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    雨月 悠一郎

    @Yu1ro_Ugetu22

    特技は重箱の隅をつつくこと

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    雨月 悠一郎

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    戸南(@tonanamimi)さんが言っていたドレホ行政手続きアンソロ養子縁組編です。

    1+1=2 男と女のカップルの場合、結婚すると1+1で2になって、その後は子どもを作り家族の数は3にも4にも5にも出来る。
     女同士のカップルの場合は精子提供などを利用することで子を成すことが可能だ。1+1で3にも4にもすることが可能だが、カップルによるだろう。
     おれやドレークのような男同士のカップルの場合、1+1=2にしかならない。
     数年前、同性婚の法整備が整うと同時に同性カップルでも養子縁組、特別養子縁組を組むことが可能になり、おれたちでも子どもを持つことが可能になった。1+1を3にも4にもすることが可能になったのだ。

     同性婚の法律が可決された日は、2人とも抱き合い、訳の分からないことを叫びながら飛び上がったが、その時は結婚出来るという喜びで頭が一杯で、養子について考えたこともなかった(ちなみに入籍の日は同性婚が可決された後、占いで運気の良い日を占ってから決めた)。おそらくドレークも同じだろう。
     おれが養子について考えるようになったのは、急に世の中が養子についての広告を打ち出すようになったからだ。何故急に?と思ったが、調べてみると養子を引き取れる基準に『結婚して3年以上経過していること』というものがあるらしい(基準は養子縁組斡旋団体によるらしいが)。道理で同性婚が成立したばかりの頃は聞かなかった訳だ。


     夕食を食べている時のことだった。
    「今日、仕事中に『結婚したのなら養子を取る予定はないのか?』と聞かれた」
    「そうか。それで?お前はどう答えたんだ?」
    「今はまだ考えてない、と言った」
    「まぁ、事実だな。養子について今まで1度も話題に上がったことは無いし」
    「おれは少し前から考えていたんだが、養子について考えてみないか?」
    「は?」
     一瞬、リビングの時が止まった。
    「ダメか?」
    「いや、お前は虐待を受けていたと言っていただろう。だから、同じことを繰り返さないために子どもを持つことには消極的かと···」
    「結婚した当初はそう思ってたんだが、お前となら子どもを育てたい、と思うようになった」
    「そうか。おれはお前が子どもが欲しくなるようセックスの時に「孕みそうだ」とか「お前は良い父親になりそうだな」と言って少しずつ洗脳していこうかと思っていた」




     普段通りの日常が流れていたある日、見覚えのない番号から電話が掛かってきた。
    「もしもし?」
    『もしもし、バジル・ホーキンスさんのお電話で間違いないでしょうか?』
    「はい、そうです」
    『わたくし、オレンジのゆりかごのスチュアートと申します』
     オレンジのゆりかごから電話が来たということにドキリとする。
    『該当のお子さんが決まったのでお電話しました』
    「はい」
    『お子さんは○月✕日生まれの男の子です。出生届を出すにあたりお子さんの名前が必要なのですが、実母さんの希望で名前はご夫夫で決めてほしいということで、名前の候補を1週間以内に送っていただきたいのです』
    「名前を?こちらで決めていいんですか?」
     てっきり子どもの名前は決められないと思っていたので驚いた。
    『はい。名前が決まったら連絡してください。出生届の手続きはこちらで致します』
    「わかりました」
     今日の家族会議の内容が「子どもの名前を決める」に決まった。ひとまずドレークが帰ってくるまでに誕生日から子どもの運気の良いイニシャルを占わなくては。
    『それから、引き取りに来る日は一週間後の○月△日にオレンジのゆりかごに10時でお願い出来ますか?』
     急いで手帳を開き、曜日と日程を書き込む。
    「わかりました、時間厳守で行きます」
    『では、今日の電話の内容は以上となります。何か質問等はございませんか?』
    「大丈夫です」
    『わかりました。これから一週間以内にお子さんが来た時の環境を整えておいてください。この度はおめでとうございます』
     電話の相手は最後まで事務的な口調だった。だが、これは養親となる親を冷静に見極めるためらしいので触れないでおく。最後に「おめでとう」の言葉が聞けただけでも御の字だろう。
     電話の後、オレンジのゆりかごからメールで赤ん坊の写真が送られてきた。これはドレークが帰ってから一緒に見ることにしよう。
     ドレークにLINEを送る。
    『おれ達が特別養子縁組の該当家庭になったようだ』
    『△日に有給を取れ。赤ん坊を引き取りに行く』
    『一週間後には家に赤ん坊が来る』
    『出生届を出すために名前を決めて欲しいそうだ』
    『誕生日的にKから始まる名前が運気が良い』
    『名前を考えておいてくれ』



     写真の中の赤ん坊は目の色は水色の一重で髪はプラチナブロンドだった。
    「これがおれたちの子どもか···」
     ドレークは無言で写真の赤ん坊を見つめていた。
    「なぁ、ホーキンス、ぶっちゃけていいか?」
    「あぁ」
    「まだあまり実感が湧かない···」
    「おれもだ。まだ「おれ達の子が来る」という実感より、「どこか他所の赤ん坊が来る」という感覚が近い」
    「これはおれ達が男だからなのか?」
    「おれは関係無いと思うぞ。母親でも産んですぐは実感が湧かなかったりするらしいしな」
    「とりあえず、これからおれ達の生活が大きく変わることは確かだな」
    「お前はジムにも行けなくなるな」
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