急車を呼べ」
    「あ、はい! 行ってきます!」
     そうして僕は全力で道を走る。太宰さんの自傷やOD癖には慣れてきたが、乱歩さんが動いたとなると今回は本当に危ないに違いない。
     ――どうか、どうか、死なないで。
     太宰さんの部屋。マスターキーを使って中に踏み入ると、カーテンが閉まっていて暗い。目を凝らすと彼の人が布団の上に寝間着で寝転がっている。靴を脱ぐ余裕もなく駆け寄る。
    「太宰さん! しっかりしてください!」
     肩をゆすり声をかけると閉じられていた目蓋がゆっくり開く。僕は状況を把握しようと部屋の明かりを点けた。
    「……うわっ」
     布団の周りに琥珀色の薬瓶が三つ転がっている。どれも咳止めシロップで、全部空っぽだった。これだけだったら別に心配いらないのだが、他にも何かわからない錠剤のシートが数え切れないくらい散らばっている。飲み合わせが悪い薬だったのだろうか。
     すぐさま携帯を取り出し、救急に太宰さんの状態と住所を告げると切った。一秒でも早く救急車が来てくれますようにと祈りながら、僕は太宰さんの手を両手で握ると祈るように額に当てた。
    「僕、わからないんです。貴方のいない世界で生きていく方法が」
     だから、生きていてください。
     でも返事なんてなくて、視界が涙でぐちゃぐちゃになっていく。喉の奥から嗚咽が漏れ出す。この人のいない世界。それはこの人がいなくても当たり前に朝が来て夜が来る。それを想像するだけで兎に角つらい。苦しい。
     太宰さんは、何か云おうとしているのか口を開いたが声は出てこない。救急車のサイレンが、聞こえてきた。
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    高間晴

    DOODLEチェズモク800字。お揃いのマグカップ。■おそろい


     モクマはチェズレイとともにヴィンウェイのセーフハウスに住むことになった。あてがわれた自室で荷物を広げていると、チェズレイが顔を出す。
    「モクマさん。やっぱり食器類が足りないので、買い出しについてきてくれませんか」
    「おっ、いいよー」
     タブレットに充電ケーブルを挿し込んで、モクマはいそいそと後をついていく。
     食器店――こちらの方ではテーブルウェア専門店とでも言うのか。最寄りの店に入る。そこには洒落た食器が棚に所狭しと並んでいた。さすがチェズレイも利用するだけあって、どれも美しい芸術品のように見える。
    「ええと、ボウルとプレートと……」
     店内を歩きながら、モクマの押すカートに食器を次々と入れていく。
    「あとはカップですが、モクマさんがお好きなものを選んでくださって結構ですよ」
    「ほんと? どれにしようかなぁ……」
     白磁に金の葉の模様がついたものや、ブルーが美しいソーサーつきのカップなどがあって目移りしてしまう。そこでモクマは思いついたように訊いた。
    「なあ、お前さんはどれ使ってるの?」
    「――そうですね、普段はこのブランドのマグカップを使っています。軽量で手首に負 825