2:業務部屋を出ると白色の髪に似合わない赤紫色のメガネと羽の生えたヘビのヘアピンをつけた男性が立っていた
『おかえりなさい、32回目ですね、遅刻は30回目です。』
一言一言区切るように穏やかな口調で男性はそう言った。
すると今度は隣にいる彼女が口を開いた
『管理人、この方と知り合いですか?』
『いいえ、でもよく知ってる。ここにきた理由やほくろの数までね』
『うわっ、よくそんな気持ちの悪いこと言えますね』
『そんなことより、我々が話している間にも会社のために働いてくれてる皆さんが視界に入らないかな?』
男は嫌味のように言ってすぐにこのような事を付け加えた。
『赤衣くんは特別業務、そこにいる新人くんに仕事を教えてあげてちょうだい、大丈夫、、身体が覚えてるからすんなり分かるはずだよ、』
赤衣と呼ばれた彼女は苦虫を噛み潰したような顔をした(実際、苦虫を噛み潰したことはないが、)
しかし、遅れたために仕事をしていないことに後ろめたさを感じたのか、渋々頷いた。
その後男はそれじゃ、とだけ言い残して闇に消えていった。
苦そうな顔のまま彼女は振り返った。
『はぁ〜どこから説明しようか...えと、まずは自己紹介、私は赤衣 曲、ここにきて2年で赤ずきんの傭兵というアブノーマリティの出撃許可・管理を担ってる、、、貴女は?』
『私は死山 和蘭芹、、まだ私がなんでここにいるのか分かってないんだけど、』
未だに苦そうな顔をしてる赤衣さんは、すぐに終わらせたそうな声で早口にこう続けた。
『OK...死山ちゃんって呼ぶね、作業の詳しいことはこのマニュアルに書いてあるから歩きながら読んでほしいんだけど、とりあえず作業風景を見せるからついてきて』
そういうと部屋で見た冊子の量に引けを取らないレベルの分厚さのマニュアルを渡された。
重さに耐えていると、赤衣さんは既に廊下の奥の方に移動したようだった。
こちらに人権はないのだろうか、これじゃ半ば強制労働だ。
仕方がないので、マニュアルを読み漁って歩いているとやがて赤衣さんのいる大きな扉の前に着いた。
『じゃあ入るよ』
彼女は闇の中に恐ることなく飲まれていった
私も置いてかれては困るので、後を追うように暗闇に歩を進めた。
何がこの中に待ち受けているとも知らずに、、、
第四屍支部(死山#3)につづく