星降る夜 今日は十年ぶりの天体ショーの日だった。
「神成シエル」
トレーニングに励んでいるオレの許にバーンさんがやってくる。今日は会社の大事な会議があったはず、けれどバーンさんはふわりと笑って、
「予定より早く終わった。それで君の顔を見に来たんだ」
少しいいかな、と、バーンさんは訊く。オレは出来ればトレーニングを続けたかったけれど、この人を無碍にしたくはない。クロムさんを助けるために親身になって協力してくれる人だから……ちょっと胡散臭いな、って思ったり、すぐに抱きついてくるからぎょっとするけど。それでも頼りになる人で、温かくて。オレはバーンさんに‟いいですよ”と頷いた。
「今夜は星がとても綺麗だ」
ユグドラシル製薬の高層階に屋外に出られる場所があって、オレとバーンさんはそこで空を眺める。薄っすらと青みがかった闇の中を、青白い星が駆けていった。流れ星。今日は十年ぶりに流星群が見られる日だ。流れゆく星はとても眩しく、夜空に煌めいて一瞬のうちに消えていった。
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