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    かれーぱん

    @mr19dGgZeGK7OTf

    nrmt沼横断部

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    かれーぱん

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    付き合ってると思っているnrと一晩限りだと思っているmtが仲直りする話 後編
    GS1〜2くらいの時系列、nr視点
    これにて完結です。

    #ナルミツ
    wrightworth/narumitsu
    #nrmt
    wrightworth/narumitsu
    #narumitsu

    フォロの商人 後編9_________________________
    「……お礼がしたいんだ」
    王都楼の事件が解決した翌日、上級検事執務室・1202号を訪ねたぼくは御剣に掛け合った。
    「って、真宵ちゃんが言ってたぞ。」
    「……そうか。気にすることはない、と伝えておいてくれ。」
    そういうと、デスクに座る御剣は見ていた資料に向き直った。
    「イヤだよ、めんどくさい。自分で言ってくれ。」
    (そうカンタンに諦めなさそうだし。)
    ぼくは紙の資料となにやら格闘している御剣をじっと見守る。
    「……他に用がないのなら、出ていきたまえ。わたしは忙しいのだ。」
    ワザらしく忙しなく動く御剣に、ぼくはずっと抱いていた疑問をぶつける。
    「用ならあるよ。……なんで、なにも言わずに1年も姿を消したんだ。」
    資料の海を読み漁る御剣の手が止まった。
    「あんな書き置きだけ残して…!ぼくに、なにも言わずに…!」
    御剣がいなくなった1年間を思い返し、つい強い口調で御剣を責めてしまった。
    「……またその話か……」
    「…ぼくが聞きたいのは、"ぼくに"なにも言わなかった理由だ。」
    「…………」
    御剣は言い訳もせずに黙って資料を見つめ続けている。ぼくなどいないかのような御剣の態度が気に食わない。
    (……また、ダンマリか。)
    ぼくは気を鎮めるため、部屋の隅に置いてあったチェスボードに向き合った。
    (おまえにとって、ぼくは、その程度の存在なのか。)
    チェスの駒をひとつ摘んでみる。青いポーンが頼りなく、悲しく見えた。
    「……キサマこそ…」
    ようやく開いた御剣の口から、ゆっくりと、小さく弱々しい声が漏れてきた。
    「……キサマこそ、わたしを信用しすぎだ。…わたしは、キサマが思っているほどお人好しではない……。」
    「信用してるよ、当たり前だろ。」
    ぼくにとって御剣は、ヒーローで、親友で…特別なんだから。
    「……わたしは…、キミほど割り切ることができなかった……。本当に…もう二度と、会うつもりはなかったのだ……」
    御剣は相変わらず、ぼくを見ない。視線は資料に向いているが、言葉は自分自身に向いているようだった。
    「キミにとっては、好奇心だったのかもしれない。しかし…、わたしにとっては……」
    紙で顔は隠れているが、御剣がなにかに想いを巡らせて考え込んでいるのが分かった。
    「…わたしにとっては、かけがえのない唯一の……」
    ひとり言のように呟く御剣のようすを伺うため、ポーンを戻すとデスクの方へ歩を進める。
    「…わたしは、……変わらないことなど、できない。」
    「……さっきから何の話だよ。」
    デスクへ近づくと、ようやく御剣がぼくを見た。泣きそうな顔をしている御剣を見て、ぼくは動揺を隠せない。ぼくの慌てた顔を見て、眉間を険しくさせると御剣は机を勢いよく叩いて立ち上がった。
    「わたしは!キミを…、愛してしまっている!というコトだ!」
    今度は御剣が強い口調で、ぼくに向かって叫んだ。
    「……知ってるケド。」
    (それになんの関係があるんだよ。)
    いまさら過ぎる告白に気の抜けた返事をしてしまった。
    「……!!知っている、だと……!?」
    御剣はぼくの答えに血相をかえ、心底驚いたようだった。
    「ああ。」
    好き同士でなければ、わざわざ親友からコイビトにジョブチェンジする必要はない。やっぱりぼくには、御剣の言っていることが分からず、机を叩く騒音に顔をしかめるばかりだった。
    「キサマッ!知っていてッ!あのようなコトをしたのかッ!」
    (うるさいなあ。)
    御剣は机に身を乗り出し、ぼくの胸ぐらを掴んだ。ますます逆上する御剣に、ぼくは抵抗できない。
    「なに怒ってんだよ、忙しいヤツだな。」
    「キサマ……最低だな……」
    ぼくを睨みつけていた眼が、軽蔑の眼差しに変わるのが分かった。
    乱暴に胸ぐらを掴まれ、ワケも分からないまま罵倒されたことで、散らしていた怒りが血とともに、またぼくの頭へ集まってくる。込み上げてきた感情と言葉を抑えられず、今度は御剣にブチ撒けた。
    「なんだよッ!好きで当然ダロッ!コイビトなんだからッ!」
    大声で怒鳴ったせいで自分の尖った声が鼓膜を刺し、呼吸を細かく切った。
    「…………」
    ぼくの胸ぐらにかけていた手を外すと、蔑みで深く刻まれていた御剣の眉間のヒビが、疑念の影でさらに濃くなった。
    「……まて、成歩堂。」
    「……なんだよ。」
    「…コイビトとは…、誰のことだ。」
