何度目の夢か「人間は嫌いじゃ…でもお主は…。」
少し寂しげな声が聞こえた。
「…またこの夢か。」
同じ夢をみる。
赤い桜の木の下でどす黒い血の池に沈む自分が見える。息ができず苦しくもがきながら沈んでゆく。
冷たい。
暗い。
苦しい。
死にたくない。
消えゆく意識の中、青白い手が俺の手を掴み、池の中から引きずり上げる。
「お主はまだ生きなければならん。」
誰が、俺を助けた?
聞き覚えのある声。
だが思い出せない…。お前は誰だ?
いつもそこで夢から醒める。
忘れちゃいけない。
思い出さなければいけない気がするがどうしても思い出せない。
何かとても大切な事を忘れている。
頭を抱えていると視線を感じた。
視線の先を見るとじっとソレが俺を見ていた。
「…起きてたのか。」
785