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    moguratataki30

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    企画参加品
    ネップリで出したやつの清書版

    ##耀玲

    継ぐ者12月15日、何とか帰り着いた結婚後初の合同捜査終了後、夕飯もそこそこに風呂で汚れを落としベッドへと2人して滑り込んだ。
    「今日はもう寝ようか」
    「そうですね…」
    「そう寂しそうな顔しなさんな。今度の休みの前日はズブズブに沈めてあげるから」
    「う"っ、お手柔らかにお願いします」
    「善処はしよう」
    「ありがとうございます、おやすみなさい」
    「ほい、おやすみ」
    耀の腕の中、眠りについた夢の中で玲は知らない人に出会った。
    髪は銀髪で白衣を着て、歳は耀と同じくらいか少し下に見える。
    [耀を幸せにしてくれてありがとう]
    「…貴方は、誰ですか?」
    [……]
    答えてくれる気はないらしいが直感的に"この人は日比谷優希さんではないか"と思う。
    「優希さん…ですか?」
    […近々会えると思うから楽しみにしていて。って耀にも伝えて]
    「待って下さい!」
    伸ばした手は空を切り何かを掴み目を開いた。見慣れた天井と掴んだ耀の手、心配そうに覗き込む旦那さんの顔。
    「玲?」
    「よう…さん…?」
    「はぁい、玲の耀さんですよ」
    「今…」
    「ん?大丈夫、落ち着きんさい」
    「耀さん、日比谷さんって銀髪でしたか?」
    「そうだね。銀というよりプラチナブロンドみたいな…」
    「夢に、出てきて…」
    「っ!…何か言われたの?」
    「もうすぐ会えるから楽しみにしててって、耀さんにも伝えてって…」
    「…何かのお告げ、かねぇ。……明日から送迎は課長くん達マトリにも頼むから断らない様に」

    12月23日定時で帰宅した玲は夢の日から体調が優れず今日は関に送ってもらってから体温だけ測ってソファに横になっていた。
    「ただいま」
    「耀さん、お帰りなさい!」
    「はいただいま、体調どう?」
    「…関さんから聞いてますか?」
    「そりゃ、課長くんからちゃんと連絡もらってますよ」
    「ううっ…でも、この時期耀さんも忙しいのに…」
    「仕事は替えが効くけど玲は替えが効かないんだから文句言わないの。熱は?」
    「7.1度でした」
    「微熱だね。夜だからってのもあるだろうけど…」
    「あとご飯、まだ作れてなくて…」
    「いいよ。食べられそ?」
    「はい!お腹空きました」
    「本当にだるいだけなんだねぇ」
    「そうですね、あとちょっとボーッとしたり、強い眠気が来たり…あと…」
    「ん?」
    「なんかちょっと胃がムカムカしてる様な…食べ過ぎですかね?」
    「…ほーん。明日病院行ってきんさい。俺も休みとるよ」
    「え?」
    「ちょっと長引いてるし気になるからね」
    クリスマス直前に申し訳ないと玲がシュンと萎れる。そんな玲を元気付ける為に耀は屋台のモツ煮を買ってきてくれていた。
    「お酒飲みますか?」
    「いんや、今日はお茶」
    「どうしたんですか?」
    「奥さんの体調が悪化して病院に急遽行っても良いように」
    「…そこまで気にしなくてもいいのに」
    だが耀は玲が呑めない脇で呑む気はなかった。

    翌日、朝から耀に連れられやってきたのはレディースクリニック。「えっ?えっ?」と困惑する玲を引っ張って耀は中へて足を踏み入れた。
    『服部玲さん』
    受付を終え少し待っていると診察室から看護師が声を掛けて玲だけ中に行く。その後耀も呼ばれて診察室に入るとエコー中の玲がいた。
    『旦那さん、わかります?ここに動いてるのが心臓ですよ』
    「…耀さん…」
    泣きそうな玲に伸ばされた手をギュッと握って耀まで嬉しくなった。
    「玲、ありがとう」
    帰り際、今後の話を2人で聞いて病院を後にした。
    「由井さん…また五月蝿くなりそうだな…」
    「まぁいいんでない?どの道検査は必要なんだから」
    「…遺伝してたらどうしよう…」
    「たぶんね、その子は持って生まれてくるよ」
    「えっ…」
    「玲の夢に出てきた優さんの話が本当なら、ね」
    「あの『もうすぐ会える』ってやつですか?」
    「うん、優さんが玲を連れて行こうとしてるのかもとも思ったんだけど、そんなことする人じゃないし」
    「そうですね。それで考えるなら『耀を幸せにしてくれてありがとう』なんて言われなかったと思います」
    「まったく、2人揃ってお人好しなんだから…」
    どこか嬉しそうに照れ臭そうにそう呟いた耀の横顔は嬉しそうだった。