    「おまえ以外に誰がいるんだよ。」
    「…相手は誰だ。」
    「おまえ…まさか、ぼく以外に付き合ってるヤツがいるのか!?」
    「…………」
    (……黙るなよ!)
    こいつに限ってそんなことはないと、思いながらも何も言わない御剣を警戒し続けた。
    「……いつからだ。」
    「……なにが。」
    「いつから、わたしたちは…そのような関係になったのだ。」
    「…1年前、おまえがぼくの事務所に来た日だよ…憶えてないのかよ。」
    「…………」
    (…だから、黙るなって!)
    ぼくたちにとっては、運命の日だ。忘れるはずがない。
    「憶えていないのではない。」
    (当たり前だろ。)
    「おぼえがないのだ。」
    (……?)
    「キミに告白された、おぼえがない。」
    「?…しただろ。」
    「…なんだと?」
    「言ったよな?ぼく。"お礼は御剣がいい"って。」
    「……な!?!!」
    御剣は机をまた強く叩くと、顔を紅くしてぼくを睨みつけて喚く。
    「それのドコが告白だッ!!」
    「ドコから聞いても告白だろッ!!」
    御剣につられて、ぼくも机を盛大に叩いて喚き返してしまった。
    「おまえの天然ボケを考慮して、こっちは念押ししたんだぞ!」
    「誰が天然ボケだ!ならば、キサマは養殖バカか!」
    (そういうところだよ!)
    お互いに過熱しすぎてしまった対局を冷ますために一呼吸置く。机の上の資料の海は波が荒れ、紙がシオシオになっている。
    「……厶。では、車で言っていた"わたしたちは変わらない"とは、どういう意味だ。」
    (……そんなこと言ったかなあ。)
    「キサマがわたしに…!……初めて、……そのようなアレをしたときのコトだ!思い出せ、成歩堂!!」
    (……ああ、とんこつ味のアレか。)
    御剣に言われてあの店の味を思い出した。キスよりも濃厚な豚骨の味が強く印象に残っていたぼくは、あの日以来、豚骨ラーメンは食べていない。
    「…どんな関係でも、ぼく達自身が変わるワケじゃない。いままで通りのおまえが好きだ。っていう、意味じゃないのか?」
    ぼくは薄くなっていた会話の記憶を呼び起こして、予測混じりに供述をした。
    「分かるワケがないだろッ!!キサマ、本当に弁護士かッ!!言葉が足りなさ過ぎるッ!!」
    さらに声を荒げる御剣を見て、ぼくはようやくふたりの間に認識の違いがあったことに気がついた。どうやら御剣が怒り狂っていた理由は、こいつがぼくと付き合っている自覚がなかったのが原因らしい。
    「……じゃあ…おまえ、どういうつもりで…ぼくと、あんなコトしたんだよ…。」
    「……そ、それは……」
    ついさっきとは打って変わり、御剣は急にしおらしく、後ろめたそうにしている。
    「…たとえカラダだけだったとしても…、キミと…、いままでとは異なる、特別な繋がりが欲しかった……」
    「…………」
    (……こいつがアノ夜にミョーに積極的だったのは、ぼくとの関係が一夜限りの特別な夢だと、勘違いしていたからか……)
    アノ夜の御剣を思い起こすと……イヤ、今は止めておこう。余裕がなくなりそうだ。
    「…おまえこそ、本当に検事なのか?言葉と理性が足りないんじゃ…」
    ぼくは少しだけ、アノ夜の夢の御剣を思い出してしまっていた。薄暗がりで乱れる御剣が頭から離れない。
    「ッ!!キサマにだけは言われたくないッ!!」
    …こいつも思い出していたようだ。御剣は机を何度も叩くと、顔を真っ赤にしてワナワナと震えていた。ウルサイだけだった机を叩く音も、いまは陽気な祭囃子に聞こえる。
    「…御剣。」
    ぼくは愉快な音楽に、つい含み笑いを浮かべると御剣を呼んだ。
    「…いま、キサマの罪状を考えている。必ず有罪にしてやるから、楽しみして…」
    「愛してるよ。」
    「…なッ……!?」
    「御剣はぼくのものだ、もう二度と離れたくない。」
    「な、なにをいっている!!?」
    御剣が今度は戸惑い、うろたえる。
    「ぼくには言葉が足りないんだろ。これからは包み隠さず全部言ってやるよ、コイビトの頼みだしな。」
    ワザと"コイビト"と口に出してみると、御剣は恥じらいからか机の下にしゃがみ込んでしまった。
    「……万年筆を落としたようだ…。」
    「おまえが隠れるのかよ。」
    ぼくはかがんで、机の下の御剣と目線を合わせる。
    「おまえは、ずっと変わらず、ぼくのものだろ。」
    御剣は眉間のヒビを歪ませてぼくを見ると、ふてぶてしく笑った。
    「……ふ。わたしの所有権を主張するのならば、血の一滴も残さず受け入れてみたまえ。」
    こいつの血の気の多さは、ぼくが一番よく知っている。
    「…飲み干すのに、一生、かかりそうだなあ。」

    御剣は同じマンションへ再入居できたらしい。誤解が解けた後、ぼく達は一緒に御剣の家へ帰宅した。ふたりの世界に入り込めば、止まる理由は何も無かった。
    「…キサマ…そのバイタリティは…、アノ夜限定ではなかったのか……」
    「…なんのコトだ?」
    ラウンドを終えると、御剣はベッドに突っ伏したまま、ぼくに恨みがましい言葉を漏らした。
    「…解毒ザイの処方を要請する…」
    「惚れた病に薬はないぞ。」
    「……血も涙もないではないか……」
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