商品名:ハートラッシュチョコキュア(仮題)二月十五日
普段通りの朝だった。いつものようにエリザベスを伴い街を歩き、困っているご老人がいれば声をかけ簡単な手伝いをする。
こういう瞬間が、なんだか心地よくて、やはり人助けは良いものだなと実感するのだ。
その後、俺たちはそのまま歩き続けた。
ふとエリザベスが足を止め「桂さん、自分はここで」と、手に持ったプラカードを掲げた。
何も言わずにその姿を見ているとまた新たなプラカードが出される。「家に昼食の用意があるので、今日は一旦戻ります」
そうか 今日もふたりでそばでも食べに行こうかと思っていたがしょうがない。こういう日もあるだろう。
「じゃあ、また後で」俺はそう言って、彼の背中を見送った。
エリザベスは足早に去って行き、ほんの少しの間、一人残される。彼の姿が見えなくなるまで、その場に立って静かに見送った。
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