    年が明け、病院の日はなるべく空き時間に耀が送迎してくれて、仕事は事務処理が中心になりつつある頃、桧山から連絡をもらい久しぶりに足を伸ばすことになった。そのまま直帰でいいと関に言われ、3時ごろ庁舎を出た。
    「久しいな、お嬢さん」
    「お久しぶりです、桧山さん」
    「服部が嬉しそうに話すばかりでなかなか会わせてくれないものだから呼び出してしまった。すまない」
    「いえ、大丈夫ですよ」
    「妊娠祝いを用意した。送っていくから持って行ってくれ」
    「えっ!?何を…」
    「マタニティ服とブランケット、抱き枕、最近流行りのマタニティアルバムなんかだな」
    「助かりますけど気が早いですよ…」
    「親戚として喜ばしい事この上ないからな。盛大に祝わせてくれ」
    凄くいいハーブティーとケーキが出てきて、こんなのまであるのかともはや感心する。
    申し訳なくも残すのも申し訳ないのでいただいた。久しぶりのスイーツはすごく美味しく感じた。
    「桧山ぁ、大事な奥さん返してもらうよ」
    「服部、お前がお嬢さんを寄越さないから呼んだんだろ」
    「そりゃ餌付けされない様に寄越さないよ」
    そんなことを言っていた耀さんでも、玲が産休を取り耀が帰れない時には桧山邸で過ごす様に言われた。
    桧山の家では基本的に図書室で日中を過ごしたり庭を散歩したりして過ごしていたがやはり何処か落ち着けず。お昼を食べた頃に一度帰らせてもらい家事を済ませ耀さんの為の作り置きと着替えを用意したりちょっと昼寝したりしてまた桧山邸に戻る生活をしていた。
    陣痛が来たのは幸い耀と家で寝ている時で病院に電話したり毛布で包んでくれたりと珍しく慌てた顔をしながらテキパキと準備をしてくれる。その辺はさすが耀なのだが陣痛で私が痛がる度に申し訳なさそうな辛そうな顔をされてこちらが申し訳なくすらなる。間隔が短くなりタイミングを見計らって耀の車で病院へ行くと到着と同時に耀の携帯が鳴る。指示を仰ぐだけだった様だが出産のタイミングさえ違えば飛んで行ったであろう。付き添い出産で耀さんにしっかり握られた手に安心しつつ長時間の陣痛で意識が遠のく中産声が聞こえた。
    「元気な男の子ですよ!」
    17時間の葛藤の末、顔を見て安心した玲は眠気に勝てずそっと意識を手放した。
    起きたら病室に戻っていて手を握って寝ている耀とその傍にベビーベッドに寝ている我が子がいた。
    「起きた?」
    「よ、さん」
    「ん。ありがとう、玲」
    ちょっと泣きそうな珍しい耀にありがとうを返しながらキスをする。
    怠い体を起こし我が子に目を向けると耀が慎重に抱えて出してくれた。胸に抱く赤ちゃんは平均より少し大きいらしい。
    その後一課やマトリの面々を始めスタンドメンバーが代わる代わるお見舞いに来て病室は物だらけになった。
    もちろん両家両親共に初孫を見に来てオモチャやら服やら色々持ってきたがそちらは家に置いてきたらしい。
    肝心の耀は初日こそ付きっきりだったがそうも行かず時間を見つけて毎日10分程度顔を見に来ている。
    名前は『優継(ゆつぐ)』男の子でも女の子でもいい様にとクリスマスのあの日から決めていた。
    優継は薬効体質を見事に継いでいた。それでもスクスク大きくなり耀みたいに警察官になりたいと言い出したりもした。
    10歳を過ぎる頃あえて渡したわけでもないのにキャラメルにハマって虫歯を作ったりもしたが大きくなってからもキャラメル好きは変わらなかった。

    「本当に優さんの生まれ変わりだったのかもね」
    「そうですね。今は化学大好きっ子ですし」
    「ま、警察になるって言われた時にはどうやって辞めさせようか考えたけどねぇ」
    「それ耀さんが言います?」
    「そりゃあ黒いとこたくさん見て来てるからねぇ」
    優継が生まれて18年後の3月、今日高校を卒業して来月から大学近くのマンションに一人暮らしの予定だ。
    「しかし、なんで研究者かねぇ。前世の記憶あるんでない?」
    「何回か訊いてみたじゃないですか、そしたら知らないって」
    「ま、大学院まで行くんだからお仕事まだまだ頑張らないとねぇ」
    「引退してもいいんですよ?」
    「君だけ働かせられないでしょーよ」
    「とーさん!かーさん!」
    赤い髪にアクアグレーの瞳、父親似かと思いきや中身はすっかり玲に似て人懐っこい笑顔と他人優先の優しい子に育った。
    「卒業おめでとさん」
    「おめでとう」
    「ありがとう、2人とも忙しいんだからわざわざ来なくてよかったのに…」
    「何言ってんの、多分見に来るのが最後になる卒業式くらいは見ておきたいでしょーよ」
    「大学は見に来ないの?」
    「はっ、冗談。大学なんてほぼ一人前なんだからあんまり親が出しゃばるもんでもないでしょーよ」
    「…そっか、そうだよね」
    寂しそうに言う優継の頭に耀の手がポンとのる。玲と優継にだけ見せる優しい笑顔で微笑んだ。
    「ユウー!写真撮ろう!」
    「今行くよ、マサ!」
    若い2人のやり取りに耀が驚く。
    ユウ、マサ、聴いたことのあるやり取りに昔の記憶が蘇る。
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    『また徹夜か?ユウ』
    『マサとヨウだって変わらないだろ?タバコの本数増やすよりちゃんと寝た方がいいぞ?』
    『ユウこそキャラメルの空き箱何箱目だ?』
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    「今のがマサヤくんかな…」
    物思いに耽る中玲が呟いた言葉を耳が拾った。
    「マサヤ?」
    「はい、1番の親友飯田正矢(イイダマサヤ)くんだそうです」
    「…」
    「似てますよね。伊田さんに…」
    「…そうだねぇ。…本当にそうだ…」
    輝かしい若い2人の後ろ姿に伊田と日比谷が重なって見えた。
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