【BL】ぎんづら ぬるく温んだ布団の中に、ひやりとした気配が滑り込んできた。背中越しに感じる柔らかい布の擦れる音。
「……おい、ヅラ。どさくさに紛れて何してんだ」
「潜入の基本は偽装だ。今夜は“同衾”と洒落込むことにした」
小声で返すその声はやけに平然としている。銀時はわずかに眉を寄せたまま、天井を睨むように目を細める。布団は二つ並べて敷いてある。わざわざひとつに潜り込む必要はないはずだ。
が、すぐに思い至る。――こいつなりの合図だ。
「……気づいてるな?」
「気づいてないと思ってんのか?」
低く呟く。少しだけ身を起こしたその視線は、障子の向こうに意識を張っている。
微かな風の動きに紛れ込んだ、異物の気配――屋根、軒先、庭、複数の足音。
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