背中に視線を感じる。
気づいて振り向くと彼は本を見ている。
何か気になることでもあるのだろうか。
それとも言いたいことがあるのかな?
その夜、彼が眠った後、
「ねぇ、黒様、最近小狼君から視線を感じない?」
「……感じるな」
「あー、やっぱり?何か言いたいことあるのかな」
「あれは、違うだろう…」
「黒様には心当たりはあるの?」
「……まぁな」
「え!なになに!教えてー」
「しばらくほっといてやれ」
「…黒みーがそう言うなら……」
黒様はそうは言ったけど、やっぱり気になる。
「…えっと、小狼君、何か言いたいこと、ある?」
「……いや、そう言うわけではないんだ。ただ、」
「ただ?」
「羨ましいな、と」
「羨ましい?」
「ああ、貴方たち2人とも、その身長が高いから…」
「身長?」
「ああ」
何で身長が気になるの???
「……成長期はこれからだろ、焦ったところですぐ伸びるもんでもねぇ。お前はまず食え、そんで寝ろ」
「そういうものだろうか?」
「そういうもんだろ」
「なんで、黒様と小狼君は納得してるの〜!俺、小狼君今くらいの身長でも気にならないよ」
「だからだろ」
「……その、貴方たちが俺を大事紙にしてくれているのはわかるんだが、その、うん、扱いが子どもに対するそれというのか」
「でも、俺は小狼君が俺の身長超えるくらいに大きくなっても大事にするよ?」
「……」
「小僧、諦めろ」