4:探索相当ショックだったのであろう、小助は今も部屋の隅っこで1人クモに話しかけている
『あのさぁ、言い出しづらかったんだけどさ、ベッドが1つしかないんだけど、、』
そう、この部屋にはベッドが1つしかない、つまりこいつと寝るかどちらかが床で寝なければならない
というなんともきまづい選択が待ち受けているのだが、帰ってきた言葉は意外なものだった
『僕、寝ないから、』
『え、、寝ないって、』
『いつか話すよ』
私は驚いた、あんなに幼く見えた小助がほんの一瞬の間だったがとても悲しそうな顔をしたのを見たからだ。
今日は自由だと言われていたし深掘りするのもよくないなと感じて私はのんびり過ごしてから寝ることにした。
次の日の朝、
私が5時ピッタリに起きると
小助はもう起きていた。
いや、やはりずっと起きていたのであろう
のんびりと読書をしていた彼はこちらに気付いたようだ
『おはよう、3時くらいにウツディさんにご飯をどうしたらいいのか聞いたら配達してくれる人がいるみたいだから来るまで待とっか。3時に起こすなお荷物がっ!!って怒られちゃったよ、あはは、』
『うん、そうしよう』
微笑みながら話した彼の笑顔は長年人と関わって来なかった赤衣には輝いて見えた
その時
[ピンポーン]
部屋についている呼び鈴が鳴った。
すると、呼び鈴を鳴らしたら入ってきてもいいと思っているのだろうか、扉が開いていくのをみて思わず身構えた、、が
入ってきたのは、クマのアプリケットのついたピンクのエプロンをつけたウツディさんだった。
『お荷物共、朝食だ、』
そういうとウツディさんは皿を置いてすぐに扉を閉めた。
しばらくして、二人は顔を見合わせた。まるで悪巧みをする子供達のように、
頑張って耐えていたが、余りにも可笑しくて笑いが溢れる
『ぷっ、あっは、見た!?』
『見た見たw』
『お荷物共、朝食だ、』
私は低い声でそう言って近くにあった赤いマントをエプロンの代わりに腰元に当てる
『っっっwwW』
小助は笑いすぎて声が出ないようであった。
こんなくだらないことで人って笑えたんだなと清々しい気持ちになる。
その時であった。
ガチャリ
ゆっくりと扉が開く
そこにいたのはやはり、ウツディさんだった。
『声がうるさいぞ、朝食は要らなかったか?』
怒りが滲んだ声で彼はそう言った。
今にも腰についている銃を乱射しそうである
私たちは二人で大きく謝って朝ご飯をそそくさと食べ始めた
殺されてもおかしくない様子だったのでそうするしかなかった。
目玉焼きを口に入れた瞬間、雷が落ちた。
いや、雷が落ちたのではない、まるで落ちたかのような衝撃が体を襲った。
染み渡る卵のまろやかさと白身の固まり具合が完璧で、思わず声が溢れる。
『おいしい、、』
ご飯を夢中で食べ始めた私達をみてウツディさんはこう言った
『食ったらコントロールのメインホールに来い、オリエンテーションを行う、遅れるなよお荷物共』
そう言って部屋から出て行こうとしたウツディさんは、わずかに微笑んでいたように見えた。
第四屍支部(赤衣#5)につづく